最終更新時刻:2009年7月11日(土) 10時00分
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ダウンロード違法化は死亡フラグ?(その1) 【ネット著作権】

公開日時:
2007/12/19 02:20
著者:
尊仁

■反対意見多数でも「ダウンロード違法化」のなぜ

私的録音録画小委員会(文化庁管轄)で検討されていた「ダウンロード違法化」についての結論がほぼ出たようです。

今回の違法化問題はYouTubeやニコニコ動画などの動画共有サービス発展段階とあたかも同期しているかのように議論が継続されていたのと、インターネット先進ユーザーの会「MIAU」による反対運動も注目されていたので、ご存知の方も非常に多いのではないかと思います。

 「ダウンロード違法化」が不可避に――12月18日に開かれた、「私的録音録画小委員会」(文化庁長官の諮問機関・文化審議会著作権分科会内)で、「著作者に無許諾で動画や音楽をアップロードしたサイト(以下「違法サイト」)からのダウンロード」を、著作権法30条で認められた「私的使用」の範囲から外し、「違法サイトと知ってダウンロードした場合は違法とする」という方向性がまとまった。

( ITmedia記事 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0712/18/news125.html

まず、そもそもパブリックコメントの募集は何だったのだろうか?という徒労感を禁じえません。

ダウンロード違法化反対のコメントが大量投稿されたことは今回の結論には反映されていませんし一見もっともらしく理解を示しているかのような説明も、その実まったく的外れなもののように見受けられます。

 例えばユーザー保護の施策として、法改正がなされた場合、その内容を政府・権利者がユーザーに周知徹底するほか、権利者がユーザー向けの相談窓口を設置したり、違法ダウンロードに対する警告方法を周知。適法サイトを示すマークを普及させる――といったアイデアを提案。「知らずに違法サイトからダウンロードした」といった事態を避けられるよう、合法サイトを簡単に見分けることができる仕組みを作るとしている。

( 同じく ITmedia記事より )

文化庁長官官房著作権課著作物流通推進室の川瀬室長はこのように述べているのですが、当然これらの諸活動にはそれなりのコストが掛かります。

1)ユーザー保護のための広報活動

2)違法サイトを示すマークの制定、その指定と監視などの運用および広報活動

3)違法ダウンロードの監視と摘発、警告受付窓口の運営および広報活動(これは権利者側のカバー範囲とされていますが)

などがそうだと思うのですが、これらのコストを掛けるだけのリターンが果たしてあるのかどうか?非常に疑問を感じます(※より本質的には、これらの諸活動による社会への萎縮効果=社会制度のイノベーションへの阻害効果の方が影響大だと考えますが)。

たとえば指定マークの制定と聞くと、それがまた利権の温床になるのか?なんてことを考えるのは考えすぎでしょうか?

■コピーワンス問題を巡る場外乱闘の与える違和感

記事の中には“汗をかく”という表現が登場しますが、今回違法化に反対したユーザー達は別に“汗をかいて”欲しいのではありません。

上記のようなコストを掛けるということは、もしかするとコンテンツの創造触発と流通促進に於いてもっと有益に使えたかもしれないコストを(もしかすると)マイナス方向の費用に振り分けてしまうことになりかねません。

“ユーザーには余り害が無いから良いだろう(でも、生殺与奪だけは握っておくよ)”というロジックには最低限のコスト感覚や将来的な戦略構想はないでしょう。

ついこの間のコピーワンスおよびダビング10を巡る(より正しくは私的録音録画補償金制度の存続を巡る)JASRACとJEITAとの議論の噛み合わなさを見ていても、その違和感は相変わらず拭いきれませんでした。

公開質問状は“場外乱闘”ではない、権利者側がJEITAの対応を批判

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/12/17/17907.html

そして、そこにある認識のズレとは、突き詰めると『過剰の経済学』という価値の転換が起こっている事と決して無縁ではないように思います(この点は後述します)。

■コピー=悪、ネット=ダークサイドというアポリアからは逃れられない?

