PingMagのユニークさは、自らも新しいビジョンを指し示していこうという姿勢を持っている点だ。それはウェブ2.0的なスタンス、つまり受信者と発信者が常に交換可能である。という世界観に沿った自然な流れのように思う。
そこで取り上げられ、既にmixiやFlickrでも流行り始めているデジタルフォトグラフィーの新手法がHDRイメージ(High Dynamic Range、画像をご覧下さい)だ。これは露出設定の異なる複数の同一画像を一枚に合成し、まるで攻殻機動隊やエヴァンゲリオンの1シーンのような光景を作り出す技法だ(攻殻機動隊のオマージュ作品とも言えるマトリックスに於いてはHDRが多用されている)。
基本的に、「フィルム感度を上げて」「ハイコントラストにし」「画面の全体に照準の合った」独特の画像に仕上がる。そう、ちょうどCGIアニメーションの1カットを見ている時のような独特のリアルバーチャリティがある。
サンプリングミュージックの映像版
それを観て直感的にフラッシュバックしたのは、1978年にオーストラリアで2人の若者が創設したフェアライト社から、画期的なフェアライトCMIが送り出されてのち爆発的に広まったサンプリングミュージックの記憶だ。
シンセサイザーの合成波形による電子音楽がそれまでにもっていた文脈には無かった「まるごと音楽をデジタイズして演奏」するという奏法がもたらしたインパクトは非常に大きかった(磁気テープによる手法は既に用いられていたが非常に扱いづらかった)。
それに、多くのミュージシャン達は、これ以降スタジオで操作できる音源のバリエーションとクオリティに於いて、それまでとはまるで比較にならない自由を手に入れたのである。
写真術がデジタイズされたからと言って(そのワークフローの変貌は絶大だと思うのですが)、その表現手法そのものが本質的にデジタル化されたとはいえない。HDRイメージのようにデジタルならではの変換方法が鍛えられることで、今までに無かった刺激的な表現がこの先も続々登場してくるのでは?と、いう期待感を覚えます。
その実際のイメージについては、下記のサイトを参照してみてください。制作プロセス自体はそれほど難易度の高いものではないので、使いこなし次第で色々な試みができそうです。また、mixiやFlickrなどを通じてあっという間に伝播しているその様子もきわめて今日的かと思います。
表現が表現を通じて変貌を遂げていく。
それに、その伝播経路や変貌のプロセスも追跡可能だったりするところが総体としてみたときのデジタルフォトグラフィーの特徴といえなくも無いですね。これからの動向が楽しみです。
10枚の「ゴッサムシティ東京」
http://www.pingmag.jp/J/2006/04/13/10-pictures-of-tokyo-gotham/
The Flickr HDR Group
http://www.flickr.com/groups/hdr/pool/
mixiコミュニティー HDRイメージ
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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