■ドワンゴとクリプトンが和解、そして共同声明を公表へ
クリスマスにはふさわしい朗報が飛び込んできました。初音ミクJASRAC登録問題としてドワンゴ(株式会社ドワンゴ・ミュージックパブリッシング)とクリプトン(クリプトン・フューチャー・メディア株式会社)の間で争われていた件がようやく和解に至り、さらに新たな協業に向けた協力関係が表明されました。
これはニワンゴ運営の「ニコニコニュース」およびクリプトン運営の「メディアファージ事業部ブログ」で、それぞれ同じ内容で、共同声明として公表されたものです。
権利関係についての確認内容および現状認識と今後の取り組みが明確に整理されています。
ニコニコニュース 着うた配信及び今後の協業に関する共同コメント
http://blog.nicovideo.jp/niconews/2007/12/000756.html
メディアファージ事業部ブログ 着うた配信及び今後の協業に関する共同コメント
http://blog.crypton.co.jp/mp/2007/12/post_63.html#more
以下は、特に争点になっていた権利・契約関係についての確認内容です(全体項目の「4」)。
(1) 「初音ミク」のキャラクターの著作権および名称に関する商標権はクリプトン・フューチャー・メディア株式会社が保有することを確認します。
(2) 「初音ミク」ソフトウエアを使用して作成された音楽データ(原盤)に関する権利は、「初音ミク」ソフトウエアの使用許諾契約書の諸条件のもと、音楽データ(原盤)の制作者が保有することを確認し、その権利行使代行会社を制作者自身の意思により決定することができることを確認します。
(3) アーティスト名などに「初音ミク」を引用して着うた配信を行う場合は、クリプトン・フューチャー・メディア株式会社と音楽データ(原盤)の制作者もしくはその代行会社との間で別途、許諾が必要であることを確認します。
(4) 「初音ミク」ソフトウエアを使用して作成された音楽データ(原盤)に使用されている楽曲の権利については、作詞家、作曲家のものであることを確認します。
(5) (4)の作詞作曲者は、楽曲の権利行使代行会社を自らの意思により決定することができることを確認します。
(6) 株式会社ドワンゴ・ミュージックパブリッシングは、今後「初音ミク」ソフトウエアを使用して制作された音楽データ(原盤)に使用されている楽曲が、初音ミクをつかった音楽データで一般に有名になった場合で、楽曲の管理を著作者に申し入れる際は、社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)への信託、イーライセンス等他の著作権管理団体への信託、管理団体非信託の選択肢があること、及び各々を選択した場合のメリット・デメリットを説明し、いずれとするかにつき、著作者の意思を確認いたします。
私見ですが、今回、特筆すべき内容は、(4)と(6)の項目ではないかと思います。
従来、初音ミクソフトウェア利用規約には商用利用に際しては許諾を要する旨記載されていたようなので、上記(4)に於いて楽曲の権利が著作者に帰属することが明示されたのは前進だと思います。今後、ソフトウェア利用規約が修正されるのではないかと考えます。
初音ミク楽曲を制作し発表する上で、商用利用も含めた展開が図り易くなるのは快挙だと思います(ただ、商標やキャラクター意匠について利用上の注意が必要なのは言うまでもありません)。
また、ドワンゴが今後着うた配信する際の契約姿勢として、(6)のような情報開示と適正説明が為されるのも非常に好ましいことです。
一般にプロシューマー・サイドは著作権契約については疎いことが多く、楽曲の信託管理に関しても可能な選択肢をフラットに比較検討することは困難であろうと思われます。ですので、そのメリットデメリットを把握してもらうよう努めることは、ビジネス・パートナーとして相互の理解・納得を深める上で有効でしょう。
■ネットに対応した著作権管理システムへの第一歩か?
