■デジタル写真はアナログ写真の総枚数を超えたのか?
Flickrへの投稿写真が20億枚を超えたことがニュースになっています。
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20361013,00.htm
Techcrunchによると、Flickrには一日あたり300万から500万枚の写真がアップロードされているそうです。ただ、写真のアップロード数だけ捉えるとFacebookの方が断然多く、現時点で41億枚がアップされているようです。
以前からウェブ時代の写真表現についてはなんとかもう少ししっかり考えてみたいと思って、時々思い付きを記しているのですが写真批評の観点から見ても(批評が作品や作家をリアライズするという枠組みはもう旧いのだろうか?例えばアウグスト・ザンダーはベンヤミンによって「再発見」された)、そろそろ何か適切な「語るべき言葉」を考える時期ではないかと感じます。
非常に簡単に現状+近い将来のウェブフォトグラフィー(の特徴)を90年代と比較してみるとこんな感じでしょうか?
・・・・まだまだ相当に粗いですね。それにウェブ写真の実像としての「利用形態」「生活への影響」などが余り見えていない段階で、いまだ現実化されていないウェブ写真を利用した新しいアートおよび表現スタイルまで考えを進めるのも余りに拙速な感じがします。
そういった意味では、まだまだメモ書きレベルの雑考を書き連ねておく位の方が、実態に合っているのかもしれません。
・・・本当にメモに過ぎませんが、このようなことをFlikcr使いながら日々感じているところです。どなたか、ウェブフォトグラフィー論を一緒に書こうという剛毅な方の参加をお待ちしてます(※ソーシャルフォトグラフィーとは、このエントリーを書いている途中に思いついた造語です)。
■「批評の不在 写真の過剰」は変わっていない。
浅田彰氏が以前ソフィカルを「age」る代わりに、90年代を吹き荒れた一連の「女の子写真」を「sage」ていた評論(正確には講演記録)を読んでがっかりしたのですが、写真批評に階層的な枠組み(例:洋高東低、高尚対お手軽)を持ち込むのはあまり意味が無いように思います。
それに、そのような階層的=啓蒙主義的アプローチだと現実の写真カルチャーの形成を考える上で大切なことをいろいろ見逃してしまうマイナス要因があるように感じます。
そもそも、スナップ写真も女の子写真も検討対象としては、かなり奥深いテーマです。が、一見普通で非常に分かりやすいモノはかえってしっかりした検討を受けにくいようです。そして、そのことはそのまま「写真批評の貧困」にも繋がることのように感じます。
そういった中で清水穣氏の「批評の不在、写真の過剰ー1990年代以降の現代写真とティルマンス」は2002年の論考ながら、かなりリアルに00年代以降の写真状況を先読んでいるように思います(「白と黒で 写真と・・・・・」に収録)。
「写真は本質的にアマチュアリズムだ」と信じる写真家は正しい。それを敷衍すれば、どこの家にでもあるような記念アルバムや家族アルバムの中、誰が撮影したかもわからない投稿写真やスナップ写真の山のなかにこそ、数は少なくとも飛び抜けて面白い写真があるのであり、そこに写真の本質を探すべきだということだ。素人性と無名性を写真の本質に据えるとき、被写体自体の意味が消え、美的スタイルが消え、写真家が消える。こうして、写真表現の内実は、見るもとの作品のあいだで生じる交流から事後的に発生するしかなくなる。作家性や写真美に寄り道できないスナップ写真は、「見る」というこの交流へと直行しているのである。だからスナップ写真の問題は最も素朴で本質的なのだ。
「世界は写真だ」は二十五年を経て「世界は広告だ」になった。つまりすでに広告写真にならない写真は存在しない。スナップ写真は広告写真よりもノイジーな夾雑物が多く不純なのであり、真空度が充分ではない、というふうに差異をつけてみる、とたんに、ノイジーなスナップ写真が広告にされるだろう。
確かにコマーシャルフォトの領域は非常に貪欲です。・・と、言うかコマーシャリズムというのはそもそもそういうものなのでいまさら重ねて強調するのも恥ずかしいくらいです。
でも、じゃあアンチコマーシャリズムで、仮に「イノセント」を追求したとしても、それもやがてはコマーシャルにしっかり吸収されてしまうことでしょう。
で、ここで触れたいのは決してコマーシャリズムに対抗することの困難とか、あるいはウェブフォトグラフィーが個人の手元に写真を取り返すことによる脱コマーシャリズム(の理想論)でもありません。
確かなことはコマーシャリズムが対象とし続けていた大量印刷・大量配布の商業メディアがウェブネットワークにどんどん吸収されるなかで、その一方で、個人が抱える視覚的欲求や美的存在への憧れは無くなることはないということです。
・・であればこそ、“アートという形式”に収まるかどうかは別として(ある程度の落としどころとして既存のギャラリーやミュージアムのエコシステムはウェブを活用する道筋を探っていくでしょう)、ソーシャルな写真表現および写真批評が立ち上がっていくことだけは自明だと考えます。
少なくとも、写真コンテンツの生産・消費に於ける一大国であるこの日本で、 何か有効なアプローチが無いものか?考える次第です。
新しい言葉が状況を作るのか?あるいは新しい状況が言葉を作るのか?それはきっと少なからず同時的な現象なのだと思うのですが、写真批評の貧困はウェブフォトグラフィーの時代にまでずっと持ち越されているのです。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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