■この増田さんに一票!(気持ち的に..)
“ケータイ小説作家とメタフィクション”について書こうと思っていたら、あの「はてな匿名ダイアリー(増田さん)※1」にこんな投稿が・・
いまやケータイ小説の消費者のほとんどが生産者であった。創作されたケータイ小説はまず周囲の友人達によって読まれ、そのほとんどがそこで停止するものの、稀に口コミで広まり一般文芸にはありえない形のヒット飛ばすこともあった。そして、ヒット作の周囲には多くの模倣が生まれ、そのミームは拡散し浸透した。この文化の担い手は主に少女達であったが、彼女達にとって今や物語はコミュニケーション上で通貨の役割を果たしていた。「泣ける」「感動した」等の賞賛の言葉は優れた物語に対する報酬ではなく、自分の物語を読んでもらうための対価となった。
このまま過飽和の状態が続くわけも無い。大方の識者と呼ばれる程度の文筆家達はそのように考えていた。事実、彼らのやり取りする物語は、劣化したミームのまとまりの無い堆積のようなもので、そこに生の声が塗りこめられていたとしてもそれを汲み取ることは、本人達にとっても容易なことではなかった。さらには、仲間内でしか判らないコード進行、バズワードなどによって共通言語が小集団に分断されていき、しまいには原宿の少女には渋谷で書かれたケータイ小説が読めないいうことも起こった。この緩やかなまとまりを持ちつつもタコツボ化していくケータイ小説界は、人文系、特に言語系学者のフィールドワークの対象として魅力的に見えたらしく、いくつかの論文を産んだ。
「ケータイ小説を責めないで下さい!」より抜粋
ここから先、物語は「行動小説の誕生」、「行動小説の商業化」、「ゴーストライター協会の発生と発展」「機械知性によるゴーストライターの置き換え」、「機械知性による人類の置き換え」へと、過剰に加速していきます。
が、ここまでの“行動小説としてのケータイ小説”への言及は多少のデフォルメは差し引いたとしても現状のケータイ小説事情(あるいは現象)をかなり的確に捉えていると思います。
これは新しい双方向的な文芸の(旧世代にとっては不可視的とも言える)前衛運動なのです。しかも、その双方向性は「サーフェイス(皮膜)」と言えるほどの“至近距離”間で為されています。
ただ、実際にその「文芸環境」で人気を博しているのは、「行動小説」的な現在的私小説だけではありません。それと同程度、あるいはそれ以上に普及しているのが「物語」文学、つまりラノベ的な“フィクション”を追求したカテゴリーです。
そして、そのカテゴリーの動向が指し示している“書き手と読み手の「ビジュアル体験」と「ストーリー体験」の変遷”(その変遷=過去体験の「束」が、特有のケータイ的活字文化を形成していること)にひどく興味を感じるのです。
それは、ポケモンのゲームプレイ画面が最初の「活字」体験だったかもしれない世代にとっての「リアル」なのでしょうし、そういったリアルは銀魂やケロロ、ハルヒなどの同世代的共通感覚を喚起する作品群によって再帰的に共鳴現象を引き起こしているように見えます(ってこのあたりスゴク生煮えです)。
■「ファック文芸部杯」は読んでおきたい。
・・などと書きながらも、この「ケータイ小説を責めないで!」の続きを参照すると、実は、このエントリーそのものが、そういったメタフィクショナルな“荒唐無稽リアル(行き着くところまでエスカレートしがち)”を存分に繰り広げているのですね。
日本人が外国人と街を歩くと説明に困る事態に遭遇する。外国人たちはあらぬほうを指差し「あれは何だ」と訊ねる。だが日本人には「あれ」が認識できない。認識しないことになっている。勿論「あれ」はゴールドライタンであり、認識しないのはそれが黒子の格好をしているからである。組織化され認知されたゴーストライターはその数を増し、街を行く人々の半数が黒づくめだった。この奇妙な習慣は海外に紹介され「KUROKO」は各国語に定着するほどになった。
「ケータイ小説を責めないで下さい」より抜粋
もしかしたら、「ゴールドライタン」の語呂合わせから「ゴーストライター」協会がひらめいてここまでのエントリーをモノにしたのだとすれば、この“増田さん”には強いシンパシーを感じつつ尊敬を念を禁じえません。
あと、この「黒子(KUROKO!!)」って、あの面堂家の「黒子」にリンクされてますよね?
「書として街に出よう(寺山修司:「書を捨てよ町へ出よう」へのリンク)」というゴーストライター協会のキャッチ・フレーズも、ブラッドベリの「華氏451」(書物が禁じられた近未来世界で書物を記憶することで、その書物になる人たちが登場する)を想像させて実に刺激的です。ここでは、暗唱する・・ではなく、書き取る(あるいは、書き取られる・・ことによって「書になる」訳ですが。
・・と、なんだかまとまりのない、ただのメモになってしまいましたが、アルファブロガーアワード2007にこのCNETでもブログを執筆されている佐々木俊尚さんが「増田さん(はてな匿名ダイアリー)」を推していらっしゃるのもむべなるかな。
特に今、「ファック文芸部」からは目が離せないな!なんて思っています。この「ケータイ小説を責めないで下さい」もファック文芸部杯エントリー作品ですしね。
「アノニ増田」ちゃん(参照先:アノニ増田はいくらなんでもだめだろう、アノニ増田がダメなら増田アノニーとかのほうがいいのかな)の動向と併せて気になります。
※1:増田とは?(はてなキーワードより)
「はてな匿名ダイアリー」の俗称。
AnonymousDiary = アノニ「マスダ」イアリーの略。
アノニ増田または増田アノニーといった名前で擬人化されている。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C1%FD%C5%C4
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あぁ、確かにそうですね。ついつい筆が走ってしまいました。ちゃんと注釈しておきたいと思います。アドバイスをありがとうございました。