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    SEO「技術のプロ」と「マーケティングのプロ」 - SEOの学び方 (2)

    2007-04-27 19:23:47

    プロフィール

    渡辺隆広

    日本でSEOを始めた第一人者として知られるアイレップサーチエンジンマーケティング総合研究所 所長の渡辺隆広氏が、競争の激化する検索市場をビジネス、マーケティング、テクノロジーの各方面から掘り下げます。
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    最近「あの話の続きが気になります」ということを各方面の方々からリクエスト頂いた、「ディズニーランドにSEO提案をしてみてください」の続きです。

    * *

    今月(2007年4月)に入社したばかりの新入社員にSEO研修を行いました。将来SEOをするのか、検索連動型広告の運用管理を行うのか、サーチを含めたキャンペーン全体の最適化も手がけるようになるのかわかりませんが、今回は各々の社員が成長していく上で役に立つときが来るであろう、きっかけや道標を与えることを念頭に構成を考えてみました。これは私自身「人や組織に、影響や感動を与えられる人になりたい」という志を持っていることが関係しますけれども。

    さて、そんなわけで今年も最終日の午後にロールプレイングとして「東京ディズニーリゾート(TDR)にSEMの提案をしてください」という課題を出しました(※今年はサーチマーケティングを自由に考えてくださいということで SEM にしています)。実は、今年の新卒が行う提案内容のレベルによっては、来年以降はやめようと考えていました。しかし幸いなことに私の予想を超えて、4チーム(12人)ともに良い提案を出してくれました。ちなみに「父の日・母の日に思い出の時間をプレゼントしよう」というサーチを組み込んだTDRのキャンペーンを提案してくれたチームにベスト賞を贈っています。これはキャンペーンのロジックが整理されていたこと、サーチマーケティングに取り組むことの意義を明示できたためです。

    「TDRに提案をしよう」この課題に対する"正解"はありません。この課題は次の能力を測り、その考え方を大切にしてほしいという意図を込めています。それは次の項目です。

    1. ソリューションとしてのキャンペーン提案

    「クライアント企業が抱えている問題や課題を特定し、それに対して(サーチを活用した)課題解決策を提案することができるか」という、ソリューションの考え方、戦略を考えることができるかを試しています。

    このコラムを読まれている方の中にはサーチマーケティングに携わっている人が少なくないと思いますが、きっと多くの人がWebサイトだけを見て検索ランキングやCPAといった数値に対するオプティマイズ(最適化)/マキシマイズを考えているだけ、あるいはWebサイトを見てコーディングやWeb構造上の課題を特定・解決するなど、テクニカルな視点によるミクロな世界ばかりを解決しようとしています。その一方で、サーチマーケティングを導入することで企業の事業戦略や収益にどう貢献するのかという視点が欠けている、つまり何を解決するために何を実行すべきなのかという大局的な戦略的視点が欠けている人が多いのではないでしょうか。

    「最適化」とは相手の業界や競争環境、抱えている課題、目標を理解した上で対象やどう最適化するかを決めるべきものであり、Webサイトの情報を見るだけで、検索連動型広告の管理画面とにらめっこするだけで最適化しようとするアプローチは適切ではありません。

    2. サーチの機能定義

    多くの人々は、GoogleやYahoo!を使った「集客」などと、無意識にサーチの機能定義を「集客」としていますが、情報マッチング技術であるサーチは「集客」「広報/周知」「顧客支援」「情報提供」「ナビゲーション」など定義の仕方を変えるだけで企業は様々な場面におけるサーチの有効活用方法を見いだすことができます。例えば不祥事に対する会社としての告知、製品の回収における告知、犯罪予防など、ちょっと視点を変えるだけで広報戦略にサーチは活用できます。ところが「集客」と定義している限り発想の自由度が奪われ、機会損失が生まれることになります。

    3. ロジカルシンキング&プレゼンテーション

    これはビジネスにおいて当然のことですが、ここでは「SEMに詳しくない人でも理解できる程度にわかりやすい、簡潔な説明を行えるかどうか」を見ています。

    * *

    TDRというリアルのテーマパークに対するSEM、経験(エクスペリエンス)が大事なこのビジネスに対するSEMを提案しようとすれば、TDRのWebサイトや関連するキーワードからSERPを見るのではなく、TDR自体の事業戦略から考えていかないとまともな提案は出来ません。サーチはあくまで興味・関心がわき起こる瞬間をとらえるためのターゲティング技術、あるいは誘導するためのドライバの役割程度にとらえた上でキャンペーン全体を設計し、その中で橋渡しをするサーチを組み込むということを考えなければいけないわけです。

    Markezineにて「検索ランキング至上主義によるSEOが終わる日」という記事を書いていますが、基本的に私は明確な理由なくランキングの上下変動を見て成果をはかるという態度をあまり好んではいません。もちろん指標としてランキングを見るのが最適なケースであればそれをもって判断することに異論はありません。問題なのは、全体戦略を考えずに特定のキーワードの順位を動かすことを目的にしてしまう、そんな意識が根付いてしまうとSEOの「技術のプロ」にはなれても「マーケティングのプロ」には絶対になれないということです。戦略なくしてSEOを実施することは単に検索会社とのアルゴリズム攻略遊びをするだけで終わってしまいます。個人の趣味でSEOするなら問題ありませんが、プロフェッショナルとして行うのであれば、それでは困ってしまうのです。

    ターゲットのセグメントやキーワードを決定しているという前提であれば技術だけ持っていてもいいのではないか?という反論があるかも知れませんが、目的なくして”最適"化は実現しえません。同じWebサイトに同じキーワードで最適化するにしても、目的が異なれば全体最適の方針やその手順は変わるはずです(SEO)し、予算だけもらっても何をしたいかわからなければ、相手のビジネスモデルを理解できなければ最適なキーワードやクリエイティブ、ランディングページは作成できません(検索連動型広告)し、効果を判断すべき指標やその数値を決定することも不可能です。お金を支払ってでもこの人(会社)に仕事を依頼したい、そう思われることがプロの仕事なのですから、どう貢献できるかわからないことを平然と行ってはいけないのです。

    とりわけSEOはWebサイト構築におけるデザインであり、何らかのメディアで喚起され検索を実行した訪問者の受け皿となりコンバージョンを促すためのマーケティング(消費を誘発する)でもあります。10年近くこの業界で働いてきて、技術を身につける前にこの意識を持つことが大事であるというのが私の結論です。その意識を持ってもらうために、再確認してもらうために、こうした「技術論で語っては絶対に答えが出ない課題」を与えて考えてもらっています。

    * *

    昨日まで米国・サンフランシスコにて開催された ad:tech に参加していました。今回ふれた「戦略」について ad:tech で感じたことを述べたいと思います。

    追記:誤字脱字の修正、加筆をしました (2007/4/27 11:30 (米国現地時間))

    ※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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