これはJEITAの担当者がJASRAC(およびその他権利者団体含め)について言及していたコメントを読んでなるほどと思ったことなのですが、

権利者側は、一度の複製で即、経済的不利益が生じるという立場をとられている。

これはJEITAで著作権専門委員会委員長を務める亀井氏の発言ですが、この指摘はとても鋭いと思います。取材記事は下記のリンク先で読めます。

JEITAが「公開質問状」に回答しなかった理由〜亀井委員長に聞く

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2007/12/07/17796.html

恐らく、『コピー=悪』というアポリア(“他に道が無い”思考)はかなり根強く権利者団体サイドにあるのだろうと思います。

さて、違法化問題で主に議論されていたのは、そもそも海賊盤などの違法コピーがPtoPサービスなどでコストレスで大量に流通してしまう問題、あるいは着歌フルなどのケータイ向け違法配信問題だったように思います。

ところが、議論の過程でYouTubeなどの動画共有サービスが非常に幅広く普及してきたため、そこで繰り広げられているコンテンツ流通状況も議論の対象として大きくクローズアップされて来ました(YouTubeおよびニコニコ動画はJASRACと著作権料支払いに向けて具体的議論を開始しています)。

ニコニコ動画とYouTube、JASRACに著作権料支払いへ

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0710/30/news065.html

そして、現在非常に活性化している、CGM/UGCの動きも含めてネットに於けるコンテンツ流通を一律ダークサイドと看做す見解(コピー=悪という感覚的ロジック)には、非常に違和感を感じるのです。

後半に続きます..)

 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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このエントリーへのコメント

4

タクジさん、どうも!
“情を知る”という設定を元に、ダウンロードしたユーザーも違法になるという懸念によってアップロード者に対して歯止め効果がある。これは今回の著作権法改正の動きについて感じられる、権利者団体サイドの意向に即した波及効果なのかもしれませんね。

例えとしてはちょっと無理やりなのですが、「自動車産業の台頭を受けて、鉄道産業が補償金獲得を狙うも根本的な産業的転換(レンタカー会社の買収とか)を図れずにさらに衰退してしまいました」的な流れを一連の動きから感じたりもします。実際委員会でもビジネスで勝負をすべきだという意見は発せられていたようですし(もちろん一蹴されて終わり・・orz)。

初音ミクのコンテンツがユーザー間に交換されるのを促進しているクリプトン社とか、ああいった事例には未来を感じるのですが。

  尊仁 on 2007/12/19

3

ニコニコ動画に、料理動画を上げる事があるのですが、
それが著作権等の侵害として、権利者から訴えられる覚悟は、
ある程度した上で、BGMに商用のCDを使う事があります。
ニコニコ動画の若いユーザーに、色々な曲を知ってもらう機会と考え、
流行の曲は出来るだけ使用せず、流用元のCDは、市場に登録するように心がけています。

これは、アップロード者の自己責任の範囲(犯意?)だと思っています。
権利者の意向に合わない時は、アップロード者が罰せられれば良い。

「違法サイトと知ってダウンロードした場合は違法とする」
となった場合、ダウンロード者まで、罰が及ぶため、
「罰せられるのはアップロード者だけ」という覚悟での、
そのようなBGM使用とかは、出来なくなりますね。

  タクジ on 2007/12/19

2

きむこうさん、どうも!

「死亡フラグ」というのは権利者団体に代表される古い制度観についてのモノと思って書いていたのですが、権利強化が産業衰退に繋がる(あるいは並行している)っていうケースは相当多いんじゃないか?という気もします。
いずれ文化庁が著作権問題の当事者でなくなるという事態は想定しづらいのですが、国際競争力という観点から非難されることは十分に考えられますので、アップルの主張が受け入れられるようなこともあり得なくは無いと思います。
違法マークなど国際的には成立しないでしょから(国際協定できるとはとても思えません=管理コストが膨大なので)、マイナスの非関税障壁なのでは?という気もしてきました(国内流通は後退=海外での流通は加速・・という意味で)。

  尊仁 on 2007/12/19

1

 やはり力が強い権利者の主張には勝てないのでしょうか。
この記事読んでて
つい最近ニュースで報道された
「止まっているバスに白バイが勝手に突っ込んで死亡したのにも関わらず
 多数の目撃証言があるのにもかかわらず、
 裁判所が一切無視して
 バス運転手が(お上に逆らって)反省の色が無いから執行猶予無しで1年半の有罪」
というのを思い出しました。

  きむこう on 2007/12/19

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