■イケテルイケテナイ以前に考えておきたいトータルな市場観
さて、前回フレームワークとして提示した思考ツリーですが再度ここに転載しておきます。繰り返しになりますが、ここでは日本の現代美術マーケットをどう考えるかの枝分かれをパターンとして提示しています。
アート市場__マーケットは存在する__大きなマーケットが存在する
| |__小さなマーケットが存在する
|_マーケットは存在しない__日本美術は断絶をしてしまった
| |__日本美術は現代アートとは別物
|_マーケットは立ち上がる__市場が拡大していくだろう
| |__適用範囲が拡大していくだろう
|_マーケットは立ち上がらない_市場が縮小していくだろう
|___適用範囲が縮小していくだろう
実は、前回のエントリーを引用していただいたブログ内で(アート資本主義の指摘として)、最初から悲観的な結論ありきになっているという評価が為されていたのですが、全くそういうことではありません。
今日の現代アート市場の捉え方を俯瞰的に観るとすれば、このようなパターンがありますよ。という“視点の(枝分かれの)提示”をすることがそもそもの目的なのです。
正直、いずれの立場を取るにしてもそれぞれに言い分や論拠、動機付けや意図、目論見などがあるわけですから、それぞれの前提条件や寄って立つスタンスを抜きにして何らかの結論を提示することに意味はありません。
それよりも“総体としてどのような視点、論点、価値基準があるのか”を理解・検討してみることのほうが意味があるのではと考えています。
でなければ、いくらアート市場にテコ入れをすると言っても状況をどう捉えどのように問題点を設定するのかがはっきりしない限り、具体的な方法論や戦略、提案すべきビジョンの力点・支点が見えてこないのです。
しかも、そういったマーケット全体を見渡す視点抜きでテコ入れする場合に、たとえば善意で行っていることが現実には市場に対してマイナス方向の働きかけをしているような場合だって有り得る訳です(※マーケットの視点で考えることの“是非”はひとまずここでは触れません。かといって、マーケティング思考で全てがまるごと解決できるという訳でもありません。念のため・・)。
■日本流アートの過去を未来に投影するパースペクティブ
で、実はこの思考ツリーを書いている途中気づいたことなのですが、『過去の日本芸術をどう捉えるのか?』『さらにその捉え方を今後どのように演繹していくのか?』の2点が、近未来のコンテンポラリーアート市場を考えていく上でとても重要なポイントなのでは?と、気づきました。
なぜかというと、
1)伝統的な日本芸術への価値判断(=西欧美術との対応関係の見極め)次第で、現在の日本美術に対しての価値判定が変わってくる。
2)日本美術に対しての価値判定次第で、その将来的マーケットをどのように切り出して、どのように進化系を検討していくのか?のスタンスが変わってくる。
と、考えたからです。普通に考えて総務庁資料や団体資料などからはまるで浮かび上がってこないコンテンポラリーアートマーケットは、実情的には“ほぼ有って無い存在”と言えるでしょう。
ただ、その一方で、日本独自の価値判断を適用することで、結果的にそれがグローバルマーケットに於いてもある程度(※美学的視点および市場的効果の双方で)通用するのであれば、潜在的なマーケットスケールはそれなりにあると考えられます。
また、その検討の前提条件として、
1)客観的かつ絶対的なアート批評体系(美学的歴史系譜学)は存在しない。
2)批評言語も市場空間も、それぞれ価値軸の取り方次第で幾らでもマトリックスが変わる。
といった立場を取りたいと思っています。
ある価値判断体系を立場として取ったとしても、実はその対極にも豊かな価値判断体系が存在しうる。そしてその価値空間の広がりと自由度(オルタナティブ性)がアート的価値観の良さ、ユニークさではないか?と考えます。
ただ、単に緩やかな形容言語や観念的価値判定を繰り返していてもかえってそういったオルタナティブ性は見えづらい。だからこそ、マーケットを見る視点を導入する価値があると考えています。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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