賃金と生産性の話に乗ってしまったところにちょうど、Yahoo!でヘッドラインにも載った読売の記事、「時給わずか100円台…神戸の障害者施設、改善指導へ」を見てしまった。これはひどいかもと思いつつ本当か?と疑問を持ち検索すると同じ読売でも関西発では、見出しと記事が違うのに気付いた
だった。さて、この同じ読売でも印象がかなり違う記事どちらが核心をついているのだろうか?また、知的障害者を低賃金で雇っていたという社会福祉法人は暴利をむさぼっていたのだろうか?
読売全国版のわずか100円台 という見出しをつけた記者は、百数十円という時給は『その社会の平均的な生産性で決まるっぽい、社会の平均的な賃金』よりはかなりかけ離れて安すぎると感じたのではなかろうか?「今日ビ100円台ってそりゃあ、ひどいでしょ。役所も告発してるし」と。全国版の読売では
同育成会の足立千鶴理事は「保護者の理解を得て10年以上前から行っており、違法と言われては、作業所の運営は極めて難しい」と話している。
と発言が紹介されている。前からやっていたし保護者の理解も得ているというポイントに絞られてだ。一方関西発で同理事長はこう語ったと紹介されている。
同育成会の足立千鶴理事は「訓練効果をあげるには、質の高い指導・援助ができる職員を雇う必要がある。保護者の理解を得て10年以上前から行っており、違法と言われては、作業所の運営は極めて難しい」と話している。
つまり、関西版では紹介されていた「訓練効果をあげるには、質の高い指導・援助ができる職員を雇う必要がある。」という一文が全国版ではそっくり削られているのだ。
今回の法的措置については現場を見て、保護者や働く人の意見を聞かないとなんとも言いがたいとは思う。しかし、報道された情報から推察するに、質の高い指導・援助が必要な人も世には存在し、そういう人でも労働の喜びを得て、賃金を得る場を獲得して欲しいという想いが強くなった。
ここ最近、日本最古の知的障害者の養護施設である滝乃川学園のと尽力者石井筆子のドキュメンタリーを見るに、現場の苦労の何分の一も理解できてないだろうという絶望を感じる。
現場に近い方と思われる、 lessorの日記の[ニュース]月額平均7343円 では「みんなお金を払って、働いている」という実態が紹介されている。また、その記事を読まれたA Fledgling Child Psychiatrist >Blog and Computerの 小規模作業所と最低賃金 でも労働基準監督署への疑問が投げかけられている。
読売の記事によると知的障害者16人で
同育成会の昨年度の会計報告によると、作業収入は計約1600万円で、このほかに神戸市から年間約1400万円の補助金を受けているのに、障害者の工賃や福利厚生に使われた費用は計約400万円で、残りは指導員の人件費などに充当されていた。
ということなのだが、家賃などの諸経費がいくらで、16人の知的障害者の世話をする職員が何人居て、いくらの報酬を得ていたのかこの際一切合財公表してはどうだろうか?もし、16人の知的障害者を一人で世話し、経費はゼロ円で職員が1000万円の報酬を得ていたとして、保護者が理解してくれる程度の職場環境を維持できていたのなら、それはそれで妥当かもしれない。8人居て年収200万円平均だったとしたら、指導員が最低賃金をもらえないという状況になっているかもしれない。
いずれにしろ、社会の平均からかけ離れた人も自分なりの幸福や仕事を得る権利があるはずであり、下手な規制や強制はかえって不幸を生む存在ではなかろうか?
