最終更新時刻:2010年2月10日(水) 21時17分
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ダウンロード違法化は死亡フラグ?(その2) 【ネット著作権】

公開日時:
2007/12/19 11:03
著者:
尊仁

余りにも長かったので、前半と後半に二分割しました。

■コンテンツの生産手段と流通手段はもはや独占できない

CGM/UGCの新しい動きは、当初「アマチュアリズムの勃興」という側面から捉えられてきました。

いわゆるプロ対アマの対立構造、生業としてのコンテンツ制作と趣味としてのコンテンツ制作という「上下構造」を前提にした議論です。

ですが、現実に発生しているのはそういった垂直方向の対立構造ではないと考えます。

よく言われることなのですがネットは(というかデジタルの本質としても)コンテンツの流通コストを極小化しますし生産手段も同様に極端にコスト低減しているなか、CGM/UGCがコンテンツ創造の現場として活性化・影響力増大するのはある意味歴史の必然のように感じます。

かつてのような、生産手段と流通手段がごく一部の企業のものであった時代はもはや過去のものです。

レコーディングスタジオやCD量産工場(音楽レーベル)、輪転機や新聞配達ネットワーク(新聞社)、雑誌コード・書籍コード=書籍取次ネットワーク(出版社)、撮影スタジオや映画配給ルート(映画産業)などは限られたプレイヤーによって占有されていましたから、それらのプレイヤー間の競合関係を超えた競争状態は想定されていませんでした。

ところが、生産手段としてのPCおよび流通手段としてのネットが安価かつ高速に利用できる現状ではそういった制度的ハードルは何も意味を持ちません。

■「過剰の経済学」という大きなパラダイムシフトは果たして避けられるのだろうか?

その結果起こったことは『商品の過剰(この場合は商品=コンテンツとしたほうが適切でしょう)』と、それに対応した『アテンションの希少化(商品に対しての注意・認知・理解=時間コストがどんどん貴重になっている)』という現象です。

コンテンツの総量が飛躍的に増えれば、それらの個別コンテンツにリーチする機会は当然のように希少化します。

そして、この環境変化は90年代のネットの発生以降様々な試行錯誤を経ながら発展してきました。それは、もはや創作環境や流通ルートといった“部分”に留まらない(発展途上の)新しい“現実”です。

現在がそのような大きな転換点であることを考えるならば、コピーワンス(ダビング10)の問題にしろ、今回のダウンロード違法化の件にしろ、権利者団体側は常に“逆向き”の選択をしているように感じられてなりません。

つまりコンテンツの過剰に対して当然考えるべき「アテンションの獲得という戦略」から観ると、その選択はいつも“逆方向”なのです。

現実的に考えて、楽しむことが違法とされるコンテンツよりも、より自由に楽しむことが出来るコンテンツが利用されるのは自然な流れです。

■そもそも議論すべき当事者がそのテーブルに集まっているのだろうか?

いずれにしろアテンションの獲得機会を競うコンテンツ制作者側の意欲はいずれ権利者団体サイドの思惑を超えて早晩増大するのではないかと考えます。

レイディオヘッドが新譜を自由価格(無償提供も含む)で提供した実験もその顕著な現れです。彼らはもはやレコードレーベルとの契約を必要としていません。無償提供も含めてリスナーにリーチしようとする彼らの戦略は、既にレコードレーベルのビジネスモデルを超えています。

ユーザーのアテンションを獲得すること=「リーチする機会」の獲得という点から考えると、MIAUやJEITAが対論をもちかけていることは積極的な価値観転換に向けての呼び水の側面もあるように感じます。

でも、権利者団体というものは決して新しいビジネスモデルを構築する組織体ではなく、限られたコンテンツ収益の入り口(補償金を収益と看做すのには若干抵抗がありますが)を保存・維持する立場ですから、やはりどうしてもネット=ダークサイドの意識からは離れられないのでしょう。

そして、その結果として(制度イノベーションが進まず)コンテンツの国際協業ネットワークからますますビハインドしていったとしても権利者団体の掲げるミッション(存在理由)からすれば問題の無い(=責を問われない)ことなのです。

■アップルのパブリックコメントは(残念ながら)いまだに意味を持ち続けている

ただ、その結果、本来得られる便益を失ってしまうのはユーザーサイドです。例えば私的録音録画補償制度の目的は本来的には「クリエイターに対する適正な対価の還元」でしょうし、その目的設定根拠は「適正な創造環境の整備」にあるはずです。

