
江島健太郎氏が「勝手にフィードバック:新生銀行」「新生銀行の件のフォローアップ」という二つの投稿で新生銀行のWebユーザーインタフェースを批判されている。
最初の投稿の
引き続き、開発者に黙ってサイトの使い勝手を遠慮なくバッサバッサと斬っていきたいと思います。
という冒頭のコメントから推定するに、江島氏は開発者という視点でWebシステムの開発者に対して批判されているようだ。しかし、江島氏の批判は、実際にこのサイトを使う人がどういう人でどういう場所や目的で使うのか、という「ペルソナ」分析が欠けているため、実はあまり意味が無い。あえていうなら、「北米の銀行とかを使い慣れている技術に詳しい人」という恐らく1パーセントも居ないであろう人の意見であり、Webユーザーインタフェースの専門家だったら参考意見の一つとして読み流すべき意見でしかないのだ。
新生銀行Webリテールバンキングのペルソナを考える
本来は顧客データベースを参考にしながらユーザー調査とかをして利用者像たるペルソナを洗い出すのだが、部外者の場合はある程度推定せざるを得ない。しかし、新生銀行のようにヒントがあるサイトは、それを生かすべきだろう。
そこで、サイトのトップを見ると、2007年10月28日の私が見たトップではちゃんと、「はじめて運用される方へ」「運用をされている方へ」「50歳以上の方へ」という3つ場合わけがあり、この3つのペルソナを想定していることが読み取れる。
この分析は、Web検索からもおこなえる。新生銀行 と 代 で検索してみると
[新生銀行] マネースキルアップ講座 - 30代で妻は専業主婦、子供がいる場合
[新生銀行] 50歳以上のお客さまへ/Design your stories 人気FPから ...
とかとか様々なページがヒットしていく。ここで例示された頻度が想定している顧客層に近いはずである。
このあたりの情報とと私のイメージからペルソナを3つ想定してみた。
ペルソナ1の30代サラリーマン、新生銀行を便利な振込みハブとして考えているので、セキュリティキーボードがデフォルトでついたり、セキュリティカードによる入力を面倒と考えるだろう。ネットショッピングでの振込みで月に1?3回程度振込みに使うたびに、ログインするのを面倒と考える。ただし、だったらもっと手軽なネットバンクを使うという選択もできるが、無料振込みができる枠をもったいないと考えるので、面倒でも新生銀行を使うだろう。
ペルソナ2の55歳サラリーマンはいくつか口座を持っており、資産もあるのだが、住宅ローンや子供の教育資金とか老後の生活費とかで、お金はいくらでもしっかり貯めねば不安と漠然と考えているような人としよう。大手都銀、ネットバンクとかある中で新生銀行を選んだのは、ATMの手数料がゼロでセブンイレブンやゆうちょ銀行ATMとかも使いやすいからだ。
その一方で、指紋や静脈とかの生体認証とかを使った他行のセキュリティ確保策も気になっている。なにしろ銀行を使う上で大切な資産が盗まれるのが一番最悪な事態であり、そういうリスクは最小に押さえたいのだ。
ペルソナ3の70歳資産家は、ネットで囲碁を楽しむような新し物好きだが、せかされるのは嫌いであり、ネットサービスも着実に使えるものでないと困る。ネットバンキングを使えるかどうかぎりぎりのリテラシーと想定する。
この層の人口は少ないと思われるが、多くの資産を預けてくれる上客であり切り捨てるわけにはいかないという方針が想定される。
3つのペルソナに基づくユーザーテストが肝心だが、その判定基準は?
さて、想定した3つのペルソナからどういうサイトとインタフェースが必要なのか?その答えは、そういった想定層に実際に使ってもらい、どういう反応を示すのか実地で知ることから始まる。
そのテストでは、簡単に思いつくだけでも、
とか多様な項目と重要項目が考えられる。
そこで、一番致命的なのが、使い方が難しくなり、コールセンターの助けでも解決できずに優良顧客が離脱してしまうことだろう。逆に多少起きても許容されるのは、便利な小口財布代わりに使っていた振込み専門ユーザーの離脱だろう。
そういう振込みばっかりユーザーはむしろ出て行ってもらったほうがいいという考え方もありえる。
逆に、セキュリティの壁を高くした方が、面倒になるが高額の資産を預けてもらいやすくなるという計算もありえる。もちろん、中高年や高齢者の資産家が逃げ出すようなインタフェースは論外だが、手順を踏めばちゃんとできる程度の手間は惜しまないのではないか?というのが私の推理だがそこはちゃんと調べないと分からない。
ペルソナターゲットから外れた開発者が文句をいう不毛さ
いずれにしろ、インタフェースかくあるべしという信念とか、自分の経験とかから江島氏は新生銀行への不満を書かれている。開発者のプロとしての自覚あってのことだろうが、結局のところ使い手は誰でどこを重視するかという視点が欠けているのであまり意味ある批判にはなっていない。
もっと使いやすいサイトやサービスも外国にはあるのだから頑張って、とかいう激励ならいいのだが、勝手に診断されても、あまり有益な指摘になっていない。外国では違うとかいわれても社会慣習や規範が違い、どの程度日本で有益で受け入れられそうなのか想像できない。
さて、最後に、ではどういう診断だったら有益なのかを例で紹介しよう。
おたくのサイト勝手に診断します(2)メルシャン
は、実は私と関係のある著者の記事なのだが、夕刊フジという媒体特性を踏まえて分かりやすくユーザビリティテストにはターゲットの想定が要るということを紹介しながらも問題を指摘している非常によい記事だ。また金融系では
おたくのサイト勝手に診断します(5)―第一生命
では、日本の金融機関が陥った問題をスマートに外資との比較で指摘されている。このデジタルフォレストによる短期集中連載の続編を期待したい。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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