最終更新時刻:2009年11月7日(土) 10時00分
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捨てる勇気 【mixiの成長戦略(1)】

公開日時:
2008/02/09 16:49
著者:
尊仁

「危機感あるが、頭打ちではない」 mixi笠原社長に聞く成長戦略 - ITmedia News

http://b.hatena.ne.jp/entry/http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0802/08/news013.html

 

近い将来のミクシィの失速と衰退は恐らく避けられないだろう。なぜかというと、ウェブ全体がミクシィ化しているからだ。

タンブラとツィッターはミクシィユーザーが日常的に行っている行為の一部を極小のコンポーネットとして、しかも綺麗に「外部化」している。ウェブの世界が「外部化されたコミュニケーションによる社会化を進めていくこと」つまり「公共圏」として拡張・進展・浸透していくことを押しとどめるのはもはや不可能だろう。

twitterやtumblrやdiggなどがオープンな環境として緩やかな相互接続を進めていく際に共通のプラットフォームとしてはOpenIDやOpenSocial、SocialGlaph APIなどが(それぞれ階層は違えども、共通してオープンなプラットフォームを志向している)パーソナリティやアイデンティティを繋ぎとめるための土台になるだろう。

つまり、ウェブ全体がソーシャルネットの土台になってしまう以上、スモールユニバースとしてのmixiはある種の諦めと、それを踏まえた決断を迫られるのではないだろうか?

その場合の決断とは「1:エンターテインメント体験を共有できるニッチ・コミュニティの束」、「2:ビジネス的なファイアーウォールを必要とするニッチ・コミュニティの束」といった「一定の囲い込みが意味を持つコミュニティ形成の受け皿」として“どのようなターゲット階層に対してどのようなサービス(ベネフィット)を提供するか?”の選択と集中ではないかと思う(※1)。

三つ目の選択としの「閉鎖系プラットフォーム」としてのミクシィは、ウェブサービスのプラットフォームとしてはもはや産業構造的に矛盾しているので今やあり得なだろう。だから、この場合の「諦め」とは“閉鎖系プラットフォームであることを諦める”ことを意味する。

ただし、現在ミクシィのモバイル事業が好調なのは、その戦略的「選択と集中」の観点からすると、むしろマイナスの効果の方が大きいように思える。

なぜかというと、それは戦略的拠点の放棄と撤退という「必要な決断」をいたずらに遅延させるからだ。

恐らく、モバイル事業絶好調の現状は「閉鎖系プラットフォーム」としてのミクシィという自認(=成功による自己認識の強化)を補強するだけで、本当はできたかもしれない「特定のニッチに対応した独自サービス拠点の確保」という来るべき未来に向けた判断と周到な準備を遅らせるだけだろう。

その点、モバゲーとニコニコはまだまだ強みを持っていると思う。

彼らはニュートラルなプラットフォームを志向しない。エンターテインメントを核とするサービス提供者としての行動規範を基軸とする以上(ケータイのコンテンツプロバイダーとはそういうものだ)、もしかするとウェブ生態系のオープンアーキテクチャー化は将来的な市場規模の拡大(あるいはグローバル化と言ってもいい)という点で、非常なプラス効果を期待することもできるからだ。

だから、ミクシィの好決算とマーケット評価のマイナス採点とは、現在のミクシィが置かれている非常に難しい局面を嫌と言うほど象徴している。

ミクシィは、閉鎖系プラットフォームであり続けることとケータイSNS最大級のメディアであることの双方を絶対に放棄できない(少なくとも今しばらくは)。そして、その放棄できないと言う部分こそがミクシィの将来価値を圧倒的に毀損する。継続的な好業績とそれに比例しない市場評価は当分続くのではないだろうか?

※1:オープンなソーシャルグラフの環境のなかにニッチ的な閉鎖系コミュニティを構築するという選択肢は十分に残されていると考えます。

ただ、その戦略で行くことは単独企業としてのサバイバルではなく、より大きなエコシステム内に戦略的撤退することを意味するように思います。

トラックバックいただいたエントリーを読んで、本エントリーが非常に説明不足であるように感じました。それでこの注釈を追加したのですがいかがでしょうか?

「閉鎖系プラットフォーム」というのはもはや意義的にも産業的にも存続していけない(少なくとも公開企業としては)、ただし閉鎖系ニッチ・コミュニティとしての付加価値向上というチョイスは決して悪くない選択肢のように感じます。

 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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