最終更新時刻:2008年7月24日(木) 12時52分

2

存在と表現の融合 -ライフログについて-

公開日時:
2007/07/05 04:17
著者:

先日、IPAの未踏ソフトのOB会のESPer 2007で「私的所有の生物学的起源-presentationとrepresentationの融合-」というタイトルで講演をしてきました。
あまりちゃんと伝わらなかったかなという気もするので、少し書いてみようと思います。

このムービーにあるとおり、私的所有というのは生物学的起源をもっています。そしてはからずも近代というシステムは私的所有の問題を本質的にはらんでいるのです。自他の区別可能であることによって、近代国家、近代個人、近代法人などを作り出されてきました。

情報の所有権の問題も、その生物学的起源から考えると決してアプリオリなものではありません。情報の所有権が発明されたものである以上、環境と身体のインタラクションの設計の仕方によっては、また違う身体性を獲得することも可能なはずです。

ストレージのチープ革命は、あらゆる人間の行動を情報として保存可能にしていくでしょう。これがライフログの進展です。われわれはライフログをソーシャルウェアの観点から利用可能なことをtwitterから学びました。ライフログ化されたデータを他人が利用可能になることによって、爆発的に新しい利便性と感覚が生まれてくることでしょう。

存在と表現の2分類というのはISEDで東さんがしていたものですが、私はこの2つが融合していくものだと考えています。

存在(presentation)とは、人間がそこにいるだけで発している情報だとしましょう。
表現/表象(representation)は、なんらかの認知的対象に対して、(結果として)意図的に発信する情報です。

representationは、自分の脳の中のホムンクルスに発信される場合は表象と訳され、別の個体の脳の中のホムンクルスに発信される場合は表現と訳されます。

ブログに書くのは表現で、twitterに書くのも表現、Justin.tvのようなlifestreamは存在の情報だというのが、古典的な解釈でしょうか。しかし、twitterとJustin.tvの違いはこれから限りなく小さくなっていくことでしょう。

このことは、法的に大きな問題をはらんでいます。存在に関する情報はプライバシーで、表現については著作権で管理しているからです。著作権の問題は、中期的にはライフログ化の進展の中で議論しなくてはいけません。

ヘッドの著作権者の利益を、著作権を登録制にすることによって守るようにしなくては、ライフログ化の進展しても、テールにある存在の情報が利用できなくなるからです。

しかし、法学者にご登場ねがうのは、少し後にしましょう。問題は、リアルタイムコライティングというかネットにおける砂場的インターフェイスが、人間の身体感覚や情報の所有感覚にどのような変容をせまるのかという点にあります。

ここは未踏の地であり、そしてまさに、みなさんのような未踏開発者が開拓すべき土地なのです。

いうまでもなく、あらゆるrepresentationはpresentationにすぎません。「遠藤拓己+松山真也+ドミニク・チェン」の《TypeTrace》はそのことを如実にあらわしていますし、このような試みから新たな文学が生まれてくるでしょう。

ライフログの編集プロセス自身がライフログとして蓄積されていくことを想像してみてください。これは無限後退するようにみえますが、現実の時間は進行していきます。presentationとrepresentationの融合はこの無限の織り込みのような形で実現されることでしょう。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

このエントリーへのコメント

ブログにコメントするにはCNET_IDにログインしてください。

この記事に対するTrackBackのURL: 

このブログについて

ブロガープロフィール

アーカイブ

2008年7月
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

カテゴリ

ブログネットワーク

アルファブロガー

外資系エグゼクティブの日々今アーキテクチャが面白い
外資系エグゼクティブの日々
クロサカタツヤの情報通信インサイトインターネットのリュミエール
クロサカタツヤの情報通信インサイト
平野敦士カールのアライアンスInsightGoogleお前もか?
平野敦士カールのアライアンスInsight
江島健太郎 / Kenn's ClairvoyanceiPhoneという奇跡
江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance
末吉隆彦 ロケーションウェアの「空」と「実」サミット、サミット、そして今こそ!公衆無線LAN
末吉隆彦 ロケーションウェアの「空」と「実」
佐々木俊尚 ジャーナリストの視点暗黙共同体へ−秋葉原事件で考える
佐々木俊尚 ジャーナリストの視点

