先週の土曜日、トーキョーワンダーサイト渋谷で開催中の『ジャナイナ・チェッペ展』に出かけてきた。
ジャナイナ・チェッペは1973年ミュンヘン生まれ、サンパウロ育ちの女流現代美術作家。日本でも早くから紹介されていて(ニチドーコンテンポラリーアートが取り扱いギャラリー)、オンラインショップのタグボートギャラリーでも割と良く売れているようだ。
実際に彼女の作品に触れるのは今回が初めてだったのだけど、かねてからその独自の作風には惹かれていた。
彼女の作品には、常にコンドームあるいはコンドームのようなゴム風船が登場している。近作のLacrimacorpusというシリーズでは、「森の中に佇むクラシカルな衣装をまとった女性」にそのウェットなゴムの質感が添えられ、それ以前のAqua VivaやBlood Seaというシリーズでは「泡立つ水中に張り巡らされた布地に拘束された女性」に生物的なゴムのチューブが絡み付く(カエルの卵がまとわり付くような感じ)。それぞれ原初の生命体と現代女性がいきなり鉢合わせしたような驚きがあってとても面白い作品だ。
ただ、実際に個展を経験してみて思ったことはウェブで写真作品を観ることで、案外その作品の良さや面白みが伝わっていたこと。
流石に四方をビデオ映像で囲まれた「Blood Sea DVD」は再生環境的にこういった場所でなければ体験できない作品だったのだけど、こと写真作品に関してはウェブで本当に小さいサムネイル画像(しかも画素の荒いJPEG画像)を観て感嘆していたときほどのサプライズはなかった。
と、いうことは少なくともピクチャー作品についてはわざわざその場に出かけて入場料を払わなくてもじゅうぶんにその作品の質感やメッセージを感受できるということだ(と、いうことを確認するために個展に出かけているような気もする)。
ウェブの本当に小さな画面を通じてその荒い画像(情報量は非常に限られている)の裏側に込められた意識、あるいはその空間的な奥行きの存在、発している質的な感触。などを、私たちは感じ取っている。それがプリントされ、ギャラリーのホワイトキューブに飾られたときのイメージを既に先取っている。と、すれば、良い作品であればあるほど、その作品のプロモーションにウェブを駆使するということはこの先もっと活用されてもいいと思う。
付記:ジャナイナ・チェッペに関して取り扱いギャラリーが特にウェブプレゼンテーションを重視しているという印象はないのですが、チョイスされた一部の画像がサムネイル的にチェックできるというだけでもかなり理解の助けになります。
こういったことはウェブの潮流からすればひどく遅れていると思います。ただ、将来的にはもっと利用されていくでしょうし、特に新進作家が認知を獲得していく上ではもっと活用されていいと思っています。
たとえば、ウェブ上で作品のコンセプトやテクスチャーがある程度伝わっていれば、ギャラリーではもっと購買頻度が高まると思います。現在のスタイルだと、ウェブではほとんど作品の情報や質感が分からないため購買検討の前段階がないままギャラリーに赴くことになります。これは結果的には大きな機会損失になっているように感じます。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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