■ドワンゴ株を巡る動向
ドワンゴ株が下落傾向から一転反発中。ただし、「初音ミク」のJASRAC登録問題が重石になっているのでは?という指摘もあるようです。
前日比2万5000円(8.0%)高の33万4000円まで買われる場面があり、東証1部の値上がり率ランキングで上位に入っている。11月末からきょうの安値(28万1000円)まで株価が33%下落したうえ、きょうはネット株全体に自律反発狙いの物色の流れが生じていることもあり、ドワンゴにも値ごろ感からの買いが集まっている。
(中略)
また、クリプトン・フューチャー・メディア(札幌市)が販売する音声合成ソフトで、仮想の女性キャラクターに好きな曲を歌わせることができる「初音ミク」については、ユーザーが作成しニコニコ動画上で人気を集めた楽曲の「着うた」の配信を巡りクリプトン社との間にトラブルが生じている。このことが重しになっているとの見方もあった。
ニコニコ動画(ニワンゴ運営)は、現状ではドワンゴの投資事業的な位置づけと言え、本業不振の現状から将来的な収益の柱として多大な期待を寄せている有望株だと思われます。
ただ、その投資負担は発表資料などから営業損失の約3割程度と考えられ、しかも現状では黒字化路線も不透明という市場での評価もあって、現状ではまだまだ苦戦中と言えます。
インターネットコンテンツ企画開発のドワンゴが2007年11月13日に発表した07年9月の中間連結決算は、売上高が前期比11.5%増の222億5700万円、営業利益が3億6800万円で、当期損益は14億円の赤字だった。モバイル事業では、原価率が高い「着うた」「着うたフル」などの音楽配信サイトを増加させたことで収益が悪化。子会社のニワンゴが開始した動画にコメントを投稿できるサービス「ニコニコ動画」も、好調に有料会員数を増やしたものの、会員増加による設備投資、新機能の開発などで先行的に費用がかさんで収益に貢献できなかったという。
「ニコニコ動画」微笑まず ドワンゴが14億円の赤字
■ドワンゴにとってニワンゴは金の卵を産むガチョウでは?
基本的にニワンゴがあの設備投資と開発投資を維持できるのはドワンゴの資金力ありきです。
でも、その一方で、採算性の低下している現在の本業(着うた配信)から、新しい収益源の開拓という点で「ニコニコ動画」が着実に成果を出しつつある(収益化に向けた会員数獲得とサービス利用時間の伸張という段階だとはいえ) という点では、現状のドワンゴに対する市場評価のなかでニコニコの占める価値はかなり高いと思われます。
また、ドワンゴにとってはニコニコで育成したユーザーコンテンツを着うた等で経済化できる収益チャネルを(しかも、業界最大手)を有している点では非常に有利です。
今後、しかるべき成長曲線に乗せられれば、音源獲得コストを低減しながら、かつ販促チャネルとして直接的に有効な媒体を確保した状態でのビジネスが可能になります。
このアドバンテージは非常に大きく一見多額な投資額も、恐らく実を結んだときには、むしろ妥当な投資だったという評価が下されることでしょう。
■ニコニコ運営のKYは凄いのだけれども..
そういう意味では、今回の初音ミクJASRAC登録問題以降のドワンゴのパブリシティ対応の拙さ、ニコニコユーザー向けのロヤリティ(ユーザー忠誠度)確保の下手さ(ニコニコニュースでの公式見解など、事実関係はともかく説明の与える影響への洞察が欠けているのでは?)などの波及効果を考えると、ちょっとダメージが大きいように感じます。
それは、ニコニコがドワンゴの将来事業として付加価値を最大限に発揮されるためには、何にもまして「コミュニティユーザーとの紐帯」を大切にする姿勢が優先されるべきだからです。
少なくとも、ニワンゴ運営側のねばり強さ、打たれ強さ、空気を読む能力などは、現状のCGM市場では一級品なのではないでしょうか?この問題を巡るブログへのコメントに、「最大の敵は内部にいる」という指摘があって、「なるほど」と思いました。
■企業としての優先順位が変わりつつあること
また、いろいろと取りざたされているドワンゴ対クリプトンのウェブ上での今回の経緯を巡る応酬なのですが、やはりクリプトン側にCGMユーザーからの支持が集まりがちなのも、「コミュニティユーザーとの紐帯」こそが生命線だと考えるコンセプトが体感的・経験的に染み渡っているからではないでしょうか?
注意しないといけないのは、ここでいう「紐帯」とはCRMなどに代表される顧客満足的な立場とはかなり様相が異なるという点です。その関係性はむしろ、「協業者」的な立場、同志として取り扱うような関係であるべきだと思います。
考えてみれば、「はちゅねみく(SD化した初音ミクが初めてネギを振った動画作品)」が世に出た時点からクリプトンは諸手を挙げてその快挙(CGMから新しいユーザーコンテンツが成功を遂げていく経緯)を祝福していたわけです。
それは、もちろん自社商品の成功に向けての期待感込みなのですが、それがユーザーの自由な創意工夫と並行して起こる筈だと言う確信についてはずっと首尾一貫していたように思います。かつてはケータイビジネスの最先端に位置した筈のドワンゴでさえ、既に旧態依然となってしまっているのは時代の速度なのでしょう。
クリプトンのOtomania氏へのコメントが熱すぎる件 (敷居の先住民)
http://d.hatena.ne.jp/sikii_j/20071129/p1
「ユーザーのボランティア精神にひっかかるようにする」--ニコニコ動画運営のコツ
http://japan.cnet.com/interview/media/story/0,2000055959,20363442,00.htm
まとめ:
1)CGMはコンテンツ獲得とダイレクト販促のチャネルとして有効
2)ニコニコ動画はCGMのビジネス化に於いては確実に地歩を築きつつある
3)ドワンゴのニワンゴへの投資は市場評価と将来の収益性確保の面で妥当
4)将来的に収益化する際の経済化チャネル(着うた配信等)を有している点も優位
5)但し、CGM収益化の為には、ユーザーを協力者としてリスペクトする姿勢が不可欠
6)それを体現するためにはニコニコ運用サイドだけでなく関連会社にも優先順位の理解が必要
7)クリプトンはCGM収益化に際しての優先順位=ユーザーへのリスペクト重視を体現している
8)顧客満足とは異なるユーザー理解と相互協力という新しい価値観はこの先さらに重要度を増す
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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