今日はIBMのPC事業売却--というか、Lenovoとの合弁事業設立(?)--が正式に発表になりました。身の回りやトラックバックを見る限りでは、ThinkPadファンのみなさんの多くが不安や落胆(?)を感じられているようで、さすがにIBMだけのことはあるな、と感じました。
この話題の影に隠れてしまった感じですが、今日の米国のIT業界はいつもに増して活発な動きがあったようです。まず、サンフランシスコでは今週続いているOracleのOpenWorldがありましたが、今日は主役の同社よりもむしろMichael Dellを始めとするDellの面々が注目を引いていたようです。CEOのDellはIBM-Lenovoの提携をさっそく牽制するような発言をしていました。
一方、ニューヨークではIntelが、そしてボストンではHPが、それぞれ金融関係者向けの説明会を開催。IntelはデスクトップPC向けの64ビット対応チップを来年に投入すると前倒しの発表をしています。AMDに対する技術&マーケティング面のキャッチアップを図る必要がますます高まってきたことの現れとも受け取れます。
そうして本題(?)のHPですが、CEOのC. Fiorinaが改めて事業が成長期に入りつつあることを念押しするような発言をしています。が、しかしこれは、いまだに確たる結果を出せていないHPに対する懸念を減らすため、と読むのが正しい。ちょうど月曜に来ていたBusinessWeek誌の特集記事を見る限り、そうした印象が拭えません。
この記事に含まれた具体的なファクトはたくさんありすぎて、すべてはご紹介しきれませんが、要は同社の経営がCompaqとの合併前と変わらず、いまだにプリンタ事業というキャッシュカウに依存している状態であること。コスト削減など一定の効率改善はあったものの、いろいろな事業が社内にありすぎて、望んだようなシナジーはおろか、かえってその図体の大きさ・複雑さにしばられて、個々の事業の身動きがとりずらくなっていること。そうしたことからプリンタ事業のスピンオフを始めとして、事業毎にいったんバラバラにしたほうが、全体的な価値が上昇すると見る向き(投資家や金融関係者など)から、相当の圧力がかかっている、ということです。
今回IBMが、同社のなかでは利益率の良くないPC事業からさっさと手を引いてしまったことで、対照的な姿勢のHPに対する風当たりもますます強まるでしょう。PCビジネスひとつとっても同社には直販中心のCompaq(法人向け)と従来の小売チャネル経由で販売されるHPという2つのブランドが併存するため、なかなか効率化が進まず、営業利益率で比較しても市場シェア首位のDellの8%に対し、HPはわずかに0.9%ということです。ちなみに、同社の非プリンタ事業全体の営業利益率は3%で、いっぽうIBMは11%とここでもライバルと大きく差をつけられています。ちなみにキャッシュカウのプリンタ事業は売上高が242億ドルと全社の約30%にすぎないにも関わらず、営業利益では全体の76%を叩き出しているとのことです。
そんな事情から、プリンタ事業という金ヅルがなくなれば、他の事業もそれぞれ必死に金儲けにいそしんで、各々の市場での価値も増大する、というのが分離要求派の考えのようですが、ただしご存じのように、FiorinaはCompaqとの合併の際に反対派の株主らと死闘を繰り広げ、それを勝ち抜いてきたという経緯もあり、そう簡単にこうした考えを受け入れるとも思えません。
さらに、よしんば企業経営者としての合理的な判断(?)が働いて事業分割を受け入れる気になったとしても、次の目標として密かに(しかしある程度公然と)政界進出を目指すFiorinaの思惑が邪魔をして--つまり、このままCompaq買収後に確たる成果を上げられずに、再び分割ということにでもなれば、ある意味で自らの戦略のミスを認めることになるため--なかなか首を縦には振れないのではないでしょうか。ちなみに、早ければ2006年に予定される次の連邦議会選挙の際にカリフォルニア州の共和党候補として出馬する、との噂もすでに一部で出ているとのことです(シュワルツネッガーの知事就任の際にひと働きしたことは、以前当サイトでもお伝えしていました)
Fortune誌が企画するMost Powerful Womenのランキングで長らく首位をキープしていたFiorinaですが、今年はついにeBayのMeg Whittmanに王座を明け渡しました。これに象徴されるように、かつてのカリスマ経営者としてのオーラも薄れつつある同氏が、IT業界の動向という「外側」からの圧力に加え、本人のアジェンダという「内側」からの圧力にも押されて、今後いったいどういった動きに出るのかに、否が応でも注目が集まります。
今日の話題はざっとこんなところです。明日はどんなニュースが飛び込んでくるのでしょうか。ではまた明日に。
(翻訳記事デスク)
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