■デジイチ入門機のその先に
今、市場では1000万ピクセル級の一眼レフデジカメ(通称デジイチ)が激戦区として熱いバトルを繰り広げている。ソニーのα、パナソニックのL1、ニコンのD80、キヤノンのキスデジX、そしてケルン市でこの9月26日から開催される国際見本市フォトキナでは、オリンパスやペンタックスの対抗機種もデビュー予定だ。
それらのイチデジは、コンパクトデジカメ(通称コンデジ)でデジタルフォトの楽しさに目覚めたハイアマチュア予備軍の一眼レフ入門機として非常に欲張りなコストパフォーマンスを実現し、それこそ標準レンズセットであれば実勢価格10万円そこそこで速写性、連写性に優れ使い勝手も良く、画質においてもかなり満足度の高い機械が入手できる。
ただ、その一方で面白いのが、そういった「高機能、高精度、高解像度」を追求し続けるデジイチに飽き足らず、ホルガ(唯一魂を持ったカメラと称される)に代表されるトイカメラやローライ、ハッセルなどの中判カメラが見直されている(これら全てがブローニー・フィルムという通常の35mmよりも大きなサイズ、60mm×60mmのフィルムを用いる。また、価格的にはホルガが1万円以内でも買えることと、ハッセル・ローライが状態の良い中古品だと15万円以上するという点でもデジイチ・エントリー機とは異なるゾーンにいると言える)。
■眼には見えにくいシャシンの輝き
ホルガのプラスティックレンズや光線漏れがもたらすイリュージョンや、ツァイス・レンズとブローニー・フィルムの組み合わせによる描写力といった、デジイチの価値軸とは異なった価値観が再評価されている。
そういった意味では、デジカメの普及状況は写真を撮るという行為そのものに触れる機会を増大し、新しいスタイルの写真表現に向かって、今までとは全く異なる感覚で挑んでいく層を産み出そうとしているのではないだろうか?
自分自身一年前にキスデジを手に入れて、一年間で1万ショットくらい撮影して思ったことなのだけども、デジカメというプロダクトはいわゆる“写真機”という側面と、“デジタル・スキャナー”という側面とが両方あるように思う。
■スキャナー対写真機
もちろん、通常のデジイチはレンズから入力された光をCCDで受け取ってデジタル記録している訳だから、メカニズムとしては限りなく従来のカメラの設計思想を継承している。
ただ、撮影者の感覚としては、『シャッターをバシャバシャ切って、その膨大なショットからフレームを選択する』デジタル・スキャナー感覚と『限られたカットに意識を集中して、これだ!と、いうタイミングでシャッターを落とす』写真機感覚には、かなりモード的に異なるものを感じる。
それは、今メインで使っているハッセルという中判カメラがブローニー=12枚撮りであり、そもそも機構的に速写、連写には余り適さない+現像→プリントという工程に於いてもコストが相応に掛かるという物理要因に寄っているのだが、それが単に「不便だ!」とか「お金がもったいない」といった即物的な阻害要因になっているというだけではなく、撮影者の意識の向かい方、撮影姿勢について、明らかに異なるモード選択を要求しているように感じるのだ。
この感覚はもう少し掘り下げてみたい。
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