最終更新時刻:2009年7月11日(土) 10時00分
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パイオニア、プラズマ事業見直し・・・と思いきや、なんでもかんでもやるって?

公開日時:
2008/02/23 16:10
著者:
Shin_s

パイオニア好き、プラズマ好きとしては、けさ方早く、このニュースを聞いて居ても立っても居られなかったんですが、土曜の家事を優先して(否、させられて)いたもので(笑)

しかし、さきほどからネットを漁っているのですが、朝日新聞だけしか報じていないようです。
報じているのが“あの”“捏造の”朝日だけということで、いまひとつ信用置けないのですが、まったくガセでもなさそうです。

この報道内容が正しいという前提ですが、ちょっと考察してみます。

パイオニアは、不振が続くプラズマテレビ事業を抜本的に見直す方向で検討に入った。42型のパネルを担っている鹿児島工場の生産を08年度にも打ち切り、42型以下はパネルを松下電器産業か日立製作所から調達し、組み立てに専念する方向だ。自前生産は独自の優れた高画質・高音質技術を生かした50型以上の大型機種に特化し、国際競争での生き残りを図る。

決算発表から読み解く

パイオニアがプラズマ事業を見直す話は、今年度(2008年度)の第3四半期決算発表の際にすでに明らかにされていました。ですからこの報に接しても驚きというよりは「ついに具体的に?」という受け止め方です。『AV Watch』から少し長めに引用します。

ホームエレクトロニクス事業は、売上高が前年同期比9.6%減の1,005億1,200万円。営業利益は同72.8%減の7億7,700万円となった。

売上高の減少要因は、プラズマディスプレイの販売減で、国内の家庭用が増加した一方、欧州、北米で家庭用が減少。また、OEMや業務用についても減少したという。ホームエレクトロニクス事業におけるプラズマの構成比は約42%(前年同期は約49%)。Blu-ray Disc関連デバイスやDVDドライブの売上が増加したが、DVDレコーダの売上は減少した。

第3四半期のプラズマテレビ地域別販売状況は、北米が40%、欧州が45%、日本が5%、その他地域が10%で、サイズ別の構成比は、42型が約40%、50型が50%弱、60型が約10%という。なお、フルHDの比率は「通期で20%」としている。

第3四半期の結果を受けて、通期のPDP販売目標を当初予定の56万台から48万台に下方修正。岡安秀喜常務取締役C.F.O.は、「ディスプレイ事業を抜本的に見直す。3月を目処に、新しいディスプレイ事業の経営計画を発表する」とした。

3月まで新計画の検討を続けるが、「プラズマの撤退という議論はしていない。続ける」と言及。見直しの方向性については、「今のプラズマの状況をみていると、(他社製品と)1.5〜2倍近い価格差がある。大きな価格差があっても買っていただける品質があり、アフターサービスへの満足度なども高い評価を得ている。ただ、問題はそういったお客様の数が我々の想定より小さい。これがまず第1の課題。もう一つは、売上に見合った損益構造になっていない。固定費の大きさ等が見合っていないのではないか。そこを再構築していこうと考えている。また、われわれの強みである、音を活かしたホームシアターなどをセットで考えて、事業構造を変えていく」と説明した。

かつては同社の屋台骨であったはずのホームエレクトロニクス事業でしたが「売上高が前年同期比9.6%減の1,005億1,200万円」と明らかに減少傾向にあり、いまや売上高926億9,100万円(これも同上決算発表より)まで伸びたカーエレクトロニクス事業に押されています。

利益に至っては、ホームエレクトロニクス事業が7億7,700万円なのに対し、カーエレクトロニクス事業はなんと59億500万円ですから、すでにホームエレクトロニクス事業は同社の中核事業とは言えなくなってしまっています。

しかも、そのホームエレクトロニクス事業のうち、42%をプラズマテレビが占めるというのですから、事業内容自体がいびつになっていると言えるかも知れません。

朝日新聞の記事中には最新の情報として

プラズマなどのホームエレクトロニクス事業は営業赤字続きで、08年3月期は175億円の赤字となる見込み。切り札として昨秋発売した高級ブランド「KURO(クロ)」の販売伸び悩みで、生産体制を抜本的に見直す必要があると判断した。

となっており、まさに、のっぴきならない状況にあるのは間違いないようです。

プラズマ事業見直し内容の是非は?