そして、それが結果としてユーザー便益と調和するところが制度設計の眼目であるはずです。制度イノベーションが起こりえない“ネット=ダークサイド、ユーザー性悪説”の思考法は、その本来満たされるべき社会的な合目的性からはもはや大きく乖離していると考えます。

Appleは、かつてパブリックコメント内で文化庁の著作権問題当事者としての資質に対して激しい攻撃を加えています。

この攻撃的言説は当時“ガセ?”と言われたほど過激なものでした。が、今回の決定を見るにつけその攻撃内容は決して外れてはいなかったように感じます。

はなから『結論ありき』の審議会運営をする著作権事務局には真摯な姿勢は微塵も感じられず、もはや公平公正な著作権行政を運営する適切な省庁とは言い難く、速やかに著作権行政を他の省庁に移管することを強く望む

アップル、文化庁を激しく非難--「私的録音録画補償金制度は即時撤廃すべき」

http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000056025,20350151,00.htm

 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

前後の記事

このエントリーへのコメント

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最新のエントリーでも触れたのですが、ドワンゴ社がみっくみくを着うた配信するに当たってJASRAC信託にしちゃうといきなりニコ動での配布も×に(信託管理の原理原則に照らすと)なるという。もちろんこの場合、ニコ動に限ってはオッケーという措置を取るのですが、それ以外の場では原則違法になってしまいます。要はCDか着うたか?というメディアの問題というよりも著作権管理のアイデアが既に現状のコンテンツ創造と流通の状況に合わなくなっているんだと思います。

  尊仁 on 2007/12/22

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音楽産業=CD販売と考えられがちなのですが、カラオケによる音楽配信が7800億円、ケータイ着うたなどのデジタル配信が580億円(前年比150%増)ですから、実は音楽市場全体でみると決して規模縮小しているわけではありません。
生活様式や技術革新のなか、音楽の聴かれ方、消費スタイルが変化しているという捉え方の方が妥当なのではないでしょうか?

CDが3500億円になったからと言ってそれをそのまま音楽市場衰退というのはある種のプロパガンダのようにも感じてしまいます。
明らかな違法はともかく着うた市場そのものの伸張には楽曲の認知機会拡大というポイントが重要でしょうから、ダウンロード即違法の硬直したスタンスだと現実的なネットプロモーション自体成立しづらくなるかも知れません。

いずれにしろ、全てを管理するという考え方では商品が広がっていかないように思います。ただ、権利団体はそのミッションとして権利の対価回収を極大化することを追いかけますから、そもそも今回のような重要案件の担い手としては余りに偏った立場だと思います。
少なくとも会議運営のバランスとしては相当偏向してしまっているように思います。これはやはり出来レースと言われても仕方が無いのでは?と。

  尊仁 on 2007/12/22

7

更にコメントです。
いちおうレコード協会も全体サンプル数1036で違法着うたの調査をしているようで、内354の集計で16%がCD購入が減り、5%が増えたと回答したそうです。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0701/29/news043.html
そういう意味では私の推測はあまり的を得ていないかもしれません。
でも着うたなんかで商売しないで宣伝費として考えたらいいと思いますけどね。
別の情報源:http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0701/26/news073.html

確かにコピーは現時点で違法ですけども、その法は何らかの目的を持って作られたわけですから、コピーが違法だからDLも違法っていうことじゃなく、それが文化の発展のためになるのかどうかを基準に考えてくれなかったら、みんなが納得できる結論にならないよっていうことが私の基本的な考えであって、DLくらいいいじゃんとか、そんなんでないことだけはご承知置きいただきたい。
私はカラオケも好きじゃないし携帯持ってないし、違法な音源が無くても生活できますので。

  takionline on 2007/12/22

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takionlineさん、どうも!
僕は違法着うたの現状は自分自身の利用体験も含めて全然分からないのですが、たとえばJEITA担当者のコメントなど読んでいますとともかくコピーは悪であるといったドグマが権利者サイドに根強くあるといった印象を受けます(利益相反している側のコメントなので差し引かないと駄目でしょうが)。

たとえば権利料を徴収していないDLについても経済性の観点(広告宣伝効果、認知効果)から評価する姿勢を持つだけでも相当見方は変わると思いますので、実際にその「損得」を考えてみるというステップは踏むといいのでは?と思います。