さらに、この共同声明内の第5項目では、以下のような取り組みも示されています。
音楽著作権の処理に関しては、現在のシステム・ルールがネット時代に即応できていない不十分な部分が存在するという認識で一致し、時代に即応した新しいシステム・ルールを構築できないか両社で協力し検討してゆきます。
(前出の共同声明より)
CGMのマネタイズに於いて、「オリジナル楽曲のネット流通(アテンションの獲得戦略)」と「楽曲のパッケージングと販売(ネット販促的なリーチ戦略)」 は本来合致する筈のトータル戦略として考えられるべきモノだと思います。
その際にプロシューマー(CGM利用者のコア層)が楽曲を自由に編集・配布できることと、既存の楽曲管理システムの間には相当な乖離があります。
そして、その乖離こそが、今回の初音ミクJASRAC登録問題の原因ではないかという見方もできます。
このようなトラブルを経た上で、新しい著作権管理方法について複数社が議論・検討・試行するのは、最終的なユーザー・メリットを考える上でも非常に有効なアプローチだと考えます。
今回のBGM:
【初音ミク】ハト【オリジナル】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1817563
オリジナル曲を初音ミクに『ほんとは分かってる』
追記:
ドワンゴがニコニコ事業部をニコニコ事業本部に昇格し、さらにライツビジネス部を新設。ニコニコ・プラットフォームから生まれるライツビジネスへの取り組みを刷新。
ニコニコ発のコンテンツ育成→マネタイズへの動きが、迅速化&適正化するといいですね。
組織変更ならびに人事異動に関するお知らせ
http://info.dwango.co.jp/pdf/ir/news/2007/071225.pdf
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
尊仁 on 2007/12/27
>尊仁さんへ、
私もわかりませんが、YAMAHA内の他のソフトウェアなどとバッティングする物を制限、VOCALOIDの簡易版の製作を制限のどちらかじゃないですかね(カラオケは前者、着うたは後者あたりじゃないかと予想しています)。
あとココのクリプトンに規約について問い合わせて見たというエントリはおもしろいです。
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0711/05/news061.html
yaten02 on 2007/12/27
Soiさん、
ご指摘の件、やはり今後の課題かな?と思います。著作権の取り扱いに関しての分かりやすい意思表示(CCのようなもの)と、それを運用可能なスキーム+チームが求められるのかな?と思います。
パブリックドメインにしちゃうと自由流通は可能そうですが、そうすると収益化とその管理は非常に難しいでしょうし、でも信託せずにあらゆる許諾、権利処理をさばくというのも相当困難な感じがします。でも、そういうスキームへのニーズは確実にあるだろうと思います。
尊仁 on 2007/12/26
yaten02さん、
VOCALOID(YAMAHA製品)のもともとの規約がこうなっているんですね。ありがとうございます。私の理解も記述も間違っていました。
ただ、なぜCDがOKで、カラオケ+着うたが駄目(許諾要)なのか?その意味合いがよく分かりませんでした。
複製されるもの(CD)と公衆送信されるもの(着うた等)とを分けて扱う理由が何かあるのでしょうが、その根拠が分かると、もっと理解が深まるんじゃないかと思う次第です。
尊仁 on 2007/12/26
Soi on 2007/12/26
商用利用制限は着うたカラオケのみで、YAMAHAが出した販売時の制限条項なので変更はないと思いますよ。(http://www.vocaloid.com/jp/general_faq.html のQ5を参照)
今回は着うたに関する物ではなく、元々制限のない楽曲の権利についての合意だけです。
ドワンゴ側としてもあまりつついてYAMAHAが出てきても困るので、着うた配信許諾の契約もしているし元から合意済みって事なんじゃないでしょうか。
yaten02 on 2007/12/25
尊仁 on 2007/12/25
かる on 2007/12/25
尊仁 on 2007/12/25
『上記(4)に於いて楽曲の権利が著作者に帰属することが明示されたのは前進だと思います。今後、ソフトウェア利用規約が修正されるのではないかと考えます。』とありますが、製品のVOCALOIDライブラリ利用規約契約で制約されているのは、「初音ミク」や「VOCALOID」などの言葉を使って楽曲を商用利用することだけであって、それらの名前を使わずに商用利用することは禁じられておりません。従いまして、ソフトウェア利用規約が修正されるべきものではないです。
t5t3 on 2007/12/25
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なるほど!少し理解が深まりました。そういえば簡易版作曲キットのFLASHが出たときには若干問題になったようですね。
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0711/05/news061.html
あと、このQ&Aはスゴイですね。なんだか色々試行錯誤を経ながら契約条件も変わっていくのでは?という印象を受けました。