僭越ですが、表題について考えてみます。

まずひとつ驚いたのは、42インチ以下についても、他社から供給を受けることを検討するだけで、プラズマテレビ自体からは撤退しない、ということです。
その驚きの背景にあるのはもちろん、同社がいま“シャープと業務、資本提携を締結”しているという事実です。
ですからまず真っ先に、そのシャープからの供給を受けた液晶パネルの採用を計画するのかと思っていました(この件、後述)。

第一人者と目されるシャープをはじめ、液晶パネルを使用するテレビメーカーが、地上デジタル放送(地デジ)・ハイビジョン対応薄型テレビ市場では圧倒的に多く、また、バックライトで液晶パネルを煌々と照らす(透過させる)という原理もあって、液晶テレビは、家庭よりはるかに明るい環境になっている店頭で、きわめて明るく色鮮やかに見えます。
理由はそれだけではないでしょうが、とにかく市場の売れ行きでプラズマを圧倒し続けています。

たとえば最新のデータ(2008年1月25日に発表されたもので、2007年1月1日から12月31日までの販売実績を集計したもの)では、

薄型テレビ市場は昨年同様9:1の割合で液晶がプラズマを圧倒。

ということです。

しかし、僕も『“KURO”は期待以上のすごさだった』というエントリで書かせていただいたことがあったのですが、実際の家庭環境のような適度な明るさでのプラズマの(ぶっちゃけて言えば、中でもパイオニアのプラズマ“KURO”の、ですが)画質の良さは驚くばかりで、事実こうしたものにとても関心があり、よく見聴きしている人ほど評価が高い、ということもあるわけです。

一方、パイオニアの、かつてオーディオ専業メーカーだった頃からの DNA というか、その製品作りの愚直なまでのこだわり方には定評があり、プラズマテレビの絵作りについても、ライバルである松下電器産業の技術者からもうらやましがられているという話を聞いたこともあります。

パイオニアとしては、それほどプラズマにはこだわっていて、プラズマこそ真の高画質テレビ(を実現できる技術)と確信しているのでしょうし、その“哲学”はシャープと資本提携したあとでも変わらなかったということでしょう。いま、

シャープはパイオニア発行済み株式の14.28%を保有する筆頭株主になる。

わけですが、この報に接する限り、独立性は少しも失われていないように思え、パイオニアのファンとしてはホッとしたというか少しうれしく思っているところです。

いずれにしろパイオニアは、50インチ以上は同社独自の技術での最高の画質・音質のプラズマテレビを守りつつ、42インチ以下でも他社パネルとはいえプラズマテレビを出し続けるということで、プラズマにコミットし続けるという意志を表明した(する)わけです。

両刃の剣?

ただ、上にも書いたようにパイオニアファン、プラズマファンとしてはある意味ホッとしたうれしいニュースなのですが、同社の今後を考えると手放しで喜べないような気もします。

これも最初の方で書いたことですが、市場での実勢は液晶テレビが圧倒しており、その勢いも留まるところを知りません。もちろん、出るかわからないキヤノンの SED はともかく、ソニーがまだ小型テレビとはいえ実用にこぎつけた有機ELテレビ(余談ですが、箱の中に“現実世界”があるかのような美しさだったなぁ)のように、今後他の方式が市場で伸びてくる可能性はありますが、いまのところ液晶が主流であることは間違いないでしょう。

たとえば同じプラズマ方式のテレビを出している松下電器も、一方では液晶へも大きくコミットし始めており、つい最近(2007年末)も

日立製作所、キヤノン、松下電器産業の3社は12月25日、液晶ディスプレイ事業における包括的提携を行うことで基本合意に達し、日立製作所 執行役社長 古川一夫氏、キヤノン 代表取締役社長 内田恒二氏、松下電器産業 代表取締役社長 大坪文雄氏出席による共同記者会見を行った。

今回の提携内容は、日立が株式を持つ液晶パネルメーカー「日立ディスプレイズ」と「IPSアルファテクノロジ」へ、キヤノンと松下の出資率を高めていくことが主となる。提携後第1段として、日立が100%出資する子会社、日立ディスプレイズの株式を来年3月31日までに、キヤノンと松下に24.9%ずつ譲渡する。

といった発表を行うなど、あらゆる方向・可能性をにらんだメーカー間の提携が大きなうねりとなっているところです。

 

【2008年2月23日 21:35追記】これを書いていたら、関連して結構大きなニュースを見つけましたので、追記しておきます。

ソニーが液晶テレビ用パネルをシャープから調達する方向で最終調整に入ったことが23日、明らかになった。これまで韓国サムスン電子との合弁会社「S−LCD」から大部分を調達してきたが、主力調達先にシャープを加え、安定供給やコスト改善を図る。シャープも国内最大手のソニーにパネルを販売することで、外販ビジネスを軌道に乗せる。

