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オンラインショッピングとオンラインゲームのユーザ調査

2006/03/22 10:12
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sentan

インターネットの先端的な科学者・識者・ビジョナリーを招いてのセミナーの内容を、自身も自然言語処理というコンピュータの先端的な研究をしているヤフー・ジャパンの山下達雄氏がわかりやすく紹介します(このブログの更新は2006年3月28日で終了しました)。
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今回の先端科学技術セミナーは成蹊大学助教授野島美保先生の講演です。
専門はITによる消費者行動とビジネスモデルの変化の研究。
もともとは B to B を研究していたそうですが、近年は B to C へ調査対象を移行し、小売、ゲーム、コミュニティサービスのオンライン化という流れの中で、業種の垣根を越えて共通するルールや特徴を探す研究に取り組んでいます。

seminar0602-nojima-photo1.jpg

今回のセミナーは、主にインターネットマーケティングに関する二つの調査についてのお話しでした。
まず最初に、ネット小売における情報選択と知覚リスクに関する調査、二つ目は、ネット上の口コミとオピニオンリーダーに関する研究です。

オンラインショッピングにおける知覚リスク

まずは、ネット小売における情報選択と知覚リスクに関する調査です。
どういう状況がネットでの買い物を怖いと思わせるか、どういう情報を見ると信頼感が増すのか、といった要因を知るため、アンケート調査を行い分析しました。

ネットの時間感覚ではちょっと古いのですがアンケートは2001年10月に、日本のオンラインショッピング経験者を対象に、ウェブベースでの回答入力で行われ、有効回答数は4750。
14種類の情報を提示し、それぞれをリスク削減・信頼度アップという観点でどれだけ重要視するかという「重要度」を5段階尺度で回答してもらっています。
他にもその人の属性に関する質問もしています。後の分析で使用しています。

「14種類の情報」を表に示しました。

  リスクを削減する情報
1 商品・サービスが有名である
2 ショップが実店舗を持つ
3 実店舗で現物確認できる商品
4 他サイト・雑誌で紹介された商品
5 ショップがマス媒体で紹介
6 専門家による商品評価
7 消費者による商品評価(BBS)
8 取引に対する消費者の商品評価(BBS)
9 在庫状況表示
10 配送方法と納期の表示
11 個人情報取り扱い規定の掲載
12 FAQ(質問集)の掲載
13 商品詳細情報
14 認証・表彰機関によるマーク

これらをアンケートの回答結果の傾向から、グルーピングすると、以下の4つの因子に分けられます。

  • リアルの評価情報 (1,2,3)
  • 外部権威の評価情報 (4,5,6)
  • 消費者の評価情報 (7,8)
  • 取引詳細情報 (9,10,11,12,13,14)

これらと属性データを元に分析すると、

  • 自信が高い消費者は、評価情報(リアル、外部権威、消費者)は重視せず取引詳細情報を重視する
  • 経験度が高い消費者は自信度も高くなる
  • 情報収集志向の高い消費者は自信度も高くなる
  • 自信度が高い消費者は知覚リスク(恐怖心)が低くなる
  • 買物好き(ネットではないカタログ通販をよく利用する)な消費者はオンライン取引に対する知覚リスクは高いのだが頻繁に買物する

という傾向が現れています。
消費者の傾向として考えれば当たり前なことでありますが、やはりきちんとデータとして裏付けられたというのポイントです。

詳細情報は野島先生の論文をご参照下さい。

  • 野島美保、新宅純二郎、竹田陽子、國領二郎、「電子商店のリスク削減制度:消費者調査をもとに」、2002年5月、Computer Today No.109、pp.51-56.

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ところで、野島先生のサイトにはこのような興味深いコンテンツもあります。

オンラインゲームと口コミ

2つ目は、ネット上の口コミとオピニオンリーダーに関する研究です。
現在進行形で研究中のテーマで、一部は野島先生の論文で紹介されています。

  • 野島美保 「ユーザーコミュニティと顧客満足に関する定量調査」、2005年12月、日本マーケティング・サイエンス学会 第78回研究大会

「口コミはすごいすごいって言われているけれどどれだけスゴイの?」
との疑問に答える定量的な研究です。
ウェブ上の口コミの形成過程を定量化し、オピニオンリーダー像を明らかにすることを目指します。

ポイントは、サービス提供の場としての「クローズスペース」と「オープンスペース」での口コミ形成プロセスを分けて考えるという点です。
クローズスペースは、企業がサービスとして提供する場であるので、高機能な情報交換手段が用意されていて、比較的濃いコミュニケーションがとられています。
一方、オープンスペースはユーザ自身が自発的に掲示板やブログなどでコミュニケーションをとる場です。
クローズスペースの設計思想として、自社サイト内で、ユーザ同士のインタラクションをどこまで可能にするかが、収益にリンクする重要なファクターとなります。
オンラインゲームなどのクローズスペースでは、全ユーザが同時にコミュケーションがとれる多人数参加型オンラインゲーム「MMO」と、他のユーザとコミュニケーションをとるには意識的な操作が必要な「MO」の違いがあると例として挙げられていました。

実際に行った調査では、クローズスペースでの活動である「ゲーム内コミュニケーション」、オープンスペースでの活動である「外部コミュニケーション」、「オンラインゲーム暦」や「プレイ時間」などの属性情報をアンケートで調べています。
ゲーム内コミュニケーションの項目では、会話をよくするか、友人らにゲームのルールなどの指導をするか、ゲームサービスそのものよりもゲーム内の付き合いを優先するか、といった傾向を測定しています。
外部コミュニケーションの項目では、ブログや掲示板での情報発信、情報収集をどの程度を行っているかを測定しています。

いろいろ知見があったのですが、一つだけ。
口コミ形成で重要な要素はオピニオンリーダーです。
リアルな世界では、目立ったリーダーがいて、外部コミュニケーションと内部コミュニケーションの両方で活躍する、というのが定説だそうですが、MMOの世界ではオープンスペースとクローズスペースとの両方で活躍する人はあまりいないようです。
ある人は外の掲示板で自分の属しているオンラインゲームを宣伝し、別の人は内側で初心者にいろいろとインストラクションしたり、と複数の人たちが役割分担をしていると考えられます。

その後、これらも踏まえて、リピート購買モデルから継続サービスモデルへという流れの話、継続サービスモデルにおける顧客満足度、および、定額制かアイテム課金か等の価格設定の話となりました。
詳細は下記の資料をご参照下さい。

  • 野島美保 「ユーザーコミュニティと顧客満足に関する定量調査:多人数参加型オンラインゲームの事例」、2005年12月、日本マーケティング・サイエンス学会 第78回研究大会  
  • 野島美保「顧客満足度曲線とオンラインゲームの価格政策」オンラインゲーム白書2006(近刊)、メディアクリエイト

セミナーを終えて

オンラインビジネスにおいて、オンラインゲームのような継続サービスモデルでは
適切な価格決定を行うことは結構難しい課題です。
野島先生による、時間経過ごとの顧客満足度の推移などの調査・分析により、適切な価格が設定できれば、取りすぎ・高すぎによる顧客離れや、取らなすぎ・安すぎによる機会損失を減らすことができそうです。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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