最終更新時刻:2009年11月25日(水) 19時20分
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“業界の慣習”は再構築できる..みっくみくのJASRAC登録問題 【初音ミク】

公開日時:
2007/12/21 13:33
著者:
尊仁

■「みくみくにしてあげる♪」【してやんよ】JASRAC登録問題について

「みっくみく(以下略)」のドワンゴ・ミュージックパブリッシングによる携帯着うた配信について幾つかの問題点が派生的に発生しています。

当初は、JASRAC登録時のアーティスト名表記に関してドワンゴ側に事務手続きのミスがあった・・という程度の問題(表記を修正することで解消する)だと感じていたのですが、実はそうでもなさそうです。

今回のトラブルの経緯および内実を的確に記すには、現在の状況はまだまだ流動的でなんともいえませんが、問題の本質は意外と深い所まで及んでいるようにも感じます。

まず、一番根深いのと思われるのは『JASRACへの著作権料管理委託(信託)によってネット利用時の自由が大きく損なわれる』点ではないでしょうか?

 

■初音ミク音源のケータイ配信を音楽出版=著作権管理の既存ルーティン に載せる際の問題点

栗原潔さんの(「テクノロジー時評 Ver2 」 内)エントリーに詳しいのですが(※1)、楽曲の管理について信託をした場合、その信託契約に対しての忠実義務に於いて(その契約対象がJASRACであるかどうかに関わらず)、「ネットでの非営利の二次利用についてはオッケ!」とはいかないだろうと思います。

例えば、「みっくみく(略)」の楽曲を使って動画を作成した場合に、

 1) ニコニコで動画をうp。 →公衆送信

 2) ニコニコで動画をDLしてmp3を作成、ネットで公開・CDで配布 →公衆送信あるいは複製の頒布

 3) ニコニコで動画をDLして再編集してうp。 →二次利用と公衆送信

といったように、いずれにしろ著作権料の徴収対象(あるいは違法利用については訴訟対象)となります。

もちろん、そのような取り扱い(=二次利用に対しての使用料の徴収と違法利用の排除)を作者およびクリプトン社が望んでいたとすれば、少なくとも契約上問題ありません(企業ポリシーとかは別として)。

ただ、作者はともかく(これは現時点では分かりませんでした)、クリプトン社はそれを望んでいません。それよりも、現時点ではむしろネットでの自由な流通促進あるいは再利用を優先する立場のようです。

なお、弊社が行う契約は、着うた配信に限定したものであり、JASRAC等の登録は断じて行いません。従いまして、契約した楽曲がネットで自由に聞けなくなる等の不都合は起こりませんのでご安心ください。

メディアファージ事業部ブログ 着うた配信の経緯 http://blog.crypton.co.jp/mp/

 

■ここでも新しいコンテンツ流通のスキームが求められている。

もしも同情すべき余地があるとすれば、ドワンゴ側は音楽出版社としてのルーティンに則って業務を遂行しただけだと、現在起こっているネット上の反発に対しては違和感を感じているのではないでしょうか?

JASRACヘの楽曲登録、口頭ベースの契約など、業界慣習に則ったというのが基本的な言い分でしょう。

少なくとも、現在見えている情報の範囲だけですと、クリプトン社とドワンゴ社の相互の説明(※2、※3)は大きく異なっており、間に立った権利処理会社の存在もあるために、それぞれどのような手違いや意思疎通の行き違いがあったのかは正直分かりません。

でも、音楽出版社がパブリッシャーとして楽曲の出版ビジネスを行う際の従来あるスタンス(ビジネスモデル及びそれを支える価値連鎖の構造=業界慣習)で進める以前に、実はやるべきことが幾つかあったように思います。

ネットで育まれている新しいユーザーコンテンツの流通にどう取り組んでいくのか?