(中略)

シャープが21年度に稼働を目指して約3800億円を投資した「第10世代」と呼ばれる堺市の新工場から大型パネルを購入するほか、20年度については三重県亀山市の既存工場からの購入を軸に検討している。

ソニーまでシャープから調達ですか・・・。“トリニトロン”時代とは業界の様相がまさに様変わりしてきましたね。
(追記終わり)

【2008年2月26日 14:50追記】上記のニュースの正式リリースです。追記しておきますね。

シャープ株式会社(以下、シャープ)とソニー株式会社(以下、ソニー)は、現在シャープが大阪府堺市に建設中の第10世代マザーガラスを採用する液晶パネル工場を分社化することにより、大型液晶パネル・モジュールの生産および販売を行う合弁会社を設立することについて、本日、両社の意向を確認する「意向確認覚書」を交わしました。

(中略)

合弁会社は、世界初となる第10世代マザーガラスを採用する液晶パネル工場の優位性を最大限に活かし、品質、コストおよび性能において業界最高水準の大型液晶パネル・モジュールの生産を行い、出資比率に応じてシャープおよびソニーへ供給することとなります。加えてシャープおよびソニーは、液晶パネル・モジュール用部材の共同開発についても検討し、さらに協力関係を強化してまいります。

単にシャープがソニー向けの“部品供給”をするだけでなく、合弁会社まで作り、さらには部材とはいえ共同開発についても視野に入れる、ですか。結構“大きな”話になりました。
少なくとも一般的な話では、ますます液晶テレビの競争力が増しプラズマパネルの肩身が狭くなるとは言えそうです。
(追記終わり)

パイオニアの存在意義は?

そんな市場で、そもそも他の大手家電・重電メーカーほど“体力”のない同社が、42インチ以下でまでプラズマテレビにこだわるべきなのかどうか・・・。

ちょっと詳しい方ならご存知のように、プラズマ方式はより大きいサイズでこそ、その特長を大きく活かせる技術です。逆に言うと、小型化が難しい技術であるとも言えるのですが。

失礼を承知で言えば、小さいサイズ(42インチより、といった意味で)のテレビを買われる方は、それほど画質にこだわらない人たちのように思います。それよりどちらかというと、先に書いたような、見映えのいい明るさ、きらびやかな画質といったものを求めるように思うわけです。
もちろん、そうして気軽に“テレビ番組”を見るためのテレビと、映画などをより高画質で見るためのテレビやプロジェクターを使い分けている方もいらっしゃるとは思いますが、残念ながら、見る側にも、そういうこだわりを持っている方は少なくなっているのも事実です(ですから、ピュアオーディオコンポーネントの世界は縮小傾向にあるわけです)。

自社でプラズマパネルを開発し続けるなら、あるいはそんな市場でも同社が“存在する”意義があるかもしれませんが、他社パネルを組み立てるだけでそうした意義のあるテレビを出せるかどうか、ちょっと疑問だったりします。

パイオニアという会社は、先に書いたように、あらゆる製品作りに独自のこだわりを持ち続けてきた、マニア受けのする会社です。テレビ事業にしてもかつて、他社ブラウン管の供給を受けながら、独自の回路技術・高画質化技術で、大きな評価を受けたテレビ・モニターを出した歴史があります(余談ですが、僕もその SEED SD-29PRO というのを愛用していました)。
ですから、たとえ松下や日立から供給を受けたパネルでも、その時と同様の“驚き”を味あわせてくれるかもしれません。それを期待したい気持ちもあるのですが、いま、先に挙げたような“のっぴきならない”この業績の中でそれが許されるのかどうか・・・。

プラズマテレビにおける同社の“革新的な技術”のうち、液晶テレビの高画質化に流用できるのはどれほどあるのでしょうか? もちろん、回路技術の類いも見逃せないでしょうが、同社のプラズマテレビ“KURO”の高画質の秘密は、パネル自体の凄さにあるのであって、液晶ではそれが活かせないわけです。

