時津風部屋での事件にはとても身につまされた。「もうちょっと頑張ってみろよと、わたしのエゴで言ってしまった。逃げろと言えばこんなことにならなかった」というお父さんの後悔の言葉はとても重い。亡くなられたお子様のご冥福をお祈りするとともに、その教訓を生かし、わが子にしっかり伝えていきたい。無理にはがんばるなと。
宗文洲氏が、苦しい時は逃げろ、と日経BPでの連載で説かれた時は新鮮だった。逃げないことが美徳という世の中、逃げるのは卑怯者という刷り込みがあったからだ。
確かに多少は頑張らないといけないとも思うが、本当に限界に達する前には、逃げるべきだと、今やっと納得して語ることができる。私はこれまで何度か、逃げて生きてきたのだが、こういうことは、いざとなったら逃げる知恵を持っているのだとプラスに評価すべきではないかと思いを新たにした。
ビジネスにおける戦略的な「逃げ」
マイクロソフトは、勝つまで辛抱して戦うから負けないという面は確かにある。しかし、Microsoft Bobとか撤退した製品は案外ある。あのコーエーだって初期はちょっとHなゲームを出していたという記事を読んだことがある。そこから撤退して、歴史ゲームにフォーカスしたから成長があり、今の展開に繋がるわけで、捨てるとか逃げるという戦略的な判断は欠かせない。「負けてはいけない」とか、「逃げるな」とか言われると勝つ戦いだけしかしてはいけないという気になりがちだが、失敗したら見切りをつけて逃げることを想定しておくべきだ。
とはいっても逃げるのは、なかなか難しい。自分が仕掛けたことを自ら撤退できる人はまれで、ずるずる続け責任者が変わってやっと変えてしまうなどということは多い。はたまた、後任さえも前任者やトップに遠慮して撤退できないケースすらある。
いずれにしろ、逃げるのは最悪の結果ではないことが多い。最悪の事態を避けるために逃げることは必要で、かつ、逃げなれていないとうまくできない。そして、逃げなれた人こそがタフで生き残れる人であり企業なのかもしれない。
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