最終更新時刻:2009年7月11日(土) 10時00分
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現代アートのAmazon.com @Galleryタグボート

公開日時:
2006/04/26 20:02
著者:
尊仁

さて、そもそも「コンテンポラリーアート」と言い、「コンテンポラリーアート市場」と言い、CNET読者の皆様にはとても馴染み薄い世界なのでは?と、思うのですが、もう少しウェブに近いご紹介をすると、アート市場にもアマゾンに相当するECがあります。

http://www.tagboat.com/

それは「@Galleryタグボート」という名称で株式会社エムアウトが運営しています。

「いや、アマゾンは米国産だろう」という突っ込みはその通りで、タグボートは国産のECで、しかも基本的に国内ユーザー向けにサービス展開しています。

ただ(恐らく類似のECは米国にもあるでしょうし、それはもっと洗練を遂げているように思います)、コンテンポラリーアート作品をネットで購入する際のワンストップ・ショッピング・サービスと言う点では、タグボートは書籍に於けるアマゾンと同等の完成度を有していると思います。

充実した商品ラインナップおよび提携ギャラリー

まずコンテンポラリー、つまり作品としては1960年代のアンディウォーホルに代表されるポップアート以降の作品群。主に欧米と日本(中国や韓国の作家は、まだタグボートでは入手できません)の現代芸術作家の主たる顔ぶれはカバーしているように思います。

もちろん、絵画や写真に代表される平面作品がメインなので、スカルプチャーやインスタレーションと言った、ある意味非常にコンテンポラリーらしい作品はほぼ取り扱いがありませんし、最近特に台頭してきているアジア及び非欧米(ロシア、南アメリカ、アフリカなど)の作家達の取り扱いは無いのですが、商品としての取り扱いやすさ、価格評価の確からしさ、商品供給および需要の見込みなど考えると、妥当な商品ラインナップではないかと思います。

また、自社仕入れだけでなく小山登美雄ギャラリー、ニチドー・コンテンポラリー・アート、ミズマ・アートギャラリー、SHUGOARTSなど、日本のコンテンポラリーを語る上で避けて通れない主要ギャラリーもタグボートには参加しています。森万里子や杉本博司、トーマスルフなど、特に写真表現の分野では一流の作家達を取り扱っているギャラリー小柳がなぜか参加していないのですが、そうは言っても素晴らしい顔ぶれです。

さらに、細かく更新される企画展的なキャンペーン。その都度のトレンドや海外の動向などを受けての特集企画も趣向が凝らされており、そこで登場するレビュアーもしかるべきアテンドで読み応え見応えがあります。

ユニークな下取り査定サービス

ところで、さらにタグボートを見ていると気が付くのが「下取りサービス」の存在です。

これはなかなか日本のアートマーケットでは着目されてこなかった、しかしその反面実は非常に重要な「下取りマーケット=中古市場の掘り起こし」という着眼点に好感を覚えます。

なぜかというとアートの購買というのはとても趣味嗜好的なものですから、当然飾っているうちに飽きが来るわけです。その際にもし下取り市場がないと、また買い替え時に丸々購入資金を負担せざるを得なくなる、と同時に気に入らなくなった作品の持って行き所が無いわけです。

そもそも「じゃあ、周りの知人に買ってもらえば・・」と、いうわけにもなかなか行きません。だっていきなり「うちのウォーホルのモンローを30万円で買わない?」って言われても困りますからね。

ですので、このサービスは非常に魅力的です。また、より詳しくサイトを見ていると、そもそもこのタグボート自体が実は中古市場=セカンダリーマーケットであることが分かります。この辺りは詳しい解説(対話形式のコラム)がサイト内にありますので、ご興味のある方はそちらをご覧になってください。

小山登美夫ギャラリーと@Galleryタグボートの違いは?
プライマリー・マーケットとセカンダリー・マーケットの違い (2004.08.09)

http://www.tagboat.com/contents/column/koyama_vol9.htm

で、読んでいただいた方にはお分かりいただけると思うのですが、

そうなんです。プライマリーとセカンダリーという「商品売り出し」+「中古売買」という二つのマーケットが相互補完することでアート市場は成り立っているのです。ユニークですよね。

ただ、これは、書籍やCDと異なり、アート作品が大量に複製することが物理的に困難だからこそ必要とされるメカニズムなのです。

人気のある商品=作品は、買い手が集中しても大量複製できない=オークション(※サザビーズとクリスティーズという二大オークション市場が有名ですね)によるプライス形成=物凄く欲しい買い手が二名いるだけで場合によってはとんでもない価格になる。そういった構造にあります。

ですので、実は「セカンダリーで高値を呼ぶのはありがたい」ただ「余りに高騰してプライマリーから大きく乖離するのも困りもの」といった事情があるようです。

この辺りは上記のコラムでも一部触れられています。また、そういったマーケットの特性を知った上で美術品オークションのニュースなど読むと、もう少し理解が深まるかもしれません。

は言っても、私もアート取引なんてまるで門外漢ですし、ウェブマーケティングの観点からその特殊性、独自性に惹かれているだけなのでそれほど深いことは書けません(すいません)。

非複製芸術とイーコマースという組み合わせ

でも、、このネット社会で、簡単に複製できない、それこそ一点モノの作品が、それゆえに価値を持つこと。

また、実はそれらの作品は優れて「情報的=コンセプチャル」であるという点。

そして、場合によっては「それらの作品は社会と個人、メディアと個人、あるいは貨幣と個人など、優れて資本主義的な分裂を描くことが多い」。

でも「それらのアート作品自体は市場原理により取引され価格形成される」という面白い存在なのです。

あと、これは蛇足なのですがARTFACTSなど、海外のアート作品価格比較サイト(笑)などで価格参照しながら見るとより一層楽しめるかもしれません。

アートマーケットの価格破壊?

意外とタグボートは安いのです。こういう点ももしかすると少しアマゾン的かも知れません。アマゾンは洋書の輸入単価のべらぼうな高さ(下手すると2倍)を白日の下にさらし、大幅に相場を書き換えたわけで(未だに書店で買う洋書はとても高いのですが)、タグボートを見るとその適正な価格設定にある種の驚きを覚えます。

アートという分かりにくくしかも元値の見えにくい商品を非常にフェアな価格で販売しようとする姿勢が見えます。また、ういったフェアな姿勢が国内有数のギャラリーとの提携というパートナーシップにも跳ね返っているのではないか?と推察します。

だってアンフェアな販売をしているところに一流ギャラリーが参画するのは信用問題に関わりますからね。しかも適正なセカンダリーマーケットは、プライマリーマーケットにとっても良好な循環をもたらすはずなのです(※買い替えによる商品需要の喚起)。

で、ARTFACTSの値動きや作家のトレンドなど見ながらタグボートで作品チョイスをするのはなかなか楽しいのです。

例えば、自分が良いと思う作家の値段が上がるとまず楽しいですしね。もちろんその逆に注目している作家の評価が落ち込んでいたりするとちょっと残念だなあと思ったりもします。

あと、敢えて利用者として苦言を呈するとすれば人気作家の人気作品が本当に品薄なのです。まぁ、これは需要と供給のバランス次第なので、サービス自体への苦言というよりは現実の品揃えに対する不満なのですが。旬の作家の良い作品は結構すぐに無くなってしまいます。

ARTFACTS

http://www.artfacts.net/

※詳しい価格情報等は有料になります。

タグボート

http://www.tagboat.com/

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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