最終更新時刻:2008年9月5日(金) 23時13分

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GoogleがOracleとデータベース領域で衝突する日:Bigtable vs Berkeley DB

公開日時:
2006/09/15 22:05
著者:
坂本多聞

CNET Japan読者ブロガー sparklegateさんのエントリーRDBMSは本当に便利なのかは問題提起としてそして、いろいろ寄せられたコメントが非常に興味深く面白かった。CPUネックとディスクネックというボトルネックについて寄せられた両方の意見はRDBMSをどう使っているかという使い方の差でもあり、「何でも入る便利な入れもの」であるRDBMSの特長がよく現れている証左だろう。そして、あまりに便利すぎるがゆえに、苦手な領域にも使われてスケーラビリティ(拡大性)の問題にぶつかり、「本当に便利なのか」という素朴な嘆きに至るという状況は、皮肉なのか本気なのか、いずれにしろありがちなことだろう。

ひっそりと表に出てきたGoogleを支えるデータベース:Bigtable

そんなおり、steps to phantasienの2006-9-11のエントリーでGoogleのインフラを支えるデータベースBigtableのことを知った。 Bigtable: A Distributed Storage System for Structured Dataという14ページのホワイトペーパーでGoogle自身がその概要を明らかにしたところからの紹介が分かりやすいので、steps to phantasienを読んでいただきたいが、私流に噛み砕くと長巨大シートを扱える高速Excel(ただし計算はできない)のようなデータベースだ。データは単一の表に格納され、個々のカラム(列)は原則可変長でありなおかつ、列のアイテム数も行ごとに変えられる。個々のデータはバージョニングが可能であり、シンプルでありながら融通無碍、そして高速アクセスできて数千もの一般的なサーバーを束ねてペタバイト(≒100万ギガ)級のデータを扱えるよう設計されているという。

別のたとえをすると、高機能でGrid対応のファイルシステムともいえる。集中型分散システムといわれるGoogleはそんなユニークなソフトが支えてきたのだ。

リレーショナルDB(=RDB、= RDBMS)は汎用性が高く、性能が出て、SQLという分かりやすい標準言語を持つということで長らく情報システムの根幹を支え続けている。非常に便利なゆえになんにでも対応可能で、オブジェクトDBとか多次元DBとかの挑戦も多機能化で退けてきた歴史を持つ。その、長らく君臨してきたチャンピオンが、Googleという一般的な情報システムとはかけ離れたシステムユーザー企業自身が開発した秘密兵器でいつの間にか新しい領域を取られていたのだ。

Berkeley DBを手に入れたOracle

RDBMSのチャンピオンOracleも潜行してきたGoogleへのカウンター武器を持っている。Sleepycat Softwareを企業買収して手に入れた、Oracle Berkeley DBだ。こちらも高機能ファイルシステムのようなデータベースエンジンであり、そのフットプリントの小ささから、組み込み機器にも多く使われる一方、インターネット系を中心に多くの大企業が採用していることがカスタマーリストから伺える。Oracleは開発者の一人で、Sleepycatの社長兼CEOをVice President として迎えており、従来の戦略とナレッジを引き継いで、従来から持っていたOracle Database 10gの苦手な領域を補完していくことだろう。

梅田望夫さんの「キャズム」流、エンタープライズ市場の構造変化」のエントリーから2年近く経ち、時代は、Microsoft、SAP、Oracleといったシステムの階層別のゴリラ(チャンピオン)間の戦いだけでなく、SaaSでソフトウェアを提供するGoogleやSalesForce.com というゴリラとの戦いも激しくなりつつある。どうしても、マスコミ的にはビジネスモデル間競争として露出してしまうのだが、少なくともGoogleはテクノロジー的に、既存のプレーヤーとは違う独自の武器を持っていることが明らかになった。

ライセンスとしてのソフトウェアの時代は、設定のしやすさとかが問題にされたが、SaaS化していくこれからは、極論するとソースコードを読めて直せるような限られた人だけが扱える特殊なソフトウェアも広く提供できるようになる。要求されるスケーラビリティやアベイラビリティも次元が変わっていき、弱点があっても運用で対処できるのであれば、運用を武器にしてサービスを届ける対応もできる。

GoogleとOracleが直接刃を交えるというのは、西から攻めたアレキサンダーと東から攻めたチンギスハンが時空を超えて対戦するかのような感もある。こういう異質な企業間の競争がこれから激しくなっていくことだろう。

 

 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

このエントリーへのコメント

2

やむさん、コメントありがとうございます。
BigtableおよびGoogle File system (GFS)についてはまだ謎が多いのですが、いずれにしろ従来の商用ソフトウェアベンダーが要求されたことがない途方もないデータ量を処理する必要性から発展してきたようなので、必然的にかなり毛色が違うソフトだなと感想を持ちました。
商用ソフトとオープンソースの違いぐらいではなく、一般パッケージソフトとSaaS前提のソフトの性質の違いが現れているように感じます。
「ディスクベース設計と無縁」という点には異論があります、IBMの汎用機のVSAMの時代からディスクからの独立性をデータベースは志向してきましたし、逆にBigtableであっても、物理的なハードウェアの性質、ディスクは遅くてメモリーは速いを意識して設計されていると思うわけです。

  多聞 on 2006/09/19

1

トラックバックありがとうございます。sparklegate(やむ)です。
ノリで書いてしまった記事に、たくさんのコメントやトラックバック、ブックマークが付いてしまい、考えをまとめて返事を書こうと思って鉛筆をなめている間に次のコメントが来て再考するというようなループに陥っています。
遅筆なのでどうにもリアルタイムに返答できていない状況です。

さて、それはさておき。
GoogleのBigTableについては、GoogleFSの上で動くハッシュインターフェイスを持った文字通り巨大なテーブルのようですね。
個人的に興味を持ったのは、このAPIの思想が、すでにかつてDBの思想の源だったディスクベース設計とは無縁になりつつあるところでしょうか。
昔から永続化をハッシュテーブルで書けていたら世の中どうなったんだろうかと想像するのも楽しいものだと感じました。

  やむ on 2006/09/19

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