「多重債務者に朗報!」などと書くと、どこか場違いに映るかもしれませんが、まさにそんなキャッチフレーズが真っ先に思い浮かぶようなオンラインサービスが米国で登場しているようです。
Prosper.comというこのサービス。仕組みは、簡単にいうと、まず潜在的な借り手側が「これこれの金額(たとえば、5000ドル)を必要としている」と名乗りあげます。それに対して、貸し手側はたとえば「15%の金利で、50ドルを貸そう」といった条件を提示して、入札に参加します。そして、この金利が安い者から順番にお金を貸せる権利を手に入れる、というものです。
無論、お金が絡むことですから、実はそんなに簡単に話が済むわけではありません。借り手(希望者)のほうは「自分はこれこれしかじかの素性の者(ただし匿名でよい)で、こういう事情でお金をかりたい。希望する金利の上限はX%で、しかじかの仕事をしており、返済計画はこんなで・・・」っといったように、自分のリクエストを他のユーザーに売り込まなくてはなりません。また、貸し手側でも、こうした借り手側の「訴え」のほかに、個人信用情報や収入に対する負債の比率、返済スケジュールなどの諸条件を吟味し、入札に参加するかどうかを決めなくてはなりません。
借り手側の「訴え」を読んでみると、高金利のクレジットカードローンによる負債を清算したいといったものが多くみられます。また、なかには「39歳になる3児(大学1年の息子と、12歳と11歳の娘)の母で、以前のレイオフや母親の介護、離婚などが重なってできた借金を返す必要があり、1万2000ドル借りたい。すでに2つの仕事を掛け持ちし始めており、週70時間働いているので、今年は6万ドル以上の収入が見込める・・・」といったものもあります(ちなみに、この女性に対する入札は、金利17%で43件、金額にして3726ドルほど集まっていました。貸し手側の大半は50ドル、100ドルといった単位ですが、なかには400ドルほど出すという入札者もみらえます)。
また、うまく100%集まった例としては、3000ドルを18.45%で調達できたフリーランスのビデオカメラマン(「大手銀行系のクレジットカードの金利が31.49%もするのでそれを精算したい」)や、23.75%で7500ドルを調達できた広告代理店クリエイティブディレクターの例などもあります。
なお、今年2月からサービスを開始したサイトではPropsper.comでは、成立したディールの借り手側から1%、また貸し手側から0.5%を徴収しているそうです。
このPropsper.comや類似のサイトについて詳しく伝えているSalonの記事には、こうした新しいサービスがもたらす可能性と不安、そしてこれらが好ましい影響を及ぼすと期待される米国金融業界のひどい現状--食べるにも事欠くような最低所得者向を相手にする金融業者(payday loan industory)のなかでは、100ドルを2週間貸して15〜20ドルの手数料を取る=金利にして400〜500%程度といった行為もめずしくない、とか--など、数々の興味深い話がでてきますが、これらについてはまた別の機会にでも。
ネットの草の根の力を借りた「person-to-person lending」サービスについて、このSalonの記事では、これが「Good people are being overlooked」(善良な人々が見過ごされている)という点を逆手にとる、あるいはそうした問題を解決するものだとし、さらに以下のように続けています。
Traditional creditors use a trove of data to assess us all, thoroughly scrutizining our financial records and giving each of us a score. But because these scores are determined by algorithm rather than human beings, they invariably miss important aspects of our financial lives.
(従来の金融業者は膨大なデータを駆使してわれわれを一人残らず評価し、われわれのお金に関する記録を徹底的に調べ上げ、それぞれに点数をつけている。しかし、これらの点数を決めるのはアルゴリズムであり、生身の人間ではないため、お金に関して見落とされている重要な点がかならずある)
坂和敏(編集部)
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