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
kem on 2007/03/02
スマイルさん、コメントありがとうございます。指導員付き内職とか、単に労働という観点以外の価値があるわけでそこを社会として何か応援できないか?という発想が欲しいと感じます。
逆の言い方をすると最低賃金に見合う付加価値を産める生産性が無い人は働いては駄目なのか?という課題です。世間並みの賃金という価値観を超えた世界を認めねばならないと思う次第です。
多聞 on 2007/02/28
うちの施設では、たとえば、4人にひとり以上の指導員がいて、内職をやってるけど、内職といえば、、、健常者だってやったとしても、微々たるお金しかもらえない。。それを、ウンチたらしながら、歩くしか出来ない人もまざってながら、脱走する人、も様子をみながら、働いてます。知的障害者とは、そうゆう人たちですよね。働いて、儲けよ、っていう方がどうかしてる、と思います。
スマイル on 2007/02/28
多聞 on 2007/02/26
作業所は、補助金だけでは足りないので、障害者の入所時には、協力金などの名目で、数万円から数十万円の保護者などから寄付をもらうのが通例のようです。もちろんこれにも賛否両論があるわけですが、私自身も障害者の子を持っておりまして、自身で将来作業所を運営しようと計画し、試算してみましたが、件の補助金や売り上げだけでは職員7名の作業所を運営するのには、かなり無理があるのがわかります。
もしもそれなりの手間賃を支払える事業をしようと思うと、結局作業効率の高い方のみを受け入れるしかなく、障害者の中でも、軽度の方のみになってしまいます。もちろん、そういう方はわざわざ作業所で仕事をする必要のない方ですね。
現実社会に対応できる作業所を運営するためには、実際には一人の職員が一人の障害者の方をサポートする形がもっとも望ましいのですが、そういう形態は、今のシステムでは無理ですね。
kem on 2007/02/26
> 働く喜びがあるから安い賃金にしてもよいという理屈は他の労働者の利益になるか
というタイトルで Drupal.cre.jp
からトラックバックいただきました。読売新聞とYahoo!は不当という一色だと議論が深まらないと思うのでありがたいです。
知的障害者がとても安い賃金を受け入れてしまうので他の労働者の賃金もつられて下がってしまい不利益を受けてしまうという論旨かと思います。しかし、今回は「訓練効果をあげるには、質の高い指導・援助ができる職員を雇う必要がある。」という読売全国版では削られた発言からも一般的な労働者と同列に扱うのは無理があると考えます。
そこを最低賃金という法律で縛ると最低賃金を払うに足る「限界生産性」(雇うことでそれ以上に利益を稼いでくれる)人だけ働けるという縛りが入ります。そこを補助金で生めるにしろ、指導・援助者が必要な労働者という事態までは考えが及んでいないのじゃないかと思うわけです。
多聞 on 2007/02/24
なっくんさん、コメントありがとうございます。
知的障害者の低賃金ぼろ儲けできるんなら、参入が相次いで補助金が足りないなんていう事態が起きそうに思います。そして、賃金が低いことが問題ならもっと高い賃金を得られる事業所へ労働者の移動が起きるのではともです。
いずれにしろ、この件で常識とか素朴な善意は疑って、知識の蓄積による判断だけでなく、自分で考え直すことも重要だと考えさせられました。
多聞 on 2007/02/22
afcpさん、こちらこそ勉強になる情報とコメントありがとうございます。またリンクは修正いたしました。
門外漢の素朴な善意が当事者には大きな迷惑だったりするケースもあります。「世間的な相場」と感じる範囲はそれぞれであり一概には言えないものだなと最近感じています。
多聞 on 2007/02/22
この情報(コメントやトラックバックを含む)だけで判断すると、ボロ儲けしているとは思えないですね。
「知的障害者に対して、あまりにも酷いっ!!」
と声を大きくして発言する人がいたとしても、
「じゃあ、あなたはこの作業所で職員を出来ますか?」
と聞けば殆どの方はやらないと思います。
なっくん on 2007/02/22
トラックバックありがとうございました。
一般にはあまり知られていない福祉業界の実態に関わる話ですので、少しでも多くの方に知っていただければと思います。
lessorさんのコメントにもありますように、カテゴリーミスと追記のため、こちらのURLに改訂版記事をアップしてあります。お手数ですがリンクを差し替えていただければ幸いです。
http://homepage3.nifty.com/afcp/B408387254/C783119433/E20070219212826/index.html
afcp on 2007/02/22
lessorさん、コメントありがとうございます。
職員7人というところは情報源がよく分からなかったので引用しなかったのですが確かなようですね。いずれにしろ現場で働かれている職員のみなさんは社会貢献とか働く人の笑顔とかを励みに一所懸命働かれていると思います。そういう場から遠い人が口出しするにはよっぽど気をつけたいなと思うわけです。
多聞 on 2007/02/22
トラックバックありがとうございます。A Fledgling Child Psychiatristに追記として出てますが、朝日新聞によると「同会の05年度の作業収入は計1600万円で、うち400万円を障害者らに支払った。残りは神戸市からの年間1400万円の補助金と合わせ、指導員7人の人件費や光熱費などに充てたという」ことらしいので、職員は7人ですね。2600万のうち、どれだけが人件費かはわかりませんが、年収200万というのは、小規模作業所の職員なら全く珍しくないと思います。月収15万でボーナスなし、とか。
lessor on 2007/02/22
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少し話が飛躍しますが、障害者方々にはまたご家族がいて、仕事をしています。作業所は、そういうご家族が仕事をするための、保育所やデイサービス施設的な要素も持っています。保育所やデイサービス施設などでは、一定時間預かってもらうためにお金を支払わなければいけません。成人するまでの障害者の保育?や施設へ預けること自体難く、費用がかかるわけで、それが成人したとなると、さらに難しくなります。
そこで、作業所にも同様の性格を持たせます。件の寄付金の発想もここからきているような気がします。
作業所の主な内容はというと、実際には障害者の預かり施設なのです。
私が企画している作業所?は、ご家族の方々も一緒に仕事として参加して収入を得ることのできるものなのですが、そういう形態だと、法的には福祉施設として認められない可能性は高いでしょう。