読者ブロガー

レンタルサーバの裏事情サーバトラブル事例(2)
レンタルサーバの裏事情
朝之丞のTry and TestedGoogle Lively試してみました。
朝之丞のTry and Tested

企画特集

DELLが掲げる「新・仮想化アセスメントサービス」DELLが掲げる「新・仮想化アセスメントサービス」
〜企業システムの仮想化環境の構築を支援〜

新着コメント

EMONEαもiPhoneも所有しておりますが、どちらをより使いたい、携帯したいかと......
iPhoneの「絶賛」と「冷めた反応」の間で
投稿者:Toyolina
lifehacxさん、こんにちは。 CNETの方からTB pingが打てませんでしたので、......
Google Lively試してみました。
投稿者:朝之丞
統計などは別として,私の周りでも,私も含め,「最近ニコ動は面白くないから......
ニコ動、頭打ちなのかい
投稿者:さぁや
余計なことですが、ロータスヨーロッパは、当時のスーパーカーのレギュレーシ......
they'll drink from the fountain of retro,
投稿者:ルート134
1995年ですか、地震で高速道路は落ちるは、Windows95が発売されるは、サリン......
いつか見た歴史のひとコマ
投稿者:ルート134

ブログネットワークとは?

CNET Japan ブログネットワークは、元はCNET Japanの一読者であった読者ブロガーと、編集部の依頼により執筆されているアルファブロガーたちが、ブログを通じてオンタイムに批評や意見を発信する場である「オピニオンプレイス」、また、オピニオンを交換するブロガーたちが集うソサエティです。

広い視野と鋭い目を持ったブロガーたちが、今日のIT業界や製品に対するビジョンや見解について日々熱く語っています。

あなたもブログを書いてみませんか?

CNET Japanやその他サイトが提供するITニュースやコンテンツへの意見や分析、 ビジネスやテクノロジーに対するビジョンや見解について語っていただける方を 募集しています。ご応募はこちらから

ブログの投稿・管理

ブログの投稿はこちらから(※ブロガー専用)

ブログアワード2007開催決定!

今年最も活躍したブロガーを表彰します。詳細はこちらから

αマークって?

これは、CNET Japan 編集部の依頼に基づいて執筆されているCNET Japan アルファブロガーによるブログの印です。

Good!って?

CNET Japan ブログネットワーク内で拍手の代わりに使用する機能です。ブログを読んで、感激した・役に立ったなど、うれしいと思ったときにクリックしてください。多くGood!を獲得した記事は、より多くの人に読まれるように表示されます。

レビュー

[レビュー]高い信頼性を普通に使う地球に優しい電源ユニット--Antec EarthWattsシリーズ EA-650
“自作ユーザーは、電源ユニットに何を求めるのか?”出力なのか、安定性なのか、それとも機能性なのか?難し
オンリーワンの個性を極めた超薄型テレビ--日立 Wooo UTシリーズ
日立製作所の超薄型液晶テレビWooo UT 770シリーズは2008年6月にラインアップが増強され、さらに日立らしい
[レビュー]“この手があったか”と思わせるパワーユーザーも納得のPCオンデマンド--「VALUESTAR G タイプR Luiモデル」+「Lui RN」詳細レビュー
「VALUESTAR GタイプR Luiモデル+PCリモーター」は、設置場所にとらわれずにPCを使える、NECが新しく提案
[レビュー]テレビを持ち歩ける最強ツール--ソニー、Blu-rayレコーダー「BDZ-A70」
加速度的に製品の認知度を普及させているBlu-rayレコーダー。その高画質、長時間録画という製品特性に「お
今週の新製品総チェック:ソニー「VAIO」が新キーワードを発表、ビクターからはYouTube対応ビデオカメラ
[レビュー]ネットワーク対応の高機能デジタルフォトフレーム--ソニー「Canvas Online CP1」
15時間の行列で手に入れたiPhone 3Gファーストインプレッション--ソフトバンクモバイル「iPhone 3G」
今週の新製品総チェック:まさにiPhone一色の1週間、ついに店頭発売へ
北京を見逃すな!--2008年夏、今買うべき「薄型テレビ」