最終更新時刻:2009年11月10日(火) 6時00分
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地デジの悪しき「コピーワンス」が見直しへ?

公開日時:
2006/08/02 15:36
著者:
Shin_s

地上波テレビ放送のデジタル化にあたって、視聴者にとって大変ネックであった「コピーワンス」に見直しの機運が出てきたようです。

総務省は1日、情報通信審議会15回総会を開催。総会では「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」の第3次中間答申が提出され、地上デジタル放送におけるコピーワンス運用を見直し、出力保護付きでコピー制限無し(EPN運用)の導入を前提に検討を進めるよう求めている。

中間答申では、放送番組を「EPNの取り扱いとしていく方向で検討し、12月までのできるだけ早期にその検討状況を公開すること」を要請するとともに、受信機メーカーにも、コピーワンスにより生じるムーブ失敗などへの対応のあり方を検討し、12月までの早い時期に検討状況を公開するよう要求している。

メーカー側は、あまりにユーザに不便を押し付けるコピーワンスの見直しには積極的だったわけですが、さて、“著作権利者”の放送局側はこれにどういう反応を示すのでしょうか?

ともかくも、一歩前進したと現時点では評価してよさそうです。

ただ、12月までに「検討状況を公開」せよ、というのはいかにも遅いなぁ。
メーカー側は EPN 運用でオーケーなわけで(というか、そもそもこの方式を提案したのはエレクトロニクス業界団体の JEITA です)、すぐにも結論が出るでしょう。対する放送局側はこれには反対なわけですから問題になるのはこっちです。ですから、長々と引き伸ばしたいと考えないとも限らないので、遅くとも10月くらいまでには検討結果を出させ、今年中に結論を取りまとめるくらいでなければ。

というか、総務省は、ユーザーの立場に立って放送局を指導する、なんていう気概はないの?

あと、一次ソースを探しに総務省のサイトに行ったんですが見つからない・・・。「情報通信審議会」で検索してもなにも出ないんですけど? これは総務省に限らんのですが、ある情報が記者発表なりなんなりをして公になった暁には、その資料は“その会社(団体等)がサイトを持っているならば”即座にサイトに載っているべきです。
ちょっと脱線しましたが・・・。

EPNとは?

EPN というのは、引用記事にあるように「出力保護付きでコピー制限無し」というコピープロテクション方式なんですが、簡単に言うと、「デジタル信号をデジタルのまま他の機械に出力できない(アナログではできる)が、コピーは自由である」という仕組みです。

自分でも正確に理解しているわけではないのでこの際調べてみました。

アナログ放送と異なる制限の多さに、一部ユーザーから不満の声が高まっていたが、JEITAでは、その解決策として「出力保護(EPN)」を提案した。EPNは、Encryption Plus Non-assertionの略で、放送波の段階から暗号化、その暗号を解ける受信機などでないと再生できない。コピー数やコピー世代の制限はせず、リムーバブルメディアへの記録は自由にできるので、ユーザーの利便性は大幅に向上するはずとしている。

やっぱりちゃんと理解してませんでしたね(笑)。
デジタルで他の機械に出力できないんじゃ、外部チューナーからディスプレイに出せないし、レコーダーで録画もできませんよね。
要は、その暗号を正しく解読する装置を持っている機械であれば自由にデジタル信号をやり取りでき、HDDレコーダー等でもムーブでなくコピーができる、というものなんですね。

もうちょっと技術的に詳しい説明は下記サイトへ。
EPNとは - NE 今日の用語 - 日経エレクトロニクス - Tech-On!用語辞典

また、JEITA がこの方式を提案するもう少し詳しい理由や背景などについては、『JEITA、「コピーワンス見直し」について提案内容を説明』という記事に詳しいのですが、この中でJEITAコンテンツ保護検討委員会技術検討WG主査の東芝デジタルメディアネットワーク社・野中康行氏は、

EPNは、COGと異なり放送波の段階で暗号化されているため、ライセンスを受けた機器でしか動作しない。ただし、指定の方式で保護された機器については、コピー数やコピー世代制限無しでダビングなどができ、例えばメモリーカードへも元データを損なうことなくダビング可能となる。EPN運用でも、i.LINKやIP伝送に利用されるDTCPやDVD-R/RW/RAMのCPRM、映像出力のHDCPなどの現行の技術保護を継承できる。

