しばらくこの『アート資本主義』を書いてきて、案外思ったよりも深堀のしがいがあるなあと思ったテーマもあれば、最初は「これだ!」と思っていたほどは筆が進まず、ちょっと難しいかなあというテーマもあります(書き手の力量や能力もありますが)。
少し振り返って、ここしばらくで出てきた各テーマについての整理整頓を一度してみたいと思います。
■アート・マーケティングについて
アートをマーケティングするという視点については、村上隆著「芸術起業論」としりあがり寿著「マンガ入門」という、少なくともその思考方法に於いて非常に効果的なテキストが世に出ました。
日々変化を遂げる生物環境のような捉え方で、静的な阻害要因というよりはアイデア次第で幾らでもやりようのある動的環境として、自然にマーケットを捉える考え方が以前よりはかなり育みやすくなっているのではないかと考えています。
改めてメディア環境の変化は実に速いなと思いますしコアな本が一冊があることによってもかなり大きく状況が変化しているんじゃないかと感じています。
■オンナコドモアートについて
これは特に子供と写真という切り口でより具体的に事例を参照しながら、ウェブコミュニケーションがどのようにデジタルフォトの世界を切り開いていくのか?果たして従来の写真のカルチャーに比べて、どの程度大きなインパクトをもたらすのか?探っていけると思っています。
特にフォトシェアリングをはじめCGMの分野はファインアートのビジネスモデルと相性が悪いどころかほとんど接点が無いと言うのが現状なので、かえってその接続型を考えるのが面白いと思っています。
あるいは着地点はファインアートの領域に限られないでしょうし、それ以前の分野でいちはやく経済化される可能性もありそうです。
■ブロゴスフィアと美術批評空間について
これはコンセプトとしては大変良いと言うか、ブログメディアの今後のあり様としてジャストフィットしていると思っています。
ただ、美学的なエクリチュールの難解さ、歴史的な蓄積・薀蓄の膨大さ、あとはそもそも西洋美術の価値体系自体が異質なものである上に「市場」としても成立していないという状況なので、現実にいい批評が数多く提出されるというところまではまだまだ時間が掛かりそうです。
ただ、高度消費社会が成熟していくなかで、美的なものへの関心や興味が今後より一層増していくであろうと思います。ですから現在の批評的貧困にのみ眼を捉われることなく、将来もっと広がっていく分野として期待をしたいと思っています。
■ロングノーズ現象について
もはやバズ・ワードを超えて、ある程度オフィシャルに認知された感のあるロングテール論ですが、それとは全く違う観点で「ロングノーズ」という現象もあるのではと考えています。
経済効率的には「種まきの数を増やす」=「刈り取る機会を増やす」という息の長い、しかもそれなりにコミットメントがなければ難しい、つまりなかなか通常のエコノミーには乗りにくい考え方だと思っています。
ただ、一方で出版の世界はかなりこの方向にシフトしています。要するに出版点数の増大=初版部数の低減というのは悪い面ばかりではなく「ある作家なり、作品なり、現象なり、何かしらのムーブメントを作ってくためには、損をしない範囲で種をまいていくんだ」という思考方法として定着しつつあるように感じています。
そう考えた場合に、CGM上で日々営まれているウェブパブリッシングが、そういった出版システムのサブシステムとして機能しかけているように思います。
また、そういった動きはコンテンポラリーアートにおいても同様に機能しうるのでは?と考えていますので、今後も引き続きレポートしていきたいと思っています。
■おわりに
このブログにはアクセス解析機能が付いていないので、PVでテーマごとの反応を追うことが難しく、数少ないTBやコメントあるいははてブを確認しながらチューニングしている状況です。
できれば、琴線に触れたエントリーなどありましたら方法は何でも結構ですのでレスポンスをいただけると本当にあり難いです。意外とはてブのコメントから読み取れることは多くて正直励みになっています(辛口コメントも込みで)。
読者ブログを始めて、本当に読んでいただいている皆さんの反応は大きいなあと改めて感じていますので、ぜひとも一言よろしくお願い致します。書き手の力量に限りがありますので何でもとはいきませんが投稿テーマのニーズを投げていただくのも凄くあり難いです。なにとぞ今後ともよろしくお願い致します。
参考リンク:
アーカイブのテーマ別インディックス
http://rblog-biz.japan.cnet.com/takahito/2006/08/post_ce21.html
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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