ただ、これは常に指摘されていることなのですが、デジタルネットに於けるコピー=「流出」に於いては膨大な経済損失(つまり遺失利益)が・・・という以上の報告は出されていないのですね。

委員会などで、違法コピーの功罪・損得を客観的に論じ合うような場があればかなり意味があるのでしょうね。ラジオ=アナログだからオッケ!というのは、単なる思考放棄のようにも感じます。
仮に自分の家族、息子や娘(笑)に話を聞いてみるだけでも価値があるかも?とかそういうレベルのお話かもしれません。あるいは、そういうレベルでも見直してみる観点が無いとすれば、単に権利保護の仕事のみをひたすらやっているだけの(著作物流通の将来など知ったことではない)、ある意味、職務に忠実な人たち=このような将来的重要課題を真摯に論じるに値しない単なるゲート・キーパー(門番)という評価も、無理からぬことか?と。これは言いすぎでしょうか?

  尊仁 on 2007/12/21

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どうも権利者側は違法着うたを一番問題にしているみたいですね。
AMラジオでは音楽とまったく関係ない番組にまで無理やりにでもプロモーション曲を流させているのに、それより明らかに宣伝効果のある着うたは有料じゃなきゃ許さないって、意味不明です。

合法・違法関係なく、着うたをメインで曲を聴いてる人なんてどれだけいるっていうのか。
それよりとりあえず着うたDLしてみて気に入ったらCDを買うっていうのが自然な流れなのに。
特に中高生が中心と思われる違法着うたのDL違法化で、CD売り上げは数%どころか何割か減少するでしょうね。
avexなんて、会社が傾いちゃうんじゃないでしょうか。
そして新人発掘費が削減されてアーティストの数も減少。

誰も喜びませんね。
結局は売り上げとかユーザー・クリエイターとか、権利者には全然関係ないんです。

とにかく自分でコントロールしたい。それができないものは禁止。
それが権利者の発想ですよ。

  takionline on 2007/12/21

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ご指摘のようなことは小委員会でもかなり意見されていたようですがなかなかシリアスには受け止められなかったようです。担当課長さんもユーザーの不利益はそれほど無いと楽観視されているように見受けられます。

Napsterも当時米国では相当争われたんですよね、裁判で。
ですから、実のところ違法にあたらないという見解が下された可能性もあった訳です。日本の場合はいきなり逮捕!という過去の事例もあるので(Winnyとか)、特にディープユーザーには懸念を指摘する声が多いと思います。
正直この委員会が議論の当事者として妥当なのか?という段階から疑わしいとこのエントリーを書きながら改めて思いました。
社会全体の福利厚生を考えたときに、権利者保護優先の議論でいいのか?という視点は重要だと思います。

  尊仁 on 2007/12/19

3

尊仁さま、お返事ありがとうございます。

私は頭が悪いんで、難しい事はよくわからないんですが・・・。(^_^;)

私としては音楽とかには興味がないんでこの件に関しては架空請求への対策をちゃんとしてくれればどちらでもいいんです。
(もちろん、ネットはみんなのものであるはずなのに、ネットの構築に深くかかわったわけでもない権利者の方達のペースで勝手に事が進められているところには大いに反感があります。)

でも、委員会の主張されていう文言だと、前回言ったMySpaceへのアクセスは違法かそうでないか、わからないし、グーグルの検索結果をクリックして違法ダウンロードが始まったらどうなるんだという気がするんです。

いくら、「違法と知って…」の文言があっても、それをどうやって証明するのかが疑問だし、年金問題とか見てると結局は自分で証明しなかればならないという事になりそうな気がするんです。
だから、架空請求にあったら多くの人が高いお金を払って弁護士さんを雇うより素直に払ってしまう事になるんじゃないかと思うんです。
かくゆう私もこの件に関して今知っている情報だけでは架空請求の相手でも「違法と知ってなかった事を証明しろよ。」と言われれば不安になって払ってしまうと思います。
そういえば、私は以前、アメリカに大学にいて、その頃、ナップスターが流行っていたんですが、学校からはナップスターをしてると疑われないようにログをとっておくよう言われてたんです。
ところが当時の私はログのとり方どころか、ログの自体知らず、ナップスターをして退学になった生徒がいるという噂は聞いてましたし、どうしていいかわからず怖くてしばらくネットが出来なくなった事があるんですが、それと似てる気がします。

