「ジミー大西さんの偽の絵を販売 贋作家ら逮捕」
http://www.asahi.com/national/update/0522/OSK200605220095.html
昨日駆け巡ったニュースである。
非常に興味深いニュースなのですが、簡単に概要を記しておくとこの事件には3名の人物が関与している。
まずは鴈作家。彼は2万円で40×30センチの絵をジミー大西を真似て制作をしている。そして売り出し人。彼は2万円で手に入れたその贋作を4万円で販売している。それから最後の登場人物。それが転売者。彼は4万円で入手したその贋作をネットオークションを通じて16万1千円で転売している。端数の千円がいかにもヤフオクで競り落とされた感をかもし出している(※記事には「ヤフオク」とは明記されていません)。
そして、最初の原価2万円(プロダクションコスト)は、最終的にオークションでの競り合いを通じて8倍に釣り上がっている。実は、これはアートマーケットの基本構造そのままだ。画家が描いた絵を、まずギャラリーが仕入れて売り出す(プライマリーマーケット)。そしてそれがオークション等を通じて、さらに値を付けバリューを形成する(セカンダリーマーケット)。その流れだけを追うと、通常のアートマーケットとほぼ相似形だ。
しかも、このニュースは幾つかの示唆的なポイントを伝えている。まずネットオークションという信用醸造のツールは、アートマーケットの作品売買においてもかなり有効であるということ。もし、この鴈作家がもし常に1点2万円で贋作を制作しているのであれば約800点ものジミー大西の贋作が流通していることになる(実際にはもっともっと少ないのでしょうが)。
それから、今回吉本興業(ジミー大西の絵画作品の制作及び流通は所属事務所の吉本興業がマネージメントしているそうだ。だから、ジミー大西は吉本興業の許可なしに作品を制作できないらしい)という作品管理者が、その贋作をまさに贋作であると「保証することができた」ということ(つまり、その反対に真作かどうかもちゃんと審査・保証できるということ)。
今回の事件は図らずも「ジミー大西の絵画作品」という非常にニッチで嗜好性の高い商品が、それでもネット上のアグリケーター(=ヤフオクに代表される商品オーガナイザー)を通じて一定量流通し得るという実際の事例を指し示している。売り出しギャラリーの顧客名簿に強く依存した旧来のアートマーケットに比べてどっちが可能性があるのか?と言えば、もちろんこういった新しいプラットフォームの方が可能性がある筈だ。
ジミー大西ロングテール論とは、「ジミー大西の作品価値を認めるコレクターを一定数効率よく集客するコスト」および「作品展示するためのギャラリー賃貸コスト」に対して「ロングテールで時間を掛けても比較的多数のコレクターにリーチすることができ、しかも展示コストを限りなく低減できること」とのバランスで考えることができるだろう。吉本興業は今回の事件でその可能性に気付いただろうか?また、オークションによって形成されたプライス(※実際は50万円程度のところが16万1千円に落ち着いている)の妥当性はどの程度評価しているのだろうか?
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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本当はブログへのコメントかトラックバックでお答えするのが筋かとも思ったのですが、このスペースで失礼します。
吉本興業のしかも東京権利開発部の方からトラックバックをわざわざいただけるとは光栄です。「ぷぷっ」って言われないレベルのもう少し掘り下げた検討をするべきだったかもと少し反省をしております。「気が付いただろうか?」程度で終わらせるのはいかにも不十分だった気がしています。