このブログを書き始めたときから、それを「アート」と呼ぼうが、あるいは「美術」と呼ぼうが、いずれにしろ「美」について言葉にすることには、どこかなにかしらの戸惑いとか照れのようなものがある。それはコンテンポラリーだろうが、トラディッショナルだろうが、その括りとは全く関係なく、どこか居心地の悪い感じがどうも常に付きまとっているように感じる。
でも、小学生の息子にデジカメを渡して好きに撮らせていると、彼は子供心に何かを感じて、こちらが何かを教えるわけでもなく、何かを後押しして支援するわけでもなく、ただ普通に放っておいても気が付けばどんどん感覚を研ぎ澄まし、美しいものを探し当て、自分なりの視点や切り取り方で、なかなかいい絵を撮ってくる。
しかも、なぜそれをそのように撮ったのか訊いてみても、決して「ただなんとなく」とかではなく、彼なりのロジックで一本筋の通った根拠というか理屈をちゃんと述べる。そうすると、「美」を感じ取りそれを言葉にすることは、人間のかなりベーシックな階層に位置する欲求と言えそうだ。
もちろん、写真の撮り方なんて学校で教えるわけも無いし、どこかで本を読んで学んだわけでもない。ただ、デジカメの画面に映る絵を見ながら、被写体と見比べながら、あれこれ試しているうちになんとなく自分なりのテーマやフォーカスが見えてきて、だんだんと絵になっていくように見受けられる。
11月の早稲田際に向けて「子供が撮る写真」のテーマで企画案を考えているんだけども、こうしてごく自然に子供の「絵を探し出してくる能力」を見ていると、視覚への貪欲と、情報への飢餓を抱えた子供の写真術というのは、大人がどうのこうの言う以前にとても面白いだろうし、普段気が付かない視覚の発見がありそうな気がする(現実に息子の撮影する写真を通じて、そういった感触が常日頃からある)。
大人の写真術が形成している価値体系は写真を撮ったりそれを鑑賞したりするうえで我々の視覚を(余り意識しないうちに)どこか規定している部分があるのでは?と、子供の写真を見ながら感じることがある。
写真論とか写真批評を知るはずも無い子供の写真に、意外と大人と類似した表現があることも事実だし、そこに「未だ見たことのない何か」が写っている訳でもない。けれども、たとえば「異様に動物と目線が同じ」だったり「気が付けばゴミのクローズアップばっかり」だったり、実際に撮られたものをチェックしていると正直「はっ」とすることがある。
デジカメとフォトブログの組み合わせだけで視覚表現のイノベーションが発生すると言うのは余りに単純な楽観論だけども、例えば子供が撮影した写真が大量にネットワーク上で流通する環境というのは(今のところは決してそうではないが)、これはこれで面白い環境といえる。何せ彼らは視覚に関してはとてもストレートだし、言葉の束縛がほとんど無いから、大人には撮れないモノをいとも簡単に撮ってくることができる。
何かを学びノウハウをどんどん蓄積していくことが、別の側面に於いては表現の阻害要因にもなり得ることを、彼らの映像表現は気づかせてくれるかも知れない。
参考リンク:
コドモカメラのマネタイズ 実験的試みのアイデアノート
http://rblog-biz.japan.cnet.com/takahito/2006/07/post_2e16.html
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どもども。それは「childrens」ですね。実は前から気になってました。子供ジャンルはつくづく面白いと思います!