液晶テレビも発売

一方で、パイオニアは今回の見直しに当たって、

新たに発売する液晶テレビは、資本・業務提携しているシャープからパネルを調達して中型以下の機種を中心とする。

ということで、シャープからの液晶パネルの供給を受け、液晶テレビにも参入するようです。

ですが、これも上に書いたことと共通するのですが、そこまで手を染められる状況にあるのかと疑問に思います。
この記事中の“中型以下”というのが具体的に何インチ以下をさすのかまだわかりかねますが、42インチ以下のプラズマテレビも存続するのであれば、それと社内でバッティングするのも間違いないでしょう。そのことも問題ですし、上述のような厳しい液晶テレビの市場競争の中、2方式を同時に開発する余力があるのかも疑問ですし、それが市場で競争力を持つのかどうかも疑問です。

疑問、疑問、と僕にしては珍しく、ネガティブなことを書いてきました。
しかし、これほど厳しい市場環境と具体的な業績の不振があるからこそ、パイオニアはホームエレクトロニクス事業の42%をも占めるプラズマテレビ事業の抜本的見直しをすると決めたわけです。

なにか、42インチ以下でプラズマもやる、液晶もやる、というのでは、かえって自らの首を絞めることになりかねないのではと危惧しているのです。
ここはいっそ、50インチ以上の大画面テレビに特化して、はやり言葉ではないですが、それに“選択と集中”をした方がよかったのでは、と感じました。

【2008年2月23日 21:35追記】価格.comの関連製品スレで的確なご指摘を目にしました。
42インチ以下で液晶、プラズマの両方をやるのではなく、「42インチが他社パネルプラズマ、それより小型(37、32といった)がシャープパネル液晶、ということです。たしかにそれなら棲み分けが明快で、合点が行くような気がします。
それでもまったく違った方式の開発に取り組む困難さはあるような気はしますが。
(追記終わり)

最初に書いたように、これはまだ朝日新聞だけの“憶測”記事やもしれず、それに大きく反応しすぎた感はありますが、とにかくあの他社に例を見ない優れたプラズマがこの世から無くなるような事態だけはご免被りたいという気持ちなのですね。
あの東芝の HD DVD 撤退の“衝撃”からすれば、世間的にはその影響の大きさは皆無に近いものかもしれませんが、僕にとってはそれをも凌ぐデカさだったりしますから。

折しも、きょうから横浜ではパイオニアも出品する『A&Vフェスタ2008』(日本オーディオ協会主催)が開催されています。あした行こうと思っていますが、いろいろ話を聞いてこようかな(^^ゞ・・・というかなんにも教えてはくれないでしょうけど。
いずれにしても、同社からの正式な発表を待ちたいと思います。

【余談】パイオニアがビクターと手をつないだら

この報でまた前からずっと思っていたことを思い起こしているのですが、ビクターがパイオニアと手をつないでくれたらよかったのになぁ、って。

ビクターもいまは少し影が薄いですけど(失礼)由緒正しいテレビメーカーですし、なんといっても、フロント投射型プロジェクターの分野で、いまや最高の画質を誇ると評判の高い、D-ILA というデバイスを持っています。これと、薄型大画面テレビ随一の画質を誇る“KURO”との両者があったら、ホームシアター関連ではまさに“鬼に金棒”だったのではないでしょうか。
かつては、例のレーザーディスク・ VHD 戦争でやりあった両者ですが、テクノロジーオリエンティッドかつ独自のこだわりを持つモノづくり、という企業風土みたいなものに、なんとなく似通ったものを感じるのですが・・・。

まあ、ケンウッドと経営統合してしまったいま、それはまさに夢物語でしかないのですが、な、なんなら、三社で手をつないでみる?
ケンウッドとパイオニアはかなりバッティングする分野が多い(ケンウッドもカーオーディオもメインですし)のですが、少なくとも大手家電メーカーにこのまま飲み込まれるよりはマシかな、と(^^ゞ

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

このエントリーへのコメント

2

オーディオ少年だった私にはパイオニアは懐かしい。
レーザーディスクで謳歌した会社ですがあまりに固執したんでしょうね。
スピーカーはあまり好きではなかったのですが技術開発に優れその点は好きです。
プラズマのKUROは実物を見てはいませんが間違いない製品でしょう。
液晶、プラズマ、有機ELとありますがどれをとっても日本がリードする製品ばかりですね。
パイオニアの技術力が廃れない事を祈りたい。

  kyamaga on 2008/02/25

1

この話は、私も聞いてショックでした。。。KUROの良さを知ったばかりで、ようやく検討対象に入り始めたばかりだったので。パイオニア生産パネルの42インチが無くなれば、たぶんパイオニアとはさようならです。注意して見守りたいと思います。

  guong on 2008/02/24

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