■ヤッターマン差し替え祭りに見るメディアの新旧交代劇(の一幕)
ニコニコで発生している「ヤッターマン曲差し替え祭」を見ながら、ここで起こっているコトは何なのだろう?と考え込んでしまいました。
もはや制作・放映サイドよりもヤッターマン(コンテンツ)に関しての情報や理解、愛着をふんだんに持っている消費者サイド。だけでなく、そのすべてをあらゆる手段で(マスメディアに拮抗しうるだけの質と量で)投入できるという状態が目前にある訳です。
たとえば、差し替え祭りタグのなかの「歌ってみた」などはすぐにオープニングに使えそうですし、MAD作品の多くは理想形としてどういうオープニングが期待されているのかをそのまま具現化しています。
しかも、そのスピードは放送サイドの速度感とは比較できない速さ(ネットでは常に番組の繰り返し再生およびMAD作品のアップが可能なので、週単位のアニメ放映とは迅速度が違いすぎる)で進んでいきます。さらに、差し替えの手法も「カットの再編集」「左右で聞き比べ」「新旧逆転」など多岐に渡ります。
時代の過渡期に提供サイドが(従来どおり)情報強者であり続けているという「幻想」を持ち続けていた、そのギャップがはっきり露呈してしまったのではないか?そんな印象を持ちます。
「アジャイル」とは、現在の所は、ITという狭い世界の中でのソフトウエア開発という特定の業務における仕事の方法の改善、というとらえ方をされていますが、私は、この方法論の射程はもっとずっと大きく、「官僚制」というある意味で社会の基盤となっている常識に対するアンチテーゼだと考えています。
そして、ソフトウエア開発の現場では、戦争と同じく、お題目だけで明確な成果を残せないものは、生き残ることができません。
「アジャイル」はラディカルな思想を含んでいますが、あくまで実践的な方法論です。だからこそ重要だと思います。
■あらゆる「官僚制」はこうして解体されていくのか?
“官僚制”を広義の「権力機構」と読み替えるなら、今回の事件も上の文脈から読み直すことができるでしょう。
目前のタイアッププロモーションという(現場の)理屈からすれば主題歌の起用が放送側都合で左右されることには一定の経済的必然性があります(しかも、視聴者側にしてもその都合についてはよくよく承知していたりする・・)。
ですが、広告媒体としてのアニメ番組の前提として、その番組自体が(主要ターゲットになるべきニッチ・ユーザーである)視聴者から見捨てられてしまっては本末転倒です。主題歌のプロモーションを考えたとしても視聴率がベースですしスポンサーとしてみれば視聴率の得られない(人気の無い)番組をスポンサードする意味はありません。
差し替え祭りのコンテンツがすべてのヤッターマン・コアユーザーのオピニオンを代表しているか?は、微妙かもしれませんが、かなりの精度で“期待されている”コンテンツの有り様を伝えていることでしょう。
それを読み取るためのチャネルだと考えれば、この場は非常に有効な場でしょうし、もしも味方につけることができれば潜在オーディエンスの獲得(強力なインフルエンサーを集団で巻き込める)という点でも、有力メディアとして活用できたはずです。
ところが、“アジャイルとエクストリーム”というラディカルな構造変化(開発コンセプトをメディアの循環にまで広げるのは拙速かも知れませんが)は、皮肉なことに本来共生できるはずの送り手と受け手の間に「敵対関係」的な緊張感を生み出してしまいました。正直、なんともったいないことか・・と、思わざるを得ません。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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