それと、私が一番いやなのは、この件はあまり世間で知られてませんよね。
私が質問した大手家電量売店のお兄さんも知りませんでした。
権利者の方の真の目的はこの法律を密かに通して、無知な人を訴えて訴訟で一儲けを企んでいるのかと疑いたくなります。

  everact777 on 2007/12/19

2

everact777さん、
どうも!コメントありがとうございました。

政府の保護主義的な施策って、その背景にあるのは官僚が民衆を導いていくべきという計画主義的な発想だと思うのですが、これだけ社会構造が揺れ動いていると、それよりも衆知を集めていくネット的な方法論のほうが柔軟で効率的なのかも?というような気もします。

が、権利者団体主体の議論だと「保護」すべきだという視点からはなかなか離れられないみたいです。
ですので、その議論のテーブルそのものを見直す、ないしは議論の枠組み(アジェンダ)の段階から再設定するようなアイデアも必要なんじゃ?と感じます。

少し飛躍しますが、アメリカでも決して王道とは言えないリバタリアニズム(自由意志論)など、ネットで逞しく(!)生きていこうとする際のスタンスとしては参考になったりします。
が、リスクを引き受けて、自分の意思で何事も決定していくような生き方をしっかり選択できるのか?・・って相当過酷なスタンスですよね。でも、そういう考え方も含めて法律や行政を見直すようにしないと駄目なのかなあ?とか、そういうことを考え始めています。

リバタリアニズム(ウィキペディア日本語版)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%90%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%82%BA%E3%83%A0

  尊仁 on 2007/12/19

1

この件を以前ニュース番組で見て以来、コンピュータには全く無知なただの専業主婦の私はネットをするのがとても怖くなってます。

私はネットは見るだけで、ダウンロードしたりするのにはそれ程、興味がありません。
でも、リンクを押すだけで勝手にダウンロードが始まったと経験は結構ありますし、MySpaceのような音楽付のサイトでアクセスするだけでTempファイルに勝手に音楽ファイルがダウンロードされるサイトにはしょっちゅうアクセスします。
これらのサイトの多くは権利書の許可を受けてそれらのコンテンツを使っているのではないでしょうから、もしこんな法律が出来てしまうと、こういうサイトにアクセスした私たちも法を犯した事にならないか心配です。
ならないにしても、私のような無知な者は、この法律を悪用した架空請求のターゲットになってしまわないか心配です。
例えば、私なら「おまえは違法ダウンロードをした。訴えてやる。」と言われると、見に覚えなくても、こういう法律があると、知らずにダウンロードしてしまったかもしれないし、弁護士費用も高そうだし、裁判とかよくわからないので相手の言う通りにしておこうと言うことになってしまう気がします。
私は以前、芸能ゴシップサイトにアクセスしてそんな目にあったんですが、IT関係の仕事をしている主人からウィニーみたいのをする以外はネットをしてるだけで違法になる事はないからそういうのは無視しとけと言われてたんで、安心してネットしてたのに…。

それとこういう法律は政治家が決めるのではなく、権利者の方が中心の委員会が決めるのだと知り驚きました。
銀河鉄道999の盗作騒動の時も松本さんのような権利者の方は日本語も私物化して傲慢だなと思いましたが、ネットも著作物の権利者のものなのでしょうか?
日本はなぜこんなに権利者が強いのかな?ネットのラジオ放送も日本の局のは音楽部分はカットされるし。アメリカなら音楽専門局がネット放送してるのに。
また、アメリカでも権利者団体の活動が活発なようですが、それはネットでの個人の権利が強固に守られているからなようです。(例えば、裁判で判決が確定しないと、プロバイダは権利者や警察に請求されても個人情報を渡せない。渡すと逆にプロバイダが訴えられてしまうそうです。)
でも日本ではやはり個人の権利より圧力団体の権利が優先されてしまうんでしょうね。
その意味では日本は個人がどんなに蔑ろにされても自民党のような政党が勝ってしまう国だし、例え政治家が決めても、個人より権利者の論理が優先される方向でこういう法律が決まってしまうんでしょうね。
とにかく、こんな法律を通すんなら、私のような無知な人達が架空請求の被害に遭わないようにちゃんと対策して欲しいです。

でも、ホントこれからネットするのは怖くなりそうだな〜。このままなら、ネットをやめなきゃならないのかな…?

  everact777 on 2007/12/19

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