最終更新時刻:2008年10月10日(金) 23時50分

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たかが50インチ程度の画面サイズで行うフルHD論議の不毛さ

公開日時:
2006/07/24 13:13
著者:
坂本多聞

たかが40インチとか50インチ程度の中型テレビでフルHDかどうかを議論することにはあまり意味が無い。その程度の大きさでは、映像に没入して仮想現実的な体験をする(=臨場感を得る)には、映像が小さすぎるのだ。ミニチュアの縮小された複製を鑑賞することは不可能ではないが、文字通りの臨場感とは別の趣味、絵画鑑賞と切手鑑賞くらい違うものだと考える。

一方、100インチ級の大画面では、2m程度距離を置いた先に視野角60度程度の大画面を見ることが可能となる。映像を自分が生で見ているような、その場に居るような錯覚を覚えるにはこれくらいの大きさが欠かせない。こんな信念を持ったのは、1987年ごろに長岡鉄男氏のシアターホーム「方舟」にお邪魔して120インチの大きさの映画やオペラを見せていただいた体験に由来する。それまでは、パソコン画面のような小さいけど高密度なモニターを至近距離で鑑賞する坪庭シアターが成り立ちうると思っていたのだが、その120インチの映像は至近距離でテレビを見るのとは次元が違う存在感があった。

自宅に120インチのホームシアターを作り、映画やサッカーを鑑賞するようになり、この大画面理論はやはり間違いではなかったのだと実感している。そして、画素数や解像度はそれほど本質的な問題で無いということも実感した。ジブリのアニメとかで縦の解像度が切り捨てられているレターボックス方式のDVDなど、見始めこそ解像度不足を感じるが映画を見進めると、映像に引き込まれ目が慣れてくるのだ。

逆に、どんなに精密であろうと、A4サイズ程度の写真や印刷物を本物の人や自動車と誤解することはありえない。これが、腕時計、宝石とかの本物も小さいものであれば違ってくるのだが、映画やスポーツ映像で送られてくる絵のほとんどはこういった微細なものであるケースはあまりない。視覚神経そして視覚を認識する脳は、どんなに精密であっても対象物の距離から、映っているものの大きさを感じ取ってしまうため、中画面で得られる臨場感には限界があるのだ。

大画面でなければ味わえない世界があり、フルHDなのかどうなのか?とかいうことより、大画面かそれ以外かということが先に気にすべきことなのだ。

参考リンク:
Impress AV Watch  50型以下にフルHDは不要と断言する理由

 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

このエントリーへのコメント

10

アロンさん、コメントありがとうございます。消費者心理としては「フルHD」って言われたら欲しくなるのは道理ですね。でも、違う解像度の映像度を美しく表示できるスケーリング、スポーツ番組で利く表示のタイムラグ、色の再現性とかとかいろいろある中での単なる解像度だけを取り出して「フル」という完璧なものであるかのような誤解を与える表現は、一般消費者を欺く要素があると考えています。
そのうち激安メーカーがフルHDを出してきてその性能にみんなが気づきだすのでしょうけど。

1m視聴という世界は、それはそれで意味あるとは思うんですが、USで言うところの10フィート視聴とはまた違う趣味になるのかなというのが今の考えです。

  多聞 on 2006/08/17

9

過去に利用したヘッドマウントディスプレイは2m先に60インチの映像を映し出すものでしたが没入感は十分にありました。その反面解像度が低く字幕が読みにくくなったりする点が不満でした。
たとえ50インチのディスプレイでも1mの距離で見るという使い方もあるわけでHDクラスの解像度が必要ないと断言する理由にはならないと思います。
実際テレビパソコンを繋いで使おうという利用者にとっては解像度は高いに越したことがないんじゃないでしょうか。
まぁ高い買い物ですし、そうそう買い換えるわけにも行かないことを考えるとHDフル対応が欲しくなりますよねぇ。

  アロン on 2006/08/17

8

朝之丞さん、コメントありがとうございます。Microの糸ドライブですか。McIntoshのアンプ、ORACLEのCDプレーヤーとかを並べたら楽しいかも。
PC系での距離50cmの世界とホームシアターの数メートルの世界では求められる特性が違うと思っているのですが、このあたりの考察は別途練れたらご紹介しますね。

  多聞 on 2006/07/31

7

多聞さん
朝之丞です。

>長岡鉄男氏のシアターホーム「方舟」にお邪魔して120インチの大きさの映画やオペラを見せていただいた体験に由来する。

私も「季刊オーディオアクセサリー」か「サウンドレコパル」(思い出せなくてすみません)で、「方舟」の記事を見て、家を建てるときは絶対に防音工事をしようと、想いを馳せておりました。
ご多分に漏れずオーディオブームに飲まれた口で(Microの糸ドライブを使っておりました)、
長岡鉄男先生の記事に影響されておりました。

多聞さんの記事を見て思い出したのですが、100inchのDisplayで、Windows OSを表示させて作業した経験があります。(映像に対する没入感とは違いますが)
当時、そのDisplayは、取り合いに為っておりました。

