システム運用がIT業界の最下層扱いという吉澤氏の問題提起は、その程度の認識のSI関係者も居るのだという衝撃をもって読ませていただいた。かつて私が所属した、大手システム・アウトソーサーでは決してそんなことはなく、とても尊敬できる優秀な運用のプロが多数居たいいチームだった。
運用の肝を優秀な人材が固めてくれないと、システムが動かなく
なる恐れがあり、金融関係のかなりクリティカルなシステムをまわしている以上、運用こそが根幹だという意識があったからだろう。もちろん、10人が10人優秀な人材の集団だとかいうわけではなく、中には問題のある人もいたのだが、そこは組織がカバーしてトラブルを防いでい
た。あまりスキルを要しない仕事もあるから、夜勤とかある勤務条件にしては給料が安めとかいう課題はあるにしろ、だから「最下層」とかいう意識を持つトップやミドルがいるとしたらそういう会社にシステムを任せるのは不安に感じる。
しかし、結局のところ運用不在のシステムは動かない。運用を知らずに設計されたシステムは悲惨であり、どんなにいいプログラミングスキルをもってしても救いようがない。オペレーションミスによるトラブルは時々起こるが、オペレーションミスが起きるものだという前提でシステムを設計し、トラブルを小さくとどめるような設計があれば重大事にはならなかったろうにと思うことは多い。
情報システムを戦争にあてはめると、システム運用:Operation は まさに作戦行動そのものだ。国の指導者が建てる戦略がCIOが作る方針で、指揮官が立てた戦術がシステムアーキテクトが作った設計だとして、それらのプランはすべて戦場での作戦行動たる「運用」で初めて具現化する。
ナポレオンは優秀な国家指導者かつ指揮官(少なくとも途中までは)だったが、そのまえに優秀な、砲兵士官だった。戦争の現場を知っていたのだ。現場を知らない指揮官が立てた作戦は、時として悲惨な結末を生んできた。
情報システムに限らず、ロジスティックスを支える物流センターとかさまざまなところに、システムの運用が存在し、誇りを持って働くプロが居る。そういったプロのおかげで無事に、クレジットカードとか、宅配便とかが届き、電車に乗れて食事もできている。
現代社会に生きる我々はシステム運用に携わる多くの方への尊敬と感謝の念を忘れずに、運用が最初にありきでシステムを考えるべきだろう。
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坂本多聞 on 2007/11/15
坂本さん、
関連エントリーをいただきましてありがとうございます。
経営層からみると、最終的にはカネなんですよね。全部がそうだとは言えませんが、多くの企業ではこれが現実です。そして、同じように多くの企業では運用組織をコストセンターと見做してます。だからコスト削減の話しか出てこない。強い運用組織を抱えているところは、運用組織をプロフィットセンターとして再構築しようとする動きがあります。
弱い運用組織が存在するのは、既にご理解していると思いますが、明確なSLAやOLAを定めずにビジネスユーザの声こそ神の声だと考える状況が生み出しています。
大規模システムやミッションクリティカルなシステムを扱う組織ならこういう問題はあまりないと感じる方もいるかと思いますが、イケイケドンドンで来ている業界の企業の場合、実は少なくない割合で前述の問題をかかえていますね。これは企業カルチャーの問題です。
吉澤準特 on 2007/11/15
朝之丞さん、コメントありがとうございます。きれいごとはさておいて「運用」こそがクリティカルだという意識が広まってほしいと思い書きました。
工程の順番が先か後かは確かにありますが、先の工程も後の工程もそれぞれ大事だと思うしだいです。
坂本多聞 on 2007/11/14
多聞さん、こんにちは。
このお題については、私なりの記事投稿したい所ですが、現在多忙のため、TBではなくコメント致します。
論議の原点は、吉澤さんの記事については承知しておりますが「仕事に貴賎の違いは無い」とかきれい事を言うつもりは無いです。
ただ、単金で切り分けた部分の論調は読んでいてちょっと寂しくなりました。そう言えばこの前TVで古川享氏が、例の件で「Googleとの勝ち負けにこだわっている事こそ、時代錯誤」と仰ってました。
その言葉を当てはめると、上流とか下流と表現するよりも○○フェーズ、○○担当と表現して行った方が良いのではと感じました。
朝之丞 on 2007/11/14
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吉澤さん、コメントありがとうございます。「経営層から見ると、最終的にはカネ」というのはわかります。でもその次くらいに事業継続性という課題があります。
キャッシュフロー不足での行き詰まりは困るが、システムや生産設備のクラッシュによる行き詰まりも避けたいわけで、運用を軽視する組織や会社というのは、生活習慣病の怖さをまだ知らない若本たちみたいなものかもしれませんね。
いずれにしろ、「最下層扱い」している組織や人はあとで痛い目にあう可能盛が大きいと思います。
一方、北米では、GoogleがOracleのデータセンター運営責任者を引き抜いたとかいう話題が出ており日本はなかなか追いつけないかもとか感じています。