■茶道と写真撮影行為
フィルムカメラを語ることは郷愁を温めることではない。
写真を撮るという行為は視覚を巡る冒険だ。
そのイメージ探索(=シャッターを押すまでの集中)のプロセスには、そのまま写真行為=視覚体験の多様性・拡がりがビルトインされている。
要するに、撮影に至るまでの思考ステップや、そこで撮影されたもの以外の対象領域=撮られなかったんだけれどもそこにあった筈のモノ全てを含めた、撮影者の視覚体験の全体。つまり、そこで開かれていた視線の全体像が撮影行為のなかには織り込まれている。
フィルムを装填し、距離を測り、光を見ながら絞り具合を考えシャッター速度を設定し、来るべきシャッタータイミングに意識を注ぎ込む。その手順と思考と集中とが、ある瞬間、他に撮りようの無い、非常に限られた撮影機会へと結実していく。
さて、そういった瞬間の感情の動き、揺らぎをうまく表している言葉がどこかにないかと思って探し出したのが岡倉天心による“茶の本”だ。
宋の茶の理想は、人生観同様、唐とは異なっていた。唐時代には象徴化しようとしたものを宋時代になると現実化しようとするようになったのである。新儒教(仏教、道教の要素をとりこみ総合した儒教)の思想では、この世の現象そのものが宇宙の法則にほかならない。永劫は瞬間に過ぎず、涅槃は常に掌中にある。不滅は永遠の変化の中にあるという道教の考え方がすべてに浸透していた。面白いのは行為そのものではなく、完成することだ。かくして、人間は一気に自然と直面することになった。人生に新たな意味が生まれて指針となった。茶は、単なる詩的な遊び事にとどまらず、自己実現の手立てとなった。
ここで述べられている“茶”をすべて“写真”と置き換えてもいいと思う。
ただ、写真撮影という日常行為を茶道や東洋思想論に並べて語るというのはいかにも大げさで高尚に感じるかもしれない。
しかしハッセルブラッドのピントスクリーンを通じて見えてくる被写体映像はその瞬間瞬間の視覚体験=撮影行為が、実はもっと大きな世界像への向き合い方、態度、体勢のあり様を考え直す契機になり得るものだと感じる(※実は、デジイチで流行している“ライブビュー”の感覚に近いのだけども)。
■身体反応によってしかアクセスできないこと
また、茶道と同じく写真撮影も実際に体を動かし、相手と対話し、光や空気を読みながら対処するという身体的な体験、反応を通じてしか捉えられない。
そして、その体験性はそれぞれの個人の属性だけでなく、その撮影時のシチュエーションや被写体とのコミュニケーション、あるいは、その瞬間瞬間の微細な意識の推移次第でいかようにも変化しうるものであって、それを単純化・形式化して言い表すことはとても難しい。
ただ、だからこそブログ環境のような多様性、並行性、相対性を前提にしたメディアならではの写真論が生まれるべきではないか?なにしろ、デジカメを通じて写真撮影行為にアクセスできる機会そのものは飛躍的に増えているのだから。
正しい撮影方法や正しい写真なんてものは、撮影者の思考や感覚、美意識、生活観などと全く無縁には存在しないように思うのだ。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
情報の質とコンテンツ 〜 経験価値経済の時代へ 〜
iPhonista Nightの事後報告
Joomlaでバイリンガルサイト
あるITマネージャの挑戦
Geeklog1.5でOpenID対応へ
もっとパラリンピックに目を向けよう
経営者が無断ビデオ撮影するとき
SNS開発で携帯は??
(エンジニアにとっての)モテ論(2)/Mozillaの陰謀(説)
除名せよ!福田康夫みんなのお題では、ブロガー同士で質問を出し合いそれに対する回答や意見を集めています。今日はどんな話題が盛り上がっているでしょう?
CNET Japan ブログネットワークは、元はCNET Japanの一読者であった読者ブロガーと、編集部の依頼により執筆されているアルファブロガーたちが、ブログを通じてオンタイムに批評や意見を発信する場である「オピニオンプレイス」、また、オピニオンを交換するブロガーたちが集うソサエティです。
広い視野と鋭い目を持ったブロガーたちが、今日のIT業界や製品に対するビジョンや見解について日々熱く語っています。
CNET Japanやその他サイトが提供するITニュースやコンテンツへの意見や分析、 ビジネスやテクノロジーに対するビジョンや見解について語っていただける方を 募集しています。ご応募はこちらから
ブログの投稿はこちらから(※ブロガー専用)
今年最も活躍したブロガーを表彰します。詳細はこちらから
これは、CNET Japan 編集部の依頼に基づいて執筆されているCNET Japan アルファブロガーによるブログの印です。
CNET Japan ブログネットワーク内で拍手の代わりに使用する機能です。ブログを読んで、感激した・役に立ったなど、うれしいと思ったときにクリックしてください。多くGood!を獲得した記事は、より多くの人に読まれるように表示されます。
今週の新製品総チェック:ノート、デスクトップ、UMPCまでPC秋モデルが続々
今週の新製品総チェック:薄さ13.9mmのサイバーショット登場!NEC「LaVie」はデザインモデルが