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ページの重要度を推し量るために、ウェブ上に広がる個々のリンクをどのように評価するのが最も望ましいか(検索利用者に快適な検索体験を提供できるか?)。一連のPaid Links(有料リンク。キーワード型のテキストリンク広告。具体例を知りたい方は、Matt Cutts氏によるプレゼンテーション資料を参照(.ppt、パワーポイントのファイル))に対するGoogleの対応を追っていくと、彼らの説明は時期によって根拠や理由が異なっているし(=Googleとしても明確なポリシーが決められていなかった)、少なくともサイト運営者にとって目安となる程度のガイドラインを引いていなかった。何より、Googleを含む検索会社はこれまで、サイト運営者に対するリンクスパムの考え方として「クローラの利益にしかならないリンクはスパム」(=ユーザの利益を考えなさい)というのを提示してきたため、少なくともSEO業界の側からは「リンクが有料か否かが問題ではなく、そのリンクがユーザの利益になるかどうかで判断すべきだ」という異論が出されていた。たとえ”有料”で設置されたリンクであってもコンテクストが適切でユーザーに役立つリンクなら問題ないだろう?と。
私がこの業界に携わった1997年以降に登場したリンク操作に関連するスパムの手法を見ると、これは先ほど紹介した「クローラの利益にしかならないリンクはスパム」という判断基準でもって、そうした悪意あるサイト運営者による行為をスパムと判定することができた。ところが近年登場してきたPaid Linksはこの判断基準では完全に排除することができなかったため、検索会社は新たなスパムの判断基準を提示する必要に迫られていたともいえよう。
そうした意味で、12月1日にGoogle Webmaster Central及びMatt Cutts氏個人のブログで公開された、有料リンクに対するGoogleの考え方で述べられた理由付け、「なぜ、検索会社は有料リンクを問題視するのか」に対する考え方は(少なくともSEO業界の人間にとっては)大変わかりやすいものであるし、スパムの境界線をある程度明確にした点で評価できるといえる。
Googleが有料リンクを問題視する理由としてあげた2つの理由とは、「不正確さ」と「不平等さ」だ。
Inaccuracies: False popularity and links that are not fundamentally based on merit, relevance, or authority
- Inequities: Unfair advantage in our organic search results to websites with the biggest pocketbooks
(Information about buying and selling links that pass PageRankより引用)
いかなるリンクであっても、金銭によって獲得したリンクは、関連性や権威、実力に基づかない、偽の人気を作り出すし(不正確さ)、また、金銭によって獲得したリンクを許容することはお金がたくさんある企業ほど自然検索(Organic Search)において有利なポジションを得ることになり、不公平が生じる、というものだ。
これらは検索会社が自らのインデックスの品質を保持する上では必要な、合理的な理由付けといえるし、また、いかに上手な抜け道を探ろうとしてもお金で直接購入しようとする限りは基本的には例外なく「Googleはスパムと判断する」ことが可能だし、そのページをどう処理するかも自由になる。莫大な資金をつぎ込んで大量にリンクを獲得し、検索順位を操作する企業によって一部の検索結果が歪められていることは事実であり、そうした企業を排除するための主張としては十分だろう。結局、ウェブ検索のルールを決めるのはGoogleなのだから。
Matt Cutts氏個人のブログでは、ペイパーポストの具体的な例をあげながら、なぜGoogleはこれを評価したくないのかについて解説している。脳腫瘍のケースを持ち出して、記事を書いているユーザは医療に関する知識もなければ事前リサーチもせず適当な記事を書いており、こうしたコンテンツによって検索結果が変わることは検索利用者の利益にならないというものだ。
別にペイパーポストじゃなくてもいい加減な記事はたくさんあるだろうという反論はできるけれども、少なくともペイパーポストは排除すべきという理由付けにはなる。また、この事例はペイパーポストでも非常に極端なケースであり、これを用いてペイパーポストが悪だと主張することに対する批判もコメント欄に寄せられている。
まぁ、それは私も同感。ある命題の証明(ここでは、”有料リンクは排除すべき”)するために、極めて稀であっても非常に深刻な被害をもたらす、たった一つのケースを紹介して命題そのものの真偽を証明する手法はディベート技術であるけれども、今回の場合は、一般のサイト運営者に有料リンクがダメなことを説明するために適切とは思わない。別に脳腫瘍じゃなくても、住んだこともないユーザが「このマンションはとっても快適!」と書いているとか、自分で遊んでもいないのにゲームの感想をポジティブに書いているとか、もっとよくある身近な事例を紹介するだけでもいいと思うし、わざわざ脳腫瘍の事例を出している故にかえって問題の本質が読者に伝わりにくくなっているんじゃないの?
ちょっと脱線したけれども、ともかくペイパーポストの例をわざわざ紹介したのは、ちょっと前にペイパーポスト参加ブログのPageRankが下げられたことが一部で話題になっていて、それに対する回答としてMatt Cutts氏が用意してくれたんだと思う。
ともかく。今回のGoogleの発表は、検索品質を維持するために有料リンクは明確にダメですよということを、これまでよりずっとわかりやすく説明してくれたことと、ペイパーポストもコンテンツとして何を書かれようがそこに埋め込まれるリンクは有料だからダメということ。だいたいペイパーポストは報酬発生条件として特定のページに対してリンクを張ることを指定しているからね。
日本にもSEOを売りにした営業をかけているペイパーポストの業者はいくらかいるし、それを使ったSEOサービスを提供しているところもあるけれども、今後は厳しくなる、というか今回の説明でこれらはスパム扱いになってしまうので、実用上の効果の有無はともかく、形式上はスパムなのでビジネスとしては厳しいのではないでしょうか。(個人的には、ある話題についてのクチコミを調べていてペイパーポスト記事がでてくるのはうっとうしいと感じることが多々あるので、状況が変わってくれればいいなと思います。)
[追記] 今回のGoogleの措置では、ペイパーポストに参加しているブロガーが被害を受ける可能性がある。ペイパーポスト参加ブログは「リンクを販売しているサイト」とみなされるのが理由。ただし、依頼された時の報酬発生条件に、「特定のページにリンクを張ること」の指定がない、またはリンク指定があっても nofollow属性追加可能であれば、記事を掲載しても問題はない。Googleのスタンスは、検索エンジン(クローラ)に特定のリンクが広告であることを示す証として nofollow がついていれば問題としないから。最も、ペイパーポスト業者がこうした条件の商品で企業に販売することができるのか、あるいは企業はリンクを指定できない(=SEOとして使えない)ペイパーポストを利用したがるのか?というと疑問。最近の営業はSEOのリンク対策としてペイパーポストが販売されていることが多そうなので、難しいのではないかと。(一部、修正 2007/12/04 16:30)
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