  朝之丞 on 2006/07/30

6

すみません。PS3について訂正です。
×:PS3は、1920×1080ピクセル
○:PS3は、480i、480p、720p、1080i、1080pに対応
なので、どういう解像度のゲームが中心となるかまだ決まっておらず、規格上いろいろな解像度のゲームがありえます。また、描画の構造上1920×1080ピクセルでゲームを作るのは難しいそう(by西川さんの記事)で、少ないピクセル数でリアルなゲームを書くという方向に進むかもしれません。

  多聞 on 2006/07/26

5

たけぽんさん、コメントありがとうございます。
Xbox 360は、720P規格なので、1,280×720ピクセル出力の解像度になります。そこに書かれる絵は必ずしもこの解像度で描画(レンダリング)されるわけではないようですが、ともかく、スケーリング(解像度の再調整)無しに表示するにはこの解像度のディスプレーが必要です。
一方PS3は、1920×1080ピクセルということでフルHD解像度なんですが、少なくとも当初はこの解像度でフルにレンダリングされたゲームはまれじゃなかろうかと推定します。情報量が冗談じゃなく多いからです。

逆に、マランツ VP-11S1のようにスケーリング性能が高いフルHDディスプレーは1,280×720ピクセルのゲームも綺麗に映すと西川善司氏がレポートされているので、こういうスケーリング性能も重視されてくることでしょう。多様な情報ソースをそつなく映すことが重要になっているので。

  多聞 on 2006/07/26

4

個人的にはゲーム機のモニターとして使いたいので画面サイズがいくつであろうがフルHDは必須だと考えています。入力された信号はきちんとそのまま表示されるべきであると考えるからです。パソコンのモニタであれば12インチ程度で横1024ピクセルは普通に必要なので20インチを超えればフルHDの意味はあると思いますがどうでしょうか。映画やスポーツを見るのがメインなら不要かもしれませんが。

  たけぽん on 2006/07/26

3

「ニアフィールドリスニング」って江川三郎理論のアレですよね。JBL 4343Bを横にしてボルトで繋げて上にレコードプレーヤーを載せて....っていう記事を見て、これはこれで一度聞いてみたいと思ってました。
こういう極論は何か本質的な事象をつかむのに有効なので無視はしてません。またマランツが鹿島建設と組んでやっている新ステレオ理論に通じるところも感じています。

ただ、映像と音は脳の感じ方や解釈のしかたが違うのではないかと私は考えています。
ヘッドフォンであってもそれように録られた音源であれば仮想現実体験でき、イヤスピーカーとかのファンも多いのに対して、ゴーグル型ディスプレイで趣味に使えるというマニアの主張は聞いたことがありません。

音であれば、マイク設定で距離感込みの音を録れるのですが、映像ではなかなか錯覚できないと思うんです。

  多聞 on 2006/07/26

2

Shinさんコメントありがとうございます。
「それでも比べてみればフルHD化の良さは確実にあります。」とおっしゃいますが、それが、実際にご覧になって感じられたのか、理念としての考え方なのかそこをまず知りたいのですが、いかがでしょうか?また、電器店の店頭で左右チラチラ見比べてなのか、じっくり一本のコンテンツを見た感想なのかも知りたいです。

理論的にいいというのと、「でもそれで犠牲になることがあって結局それって重要なポイントなの?それともいくつかある項目の一つなの?」っていう点を気にしています。
中画面、大画面それぞれ、まだまだ発展途上でDVD解像度のPlus Pianoがまだまだ語り草のいい機械であるようにトータルでのできと、使って感動できるかが問題だというのが私の考えです。

  多聞 on 2006/07/26

1

こんばんは。はじめまして。読者ブロガーの者です。

大画面(100インチといったスケールの)がそれだけでもたらすことのできる迫力に関しては異存はありません。ホント、引き込まれますよね。

たしかに、50インチ以下程度では「映像に没入して仮想現実的な体験」というのは難しいかもしれませんが、それでも比べてみればフルHD化の良さは確実にあります。

「画素数や解像度はそれほど本質的な問題で無い」というのはある意味正しいですが、でもね、それを言ったら僕がエントリで引用した話のように、内容さえよければどんな画質でも引き込まれちゃう、って話になるわけですよ。

100インチ、120インチといった大画面を導入できる家には限りがありますし、一概にムダとも言えないのではないでしょうか。というのが、同じことについて違った意見を書いた僕の考えです。
同じコンテンツなら、どのサイズでも画質が悪いよりはいい方がいいと僕は思います。

すごくかいつまんで言えば、大艦巨砲的なスピーカーのもたらす迫力あるサウンドと、いわゆるニアフィールドリスニングというような聴き方のもたらす愉しみとの違い、と言うのかな。ちょっと違うか(^_^;;

まあ、わかる人にはわかるし、デカけりゃ

  Shin on 2006/07/26

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