その際の権利処理と利益配分を、実際どのようなパートナーと、どのような取り決めに基づいて進めていくのか?についての“深い洞察と現実的な仕組み作り”が不可欠だったのではないでしょうか?もちろん、構築しながら組み替え直すというスタンスで。

おそらく、現状のスキームにおいて最もまずいのは、「通信カラオケや着うたなどの営利事業の収益の一部はもらいたい、しかし、非営利の利用は自由にやってOK」というライセンス形態をサポートする方法がないということではないでしょうか?仮に、作者さんが「『みっくみっくはネット上での非営利目的だったら自由に利用していいよ」と言っても、JASRACにインタラクティブ配信等の権利を信託してしまった以上、それはかないません。

栗原潔のテクノロジー時評Ver2 より 「JASRACと信託契約を結ぶ場合の課題について

■業界陳腐化=新しいビジネスチャンス

確かに、従来の公衆送信(送信化権)については商品化されたモノ(パッケージ)の配信経路としてネットを使う場合を想定しているので、ネットを通じて育まれたようなネット発のユーザー・コンテンツをどう取り扱うのか?という新局面は当然ながら織り込まれていません。

ネットでの非営利行為については(アテンションの獲得になるという経済合理性もあり)オッケー的なスキームが議論の遡上の登るには、今しばらく時間が掛かりそうです。「ニコニコモンズ」などは有望な解決策のひとつになりそうなのですが。

ただ、考えようによっては、このような新しいタイプのコンテンツの権利処理は、同時に新しいビジネスモデルの契機にもなります。業界慣習が陳腐化したのであれば新しい価値連鎖を再構築すればいい。

それに、そういった新しいモデルの構築と音楽市場へのインプリメントこそ、意欲的なベンチャー企業にとって取り組むべき重要課題=ビジネスチャンスなのではないかと考えます。

現実には、ユーザーコミュニティとの軋轢・衝突も含めてのトライアルなのではないでしょうか?

 

関連情報:

※1 JASRACと信託契約を結ぶ場合の課題について(栗原潔のテクノロジー時評Ver2)

http://blogs.itmedia.co.jp/kurikiyo/2007/12/jasrac_e385.html

 

※2 着うた配信の経緯(クリンプトン社メディアファージ事業部ブログ)

http://blog.crypton.co.jp/mp/2007/12/post_61.html

 

※3 クリンプトン社の謝罪に対するコメント(ニコニコニュース ドワンゴミュージックパブリッシング)

http://blog.nicovideo.jp/niconews/2007/12/000744.html

 

追記1:上のリンクを掲載中にもクリプトン社側からの“反論への反論”が掲載されています(メディアファージ事業部ブログ)。基本的な企業ポリシー及び問題意識が明快で、非常に好感の持てる内容だと感じます。

追記2:CNETにまとめ記事が掲載されたのでTBしておきます。

追記3:ドワンゴ側からの“反論への反論への反論”が掲載されています。ひろゆき氏からの妥当な提案はスルーされているような・・・。

追記4:上記のひろゆき氏エントリーへのコメントに良いまとめ(契約の問題もあるけどその前に salaさん投稿 )があったので転載致します。

JASRACに楽曲を信託すると営利目的ではない使用であっても、例えばネトラジのBGMとして使ったりすればJASRACの許可は取ったんですかになるし、アキバの店舗のBGMとかでもJASRACに加盟してないと流せなくなる。もちろん、後でJASRACに登録されてしまった楽曲に動画をつけてあげていた職人はJASRACに使用料を払わずにその動画をニコニコ以外の場にアップすることは、「音なし」でないと出来なくなる。

 

 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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このエントリーへのコメント

2

現時点では作曲者さんのコメントが確認できなかったのと、掲示板やブログなどを見ていても憶測的な記事が多かったので敢えて触れませんでした。

  尊仁 on 2007/12/23

1

ここでは作曲者氏の立場がなにも語られていない。

  motozi tokunaga on 2007/12/23

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