最終更新時刻:2008年10月8日(水) 7時34分

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ブログパブリッシングのコンセプト CNET読者ブログの活性化に向けて

公開日時:
2006/08/01 20:19
著者:
尊仁

■CNETブログ運営事務局から届いたメール

CNET読者ブログ運営事務局からメールをいただいた。内容は読者ブログの運営指針と今後の開発方針についての概要説明だ。

実は、ブログ開始から三ヶ月を振り返りながら提案できるといいなあと考えていた内容とかなり被っており、そういった意味ではブログ投稿者側のウォンツを汲み取った好回答(読者ブログ利用者からの問い合わせに応える体裁をとっている)と感じた。一部を引用すると、

一方で、CNET Japanとしては今後、皆様に書いて頂いたエントリがより多くの人に読まれるように、また、優れたエントリを書いた方がより注目されるように、さまざまな方策を取って参ります。

具体的には、よく読まれて評判になっているエントリの紹介、優れたエントリを書いたブロガーの表彰などを行って参ります。また、CNET JapanのコンテンツやサービスとCNET Japan読者ブログをさらに連携させ、サイト上での露出も高めていきます。

これにより、皆様の考えがより多くの方に広まるようにしていく予定です。皆様のプロモーションの場として活用できるようにしていきます。

かねてから書籍出版とブログ運営はベーシックな部分では共通のアクションだと感じていた。

なぜなら、ブログ投稿も書籍出版も書き手個人のブランディングという点では同様の取り組みだと考えられるからだ。

■出版ビズというブランディング環境

出版社のビジネスモデルというのは案外知られてない。書籍出版というものは単体で見ると非常にリスキーで、利益の期待値というのはかなり低い。

そもそも参入障壁が低く資金繰りなどある程度取次ぎチャネルが担保をしてくれるし設備とか人材などの面で明確な競争優位を構築しにくいので差別化戦略が見えにくい。ただ、その一方で、国内に2000社をゆうに超える(ほとんどはナノ規模の)出版社が成立できるのは、

 1)固有の棚(特定分野等)への配本という顧客リーチ手段を確保している点

 2)単体で観た場合には困難でも棚展開というポートフォリオ展開で収益を確保できる点

の2点が挙げられる。ここ最近、特に「新書の棚」が活性化しており、お互いが刺激しあいながら個々の版元がそれぞれユニークな得意分野を開拓している現象などは好例だと言える。

■ブログ環境からリアル出版への流れはどのように変化していくのか?

つまり、「得意客」←「得意な棚」←「書籍ラインナップ」という連環があるので、ニッチ・ターゲットに向けたニッチ商品を継続して流通できる仕組みを構築可能なのだ。書店の棚は特定の顧客ターゲットにリーチするための媒体の一種といえる。

また、ヒットの糸口さえ掴めれば、最初は非常に限られた部数のシードとしての刊行物がやがてシリーズ(これは、ある種のポートフォリオとみなすことができる)化を遂げて、売れ筋として収益源に育ってくれるケースがある。

このような観点で観た場合、ブロゴスフィアというのは、書籍出版物のポートフォリオ形成に向けたプレ市場と考えることができる。

つまり、そのブログがある程度のトラフィックを確保し一定の固定読者を獲得していれば、書籍化した際にもある程度の数字が見込めるのでは?と考えるわけだ。それは書店に於ける作家の棚が、それぞれ固有の固定客を獲得している状況に限りなく近い。

また、そういう意味では(個のブランディングという取り組みに於いては)アート市場も全く同様の取り組みといえるかもしれない。

■投資とリターンのライフサイクルをどのように考えるのか?

恐らく、ほとんどの作家は活動当初は固定客を持っていない。それが、継続的に作品を市場投入していくうちに徐々に顧客獲得に成功し、いずれはそれなりに生業として成り立ちうる顧客数を確保する。

もちろん、そこまで到達できる作家は非常に限られているが、それでもある特定のニッチ領域で存在感を発揮できれば、その先では作家自身の個を超えてある種のブランド性を獲得するのではないかと思う。

だから、実は多くのアーティストが「お金が問題ではないんだ!」という考え方を採用することにはある程度の妥当性がある。なぜなら、特にアートの分野ではあからさまなマーケティング志向は好まれないし、そういった志向性を悟られることは大きなマイナス要因とみなされる事の方が多いからだ。

なので、本質的にそこにあるのは「投資対リターンのサイクルをどの程度の長さで考えるのか?」という点なのかもしれない。

かつての近代作家、たとえばモディリアニとかゴッホとかは生存中は全く認められず死後になってから生存中では考えられなかったような世界的高評価を受けている。

例えばそういったケースに準じるのであれば「死後も自己の評価サイクル内に含める」という考え方だって可能なのだ。ただコンテンポラリーアート市場では、そういった考え方の作家は非常に稀というか少数派ではないかと思うのだが。でも、その評価が確立することを存命中と限らないと考えれば、少なくとも作家の意識の中では煩わしい経済との格闘を回避することができる。

■CNET読者ブログ活性化に向けて

話が大きく逸れたので筋を元に戻すと、そもそも個人がブランド形成するためのツールとして読者ブログを捉えていくのであれば、

・対外的評価を確認する方法を提供する

・それも、アクセス数やTB数、コメント数、はてブ数などの定量的なモノと同時に定性的なモノも準備する

・そういった評価の証として、例えば「名誉」のようなインセンティブを用意する(ことの方がブロゴスフィアの価値案には合致しやすいように思う)

・書籍化など、そのブログの定量的評価や定性的評価を元により社会性を帯びたメディアへの出力を企画する

こういった施策が継続的にメディアの循環サイクルを活性化するだろうし、いい意味での競合関係(=市場性)が発生するのではないかと考える。だから冒頭に引用したように作家を取り上げていくメカニズムは必要だ。ブログを通じてアウトプットしていることがただのモノローグになってしまっては、そもそもCNETのようなメディアサイトでブログを書き続ける意味はない。

■ブロゴスフィアから逆算して考える出版プラットフォーム

さらに話を拡げてしまうと、要するに、個のブランディングという観点で考えればデジタル対アナログの対比というのは余り意味を成さない。

ローコスト革命の主役ともいえるブロゴスフィアが、新しいブランド形成の機会を(従来の出版市場からは考えられないほどの量)繰り出したとして、そこからさらに書籍化を試行するチャンスが数多く生まれるのであれば、お互いの役割は相互補完的といえる。

また、電子書籍が最近着目されるのは、そういったブログ→ブックのさらに中間を補完するメディアであることを評価されているからだ。少し前までは電子書籍が旧来の書籍を駆逐すると考えられていたのだが現状の動向を見る限りでは、電子書籍は流動するウェブコンテンツを一旦フリーズしてローコスト出版するための中間メディアとして活用されている。

それに、現在の書籍出版はインプットしてプリントするところまで、全ての工程がデジタル化されているので、単にプリントメディアが紙であるということに過ぎない。

コンビニエンスストアのように流通ネットワークが情報化された場合、どこからどこまでがデジタルなのか?という問い掛けはそれほど重要ではなくリアル店舗と商品情報の神経網がどのように設計運用されているのか?と、いう点のほうが重要なのだ。

だから、実は本の未来はまだまだ語りつくされている訳ではない。CNET読者ブログから、そういった本の未来を感じされるようなアーカイブが誕生すれば、それはそれでとても素晴らしいと思う。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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