また、いわゆる“コピーフリー”では無いという点も強調。「EPNは全てが暗号化され、コピーコントロールを主張しない方式。コピーコントロールは主張しないが、(DTCPやCPRMなど)保護技術のチェーンで守られる。ライセンスのチェーンで保護されている受信機でしか再生できず、コンテンツの保護が担保される」とコンテンツ保護への配慮をアピールした。

と説明して、理解を求めています。
なお、引用文中の COG とは Copy One Generation の略で、いわゆる「コピーワンス」のことです。

また、最初に「もっと急いで決めろ」と言ったことを書きましたが、その理由のひとつに、当然ですがいますでに EPN 対応でない機器がどんどん販売されているわけで、それらの機種が必ずしも EPN 対応のバージョンアップができるかどうかわからない、という点が挙げられます。

この件は、地上デジタル放送のコピープロテクションの運用を大きく変えることに関する、ユーザーから見た大きな懸念材料のひとつかもしれません。
これについては JEITA からは、

なお、現行のデジタル放送対応機器でのEPN対応については、「運用ルールは現行の規定のままなので、今ある製品での対応は各社の作り込み次第。そのため、EPN対応できなかったり、ソフトのアップデートで対応できるなど、メーカーによって異なるだろう(田胡委員長)」という。

というコメントが出されています。

放送局側は強固に反対

ただ、この方式では当然、劣化なしのデジタルコピー(DVDなど)ができてしまうわけで、放送局側は反対しています。
少し古い昨年末の記事ですが、次のようなものがありました。

受信機メーカーと放送事業者との検討の場として「コンテンツ保護運用に関する合同検討会」が新たに設置され、JEITA提案について協議を進めた結果、放送事業者では12月9日のRMP協議会準備会にて、放送事業者の方針をまとめた。

同準備会では、「デジタル放送普及にはリッチコンテンツの充実が求められる。そのため、多数の権利者が安心してして参加できる環境が必要。私的録画の機会を確保しつつ、番組の充実を図る必要がある」とし、コピーワンスの撤廃には反対し、現行の枠組みの運用見直しで、利用者の利便性向上を図る方針を決めた。

竹中委員(NHK)は、「EPN導入で、インターネットへの流出は保護できるが、権利者の理解を得ることは非常に難しく、ハイビジョン映像や5.1ch音声など、デジタル放送の魅力を生かせるコンテンツが提供されない可能性がある。出力保護では劣化のない海賊版を普通の視聴者が作成可能となることは非常に重要な問題だ。海賊版が作成できる状況で、良質なコンテンツを提供して貰うことは困難。著作権を侵害する違法行為と知らずに、ネットオークションを利用して番組を録画したディスクを販売するなどのカジュアルコピーも防げるため、コピーワンスの維持は必須」との立場を示し、現行のB-CASカードを利用したコピーワンスの仕組みを使いながら、運用ルールの改善により、利便性の向上を図る方針を説明した。

僕は最初の方で、放送局=著作権者、と書いてしまいましたが、なるほど放送局で自社制作する番組ばかりじゃないわけですよね。映画なんかもそうですし、スポーツ番組等でも海外で制作したものを国内で配信するといったこともたくさんあるわけです。

コピーワンスのあまりに杓子定規な運用は、ムーブの失敗といった端的なケースもあるわけですし、利用者に過度の負担を強いるものだと思っていますが、上記の放送局側の懸念にも一理あります。

EPN ではいろいろな条件を柔軟に決めることができそうですので、たとえばコピーワンスではなく、コピートゥワイス(2回までコピー化)とかあるいは3回か4回か・・・といったもう少し許容範囲の広い仕組みを考えてもいいのかもしれません。回数制限という考えでは、結局何回にするかという点で紛糾してしまうだけかもしれませんが。
ただ、いままで見られてきたさまざままコピーガード破りでわかるように、同じ人間の考えることですから、どんな最新の技術もいずれ破られる時がきてしまう気がするんですけどね。

いずれにしても、繰り返しになりますがいまのコピーワンスの仕組みはあまりに使い勝手が悪く、実害もあると思いますから、放送局側もぜひ譲歩できるところは譲歩して、よりよい新時代の放送のあり方を作り上げていってほしいと切に願います。

なにか動きがありましたら、また取り上げたいと思います。
とりあえず新しい動きがあったというエントリでした。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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