ビジネス・インテリジェンス(BI)ツールベンダーは、オラクル、SAP、Microsoft、とかからの買収の脅威に晒されていると前から言われていたので、SAPがBusiness Objectsを友好買収というニュースは、納得のいくものだった。ドイツとフランスという隣国同士の連携はEUという共通の市場になった今となっては無理がなく、北米中心のOracleへの対抗としてスムーズにいきそうに見える。
実際、OracleはHyperionを今年買収しており、SAPとしては買われる前に押さえておく必要に迫られたのかもしれない。
エンタープライズ・ゴリラ・ゲーム: 2007
エンタープライズIT市場におけるゴリラゲームという概念は、ジェフリー・ムーア氏の講演を紹介された、梅田望夫さんの『「キャズム」流、エンタープライズ市場の構造変化』というCNET Japanでの2004年10月のエントリーで紹介されたものだ。しかし、このレイヤーごとのプレーヤーの図式はエンタープライズIT市場でプロダクトマーケティングをする人なら何らかの形で見慣れている図でもある。私も、日本市場での状況を説明するために、1998年ごろに作った記憶がある。
さて、ムーア氏は、13あるカテゴリーのうち、7社が市場支配力を持つ強力な「ゴリラ」として君臨しており、チャレンジャー達と競い合いながら、エンタープライズIT市場のレイヤー構造でどう勢力を拡大するか競い合っていると説いている。
残念ながら、梅田氏がリンクされているムーア氏のPDFがリンク切れなので、手元に保存したPDFを参考に2007年版の図式を作ってみた。下線は企業買収された企業で、Oracle、SAP、Symanetcは色分けし、グレーはムーア氏の図に無かったが書くべきだと私が判断した企業となっている。NFH、はFHはNEC、Fujitsu、Hitachiの略で、小型IBMともいえる国産メインフレーマーの関わりを示した。
まず、3年経って変わったのは、サーバーOSとハードとの間にVirtual Machine(仮想マシン)という新たなレイヤーが確立したことだろう。2003年12月にEMC傘下に入ったVMwareがこの成長市場を支配する中、CiscoとIntelのマイナー出資を受け、株式公開を果たして、英語圏では大いにニュースになっている。このIPOでもEMCがVMwareの9割弱を持ち続けているのだが、ゴリラゲームの階層図を見れば、EMC、Cisco、Intelの行動はより理解できることだろう。基盤層の支配を強めてサーバーOSから上の層を支配する会社との競争と協調を有利に進めたい思惑がありそうだ。
この3年で他の層でも統合や買収が進んでいる。Oracleはこの図の中の会社では、Siebel、PeopleSoft、Hyperionの3社を手中にし、SAPは今回のニュースとなったBusiness Objectsの買収、SymantecはVeritsの買収でそれぞれ支配力を強めている。
SOAの代わりに市場を動かしたSaaSと仮想マシンという二つの潮流の行方
梅田氏の記事では、SOAがこの市場構造を崩すという予想があったが、3年間を振り返るに、Salesforce.comに代表される、SaaS化の流れと、仮想マシンという新たなトレンドが力関係を変えてきたように思える。
SAPとOracleの2社がエンタープライズ・アプリケーションを支配するかのように語られてきたが、SaaSのSalesforce.comがその間隙を縫うように成長してきた。Webアプリ関連系によるエコシステムの確立で、2社を置き去りにしていくかもしれない。
一方、仮想マシンの潮流について日本で実感できるのはもう少し先だろう。しかし、BEAが最小限のOS環境をセットにした仮想マシン向けのWebLogic Server Virtual Editionを出荷するなど風向きは変わりつつある。Windows Server 2008の大きなテーマの一つがこの仮想マシン環境であり、注目が集まっていくことだろう。
この二つの流れに隠れた巨人Googleがどう絡んで、エンタープライズIT市場のダイナミズムはまだまだ続くことだろう。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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