「アウトソーシングという名の幻想」というエンジニアA氏のエントリーは、アウトソースをどんどん進めて持たない経営を進めるのが偉いという風潮への警鐘だろう。この問題意識には大いに賛成なのだが、一部で派遣社員とアウトソースを区別があいに見え「アウトソーシングすると安くなる」というように読めた。
このあたりを整理したく、ジェフリー・ムーア著 ライフサイクル イノベーションの コア・コンテクスト理論を3度借りて説明しよう。この理論は「引退する中田英寿氏で理解するコア(中核)とコンテクスト(周辺)」と「ワンセグ腕時計ケータイ懸賞を可能にしたW-SIMのエコシステム(生態系)」という二つのエントリーで使った2006年の私の一大テーマだ。
■仕事を 成功と失敗を軸にたら/ても分析
<成功したら:コア> <成功しても:コンテキスト>
B:成功したら・失敗すると |C:成功しても・失敗すると ← ミッション
| クリティカル
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A:成功したら・失敗しても | D:成功しても・失敗しても ← ノン・ミッション
| クリティカル
ムーアは仕事の重要性を分類する上でそれが、成功したら他と差をつけられるというコア領域と、成功してもそれが当たり前で大成功しても大して報われないコンテキスト領域とに分けるという考え方を教えてくれた。そして、そのコア・コンテキストとは別にミッションクリティカルと呼ぶ「失敗すると偉いこっちゃ」な領域を定義し、コアで重要ということとミッションクリティカルで重要という二つの重要の違いを区別することで、それぞれに最適な形態があるというのだ。その仕事のあり方を私なりに消化したのが下の名づけて、職場におけるひまわり/月見草分析になる。
■ 職場における、ひまわりと月見草分析
<成功したら> <成功しても>
B:花形参謀本部→自社 |C: 不遇で過酷な戦地 → アウトソース
??????????? +???????????
A:異才の館→特別職など| D:教習所 → 新人の修行や派遣にお任せ
古く、「花は桜木、人は○○」とかいわれたように、注目されて報いられる場所で働きたい人が多い。その一方で、誰しもがそういうことばかりをやるわけにもいかず、社会が回るためには地味な裏方の仕事が欠かせない。たとえ花形な有望人材ばかりあつめて「全員が4番バッター」みたいなチームを作っても「4番バッター」という言葉が示すようにそういうポジションは限られるのだ。
そんな認識で、コア/コンテクストとミッションクリティカルという観点で仕事を4分類してみた。
Aは、ひとやま当てると大きいけど、失敗しても致命的ではないという、異才の館領域だ。研究開発部門的な人材を配置し、「チーフアーキテクト」とか「ビジョナリスト」とかいった肩書きとともに自由な勤務体系とプライドを維持するに足る報酬といった処遇が向いている。
Bは、花形中核部門であり、A領域の技術が実って売り上げや株価上昇に繋がるような正念場をしっかりやってくれるエースとされる人材が配置される部門になる。自社で行うべき領域だ。
Cは、失敗すると大変なことになるけど、成功してもあまり注目されないという損な役回りの部署だ。名づけて不遇な最前線。成功してもそれが何?というジャンルであり、傭兵部隊に守ってもらうような領域ともいえる。
太平洋戦争にたとえるとBが真珠湾攻撃で、Cは硫黄島守備隊かもしれない。この救いようがない厳しい戦場で誇りをもって全力を尽くして戦かわれた栗林中将、市丸少将をはじめとする日米の軍人の皆さんへの畏敬の念はとても深い。とはいえ、企業経営でこんな損な場所に社員を置き続けるのは辛いので、社内的に傍流でかつ厳しい仕事には、傭兵部隊ならぬアウトソースを考えるべき領域だと考える。
アウトソースが生み出す新たな本業領域
アウトソース元の企業にとっては、後方業務ともいえる、日陰業務だが、アウトソース先の企業にとっては利益の源泉となり、場合によっては他社との差別化を作りうるコア領域にもなりえる。
ロジスティックスとかシステム開発とかでアウトソースがよく使われるのはその重要性と専門性が求められ、なおかつ、生産とか開発とかと一緒の組織体にすると、コストセンターとして報われにくい形態になりがちなためだろう。
逆に普通はアウトソースするところを内製かする企業もある。掃除は専門の「業者」に頼むところだろうが、そこを自社の社員がやってこそ、「気づき」が生まれカイゼンに繋がるというのだ。何が自社に大切で何は外に頼むべきかは結局その経営の価値観を反映する、重要な経営判断となるだろう。
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