今、わが社が入居しているオフィスビルは、実はマイミク繋がりで探し当てた物件だ。昨日銀座のとあるギャラリーでそのオフィス用に(引っ越したばかりで殺風景だった)日本画を二点買い込んできたのだが、その作家さんもマイミク繋がりだ。
そもそも、今自分で進めている『jpeg girls』というデジタルフォトのプロジェクトにしたって「モデル募集」から「制作予定の告知」まで、あらゆるステイタスに於いてmixiが活躍している。
mixiという『遊び』の多い場所
もちろん同様のサービスを実現しようとした場合、かなり過去にさかのぼってnifty-serveとか、そんなインターネット以前の時代に逆戻りしたとしても、「機能的には」全く遜色の無いソリューションが存在していた。だが、mixiが現在受け入れられている、そのボリュームとユーザー属性の集合体を考えると、かつてここまでスマートに同様のことができたのか、はなはだ疑問だ。
つまり、その受容度に於いてmixiはある一定の閾値を超えており「日常の一部」として日々しっかり機能している。
6月早々に『ぞりん』という本を出します。これはもう一方の『jpeg girls』という、コンテンポラリーアート真正面のプロジェクトに比べると非常にフザケタ内容で、そもそもフザケテ遊んでいたことが原因で偶然本になる機会を得たまさに「産湯を漬かるところからずっと」フザケタ本なのだ。
今思いついた『ロングノーズ』現象
ただ、こういうフザケタ本の出現をもたらしてくれたmixiの「遊び(マージンとかブラーとか、そういう意味です)」は、いわゆる「ロングテール」以前。仮に「ロングノーズ」とでも言える状況を準備してくれているように思う。
「ロングテール」が「パレートの法則」を超えて超多数の超寿命商品を生み出しえる概念だとすれば、「ロングノーズ」は、今まで「箸にも棒にも掛からなかった」かも知れない価値の定まらないコンテンツを醸造し得る概念だといえるかもしれない(今思いついたばかりの勝手な命名なので、Wikipediaを調べても掲載されていないと思います)。
なにしろ、この『ぞりん』が「ぞりんコミュニティ」としてmixi上に姿を現したのが2004年の10月だから、それこそmixiだって恐らく数万人規模だった筈(正確な数値を把握している方、もしよろしければデータをお教えください)。
その後、私がはじめて作品投稿したのが2005年3月。そして編集者で作家の石黒謙吾さんが「出版しませんか?」というオファーをしてくださったのが同年4月。でも、実際に最初の編集ミーティングを行ったのがその夏。ですから、最初のミーティングから数えても約1年。最初に作品投稿してからで考えるとゆうに1年半も経過をしている。
「スローライフ」にも意味がある。
これは、ウェブの進化の速度から言うと気の遠くなるスローライフで、正直ビジネスとして考えると本当に効率が悪い。それに、そもそもmixiコミュ用に投稿した作品は全て解像度不足だったので、書籍用に全て、それこそ素材も構図も編集方針も含めて、まるごと全部やり直しているから非効率以前に「仕事」と言っていいのかどうかさえ怪しい気がする。
しかも、隙間の時間を使っていたとは言え自分だって普段はそれなりに忙しく飛び回っているので、単純に時間コストでその制作期間を換算すると半端じゃなく投資していることになる。
と、長々愚痴めいたことを書き連ねているがもちろんそれは単なる前置きに過ぎず、実のところこういった「ロングノーズ」案件はアリなんじゃないか?と、真面目に思っている。
もちろん「ショートノーズ」そして「ロングテール」であることが理想なのだけどケースバイケースで、「ロングノーズ」という現象があることによってはじめて芽が出るコンテンツがあると思う。
「5分間ルール」がなければ持続できなかった?
そう、この『ぞりん』なんてまさにそう(「ぞうだけにロングノーズ!」なんてオヤジギャグを後で思い付きました・・)で、mixi上で最初に投稿した頃は全くフザケテいたし、まさかこれを本にしようなんていう気は皆無だったし、そもそもその「遊び」そのものが楽しいことこそがその醍醐味なのだから、「本にしなければ!」という目的意識が明確であったとしたら、果たしてここまで遊べたのかというとちょっと微妙な気がする。
あと、ここは肝心なことなのだけど、やはり、mixiのコミュで作品投稿した後のちょっとした反応が堪らなく嬉しいのだ。
当時は自分でも自己ルールを勝手に決めて「5分間」ルール=必ず5分以内に「エイヤッ」と作ったものしか投稿しない=絶対にコダワッタ作品制作はしない!という自己ルールで制作を続けていたのだが、そういうちょっとした時間で作ったものが「くすっ」って感じで受けるととても嬉しい。
基本パターンとしては「動物の鼻を象の鼻にする」というだけの編集処理なので、その気になれば素材探しから画像の完成まで約3分程度でも終わる場合がある。
ただ、今から考えても、あの自己ルールが無かったらあそこまでバカバカシイ作品をえんえんと飽きもせず公開し続けるなんてきっと出来なかっただろうし、コミュニティユーザーの皆さんだって、もし「物凄く真剣にチャレンジしている!」なんて作り手の雰囲気が伝われば、やっぱりちょっと「引いた」んじゃないかな?と思う。
あと、「盲導犬クイール」や「だじゃれヌーボー」などの作品で知られる石黒謙吾さんから(mixi経由で)いきなりオファーをいただいたプロジェクト冒頭のサプライズも含めて、出版に至る紆余曲折そのものが常にランダムネットワークの醍醐味に満ちていて(※一度は出版中止の危機にも瀕した)恐らく仕事として考えるならここまでランダムで計算できないプロジェクトには踏み込めなかっただろうとも思う。
でも、関係者の皆さんのご尽力もあり、どうにか出版に漕ぎ着けられた。少なくとも、mixiの奇妙なコミュニティから産まれた「奇妙な架空生物たち=ぞうぶつ」の記録をようやく世に問うことが出来る。
ただのロングノーズか?それともロングテールか?
ロングノーズがロングテールに化けるかどうか?その帰趨は、今のところ全く未知数だ。でも、もしmixiでのあの「言葉にはしづらいけども、なんとか言葉にしようと頑張ってしまう」感じの反応が本物であれば、何らかの反響があるはず!?と、期待している。
「ぞりん ぞうぶつ達の誕生秘話」という期間限定の特設ブログでは書籍未収録作品なども含めてプレ公開していますので、ご興味のある方はぜひご覧になってください。
そうそう、最後になりましたけど、「ぞりん」=「ぞう」+「きりん」です。本編には、石黒さんの独創による「ぞうぶつ学説」がふんだんに収録されていて、これもとてもオカシイと思います。
で、実際とても面白いと思いますので(著者サイドがこういう言い方をするのって、かなりイタイ感じもするのですが..)、イントロダクションの一部をここに公開しておきます。
こうして「鼻が長くなっていく」という進化形が、哺乳類にとどまらず、両生類、爬虫類、鳥類、魚類へと次々に広がっていった。そこで生れてきたのがまず「ぞりん」であり、さらにあとに続いたあらゆる「ぞうぶつ」たちだ。そしてその進化のようすに驚くべきことが発見されたのだ。形は必ず“ぞうの鼻”を持っているのに、そこに至る目的はあらゆるパターンが見い出されたのである....
(「ぞう」の意を継いだぞうぶつたちによる神話の再現か? 石黒謙吾 より)
copyright takahito iguchi 2006
「ぞりん ぞうぶつ達の誕生秘話」
「ぞりんコミュニティ」
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あ!思ったよりも多かったです。
情報ありがとうございました!!