昨日、セールスフォース・ドットコムが開催したイベント「Tour de Force Tokyo」にオジャマしてきた。
基調講演で、米セールスフォース・ドットコム CEO マーク・ベニオフ(Marc Benioff)さんが登場。
目黒の雅叙園というステキな会場に(推定)1000名近い参加者が集まって、なかなか盛況なイベントだった。
ベニオフさんの基調講演は
Web業界の今の大きなトレンドは SaaS であり、そのSaaSベンダー世界最大手の我々 セールスフォース.com の時代がやってくる
というメッセージを全面に打ち出したプレゼンであった。
もう少しちょっと正確に記すと、セールスフォース は今後 SaaS だけでなく PaaS の普及にも力を入れていくようである。この PaaS という考え方・仕組みを具現化し、すでに多くの企業に導入しているという点で、セールスフォース はユニークと言えそうだ。
講演中でなかなか面白い考え方だと思ったのは、アプリケーションを載せられる「プラットフォーム」が今後は電気やガスや水道のような存在になっていくという例え話。ハードウェアやネットワークなどのリソースを「共用」することこそが資源の有効活用(エコロジー)であり、広く社会に普及する存在になるだろうと述べていた。
「皆さんは普段電気を使っている。大企業も中小企業も個人も電気を使っている。だけどそれぞれが発電施設は持っていないでしょ? それと同じようにアプリケーションごとにCPUやストレージを持つことはない。」ということらしい。
なるほど、と思う。
果たしてPaaSが「蛇口をひねれば水が出る」ぐらいに誰でも簡単に使えるほど洗練されていくのかは疑問だが、大きな流れとして捉えればこの方向に進んでいくのは確かな気がする。
「共用」モデルはスケールメリットが強力に働くので先に大多数を確保したモノ勝ちだ。
例え制度を変えて規制を撤廃したとしても「電気・ガス・水道会社」をひっくり返す企業がすぐに出てこないのと同じように、もし今後 PaaS が普及するのであれば真っ先に多数を押させてしまえば圧倒的優位に立つだろう。
そういう意味では、先行している セールスフォース の今後は注目だ。
と同時にいつも思うのが、IT業界の「プラットフォーム」は全て海外に押さえられてしまっている現状が実に悲しい。
今話題の iPhone だってそうだし、OSも、CPUも、データベースも、検索エンジンも、全て海外が作った土台の上で国内企業は踊っている(踊らされている)構図に見える。
今回の PaaS にしても、日本企業はセールスフォースが作る土台の上でジタバタしていくことになってしまうのだろうか…
なお、今日の講演でも セールスフォース は「エンタープライズ向け」と明言していたように、一般ユーザを対象にしたサービスではありません。
どうも国内では「SaaSはASPとどう違うんだ?」という議論が多いように思える。
SaaSプロバイダとうたっている企業でも、はっきり言って、旧来のASPと同じであることが多いのも確かだ。
数年前までASPと言っていたサービスがいつの間にかSaaSと呼び名を変えているだけのサイトもけっこうある。で、これが雑誌などで「SaaSの事例」として紹介されていたりもする。
ASPの失敗要因は、旧来のアプリケーションをネットワークに乗せて提供しただけだったからだろう。
「過去のモノを形を変えただけ」では成功しない。対して SaaS は今後起きるであろう「未来を予測して今できる形」を作っている。
セールスフォースは従来のASP型サービスをゴリゴリと営業してシェアを伸ばしているように見えなくもない。
(ユーザ登録すると頻繁にメールや電話がかかってくるので ^-^;)
けど昨日のベニオフさんの講演や、午後のセッションでのお話を聞いて、どうやらASPモデルとは違った流れが起きているようだ。
「SaaS? どうせASPと同じでしょ」
と思考を停止していると、今何が起きているのかを見誤る可能性があるなと感じた。
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私は,SaaSもクラウドコンピューティングも,マーケティング的な理由で後からつけた言い方で,ASPに内包されるものだと思います.
今風に言いたいのであれば,SaaS,分かりやすく言いたいなら,ASP,と使い分ければいいのではないかと思っています.