最終更新時刻:2008年7月25日(金) 21時03分

9

落ちゲーのように民主主義を作る

公開日時:
2007/10/15 16:22
著者:
佐々木俊尚

鈴木健さんを取材した

 お隣でブログ『天命反転生活日記』を書いている鈴木健さんというと、伝播投資貨幣PICSYやGLOCOMのプロジェクト「ised」(情報社会の倫理と設計についての学際的研究)などアカデミックな舞台での活動が印象的だ。その彼が最近、『究極の会議』という本を出した。どうして「会議」なんだろう?と不思議に思い、月刊誌『サイゾー』の連載『日本型ニューウェブ宣言』で取材した。

 鈴木さんの話には、非常にインスパイアされた。記事の内容は10月18日発売のサイゾー11月号を読んでいただければと思うが、私が鈴木さんの話で最も印象的だったのは、「会議=コラボレーションであり、コラボレーションこそが今後の人間関係の枠組みを変える最も重要なキーワードである」という考え方だった。彼が語ったのは、おおむね次のような趣旨の物語である。(私が違約したものなので、鈴木さんの本来の意図とは若干ずれてしまっている部分はあるかも知れない、ご容赦を)

会議はコラボレーションである

 ――コミュニケーションには同期的なものと非同期的なものがあって、その間を結ぶ中間的なコミュニケーションの方法はまだ開発されていない。たとえばToDoは非同期で、会議は同期だが、会議からToDoにデータが渡され、逆にToDoから会議にフィードバックするような中間的なコミュニケーションがきちんと確立していない。

 しかし会議は変わりうる。従来の会議の中で、非同期的な部分はインターネットの世界に押し込んでしまう。同期的な部分もだんだんとネットの世界へと移行させていく。そうやって会議のスタイルが変わり、議事録ドリブン(議事録作成を目的として議事を進行させる会議のスタイル)になれば、非同期の部分が増えていく。コラボレーション志向の会議であれば、同期の部分は徐々に不要になって、最終的に会議室も不要になってくるはずだ。

 そういうふうに変化した会議は、すでに『会議』という言葉で呼ぶのにはふさわしくないものになり、『会議』という言葉は消滅しているかもしれない。つまりは『会議』から『コラボレーション』への進化である。

 今の日本社会では「会議は会わないとダメ」と言われているが、それは会わないと何も進まない会議のスタイルに問題があるわけであって、会うという行為は本来は会議にとっては本質的なものではない。「会う」という行為を前提にした会議のアーキテクチャーを作っているから、そのアーキテクチャーが「会う」という行為に引きずられて構築されてしまっているだけだ。「会わない」ということを前提にした新たな会議のアーキテクチャーを生み出せばよいのだ。

コラボレーションは民主主義のプラットフォームである

 この会議=コラボレーションという考え方は、企業内部だけでなく、民主主義の根幹を考えることにもつながる。会議の同期−非同期と同じように、民主主義にも同期−非同期がある。国民投票のような直接民主制は同期で、間接民主制は投票による代表制が介在する非同期的なシステムだ。現在の政治の問題は、この2つがうまく接続されていないことにある。両者をなめらかにつなぐ方法を、会議=コラボレーションの考え方を敷衍することによってうまく生み出せないものか。

 たとえば間接民主制で投票し、議員に委任するというシステムは、スタティック(静的)である。スタティックであるがゆえに硬直化して、「議員は私の意見を代弁していないではないか」という問題が生じる。これをもっと細かいイシューごとに委任できるようにするとか、あるいはイシューによって直接投票する(直接民主制)というのは、ダイナミック(動的)なアプローチだ。しかしダイナミックなアプローチには、振り幅が大きくなってしまったり、衆愚化してしまったりといった問題も生じてしまう。

 これらの2つのアプローチをうまく接続させ、さらにそのプロセスを可視化できるようなコラボレーション・インターフェイスはないものだろうか。たとえばテトリスのような落ちゲー的ビジュアルインターフェイスを使った民主主義って、実現できないものだろうかとここ最近考えている――。

 鈴木健さんの話は、以上のようなものだった。落ちゲーのような民主主義のインターフェイスという発想は、非常に面白い。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

このブログについて

ブロガープロフィール

アーカイブ

2008年7月
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

カテゴリ

ブログネットワーク

アルファブロガー

外資系エグゼクティブの日々今アーキテクチャが面白い
外資系エグゼクティブの日々
クロサカタツヤの情報通信インサイトインターネットのリュミエール
クロサカタツヤの情報通信インサイト
平野敦士カールのアライアンスInsightGoogleお前もか?
平野敦士カールのアライアンスInsight
江島健太郎 / Kenn's ClairvoyanceiPhoneという奇跡
江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance
末吉隆彦 ロケーションウェアの「空」と「実」サミット、サミット、そして今こそ!公衆無線LAN
末吉隆彦 ロケーションウェアの「空」と「実」
佐々木俊尚 ジャーナリストの視点暗黙共同体へ−秋葉原事件で考える
佐々木俊尚 ジャーナリストの視点

読者ブロガー

将来のPC業界パワーバランス最適なマウスの移動速度は?
将来のPC業界パワーバランス
電子政府パブリックコメントの抜粋パブリックコメントは国民に知られていなかった( 2 )
電子政府パブリックコメントの抜粋
個人・少人数制作アニメーション現代記 - 真狩祐志動画配信の影響なのかインターネット部門が「終了」
個人・少人数制作アニメーション現代記 - 真狩祐志

企画特集

DELLが掲げる「新・仮想化アセスメントサービス」DELLが掲げる「新・仮想化アセスメントサービス」
〜企業システムの仮想化環境の構築を支援〜

新着コメント

ルート134さん。コメントありがとうございます。 >すべての情報にはス......
Googleというネットの巨大なメディアに支配される脅威
投稿者:新倉 茂彦
コメントありがとうございます。 「消費者・生活者を主役とした行政への転換......
パブリックコメントは国民に知られていなかった( 2 )
投稿者:sumimotoshohei
こういう余計な人がいなければ、知られずにアリバイ工作できたのに。 //...
パブリックコメントは国民に知られていなかった( 2 )
投稿者:ルート134
一般にも、うけているが、マニア系にはHPLXの後継機なのでしょうね。 XPにも......
iPhoneの影で馬鹿売れしているみたい
投稿者:ルート134
>制作についてはこれといって語られない。 今週、4ch(読売)で深夜に少......
動画配信の影響なのかインターネット部門が「終了」
投稿者:ルート134

ブログネットワークとは?

CNET Japan ブログネットワークは、元はCNET Japanの一読者であった読者ブロガーと、編集部の依頼により執筆されているアルファブロガーたちが、ブログを通じてオンタイムに批評や意見を発信する場である「オピニオンプレイス」、また、オピニオンを交換するブロガーたちが集うソサエティです。

広い視野と鋭い目を持ったブロガーたちが、今日のIT業界や製品に対するビジョンや見解について日々熱く語っています。

あなたもブログを書いてみませんか?

CNET Japanやその他サイトが提供するITニュースやコンテンツへの意見や分析、 ビジネスやテクノロジーに対するビジョンや見解について語っていただける方を 募集しています。ご応募はこちらから

ブログの投稿・管理

ブログの投稿はこちらから(※ブロガー専用)

ブログアワード2007開催決定!

今年最も活躍したブロガーを表彰します。詳細はこちらから

αマークって?

これは、CNET Japan 編集部の依頼に基づいて執筆されているCNET Japan アルファブロガーによるブログの印です。

Good!って?

CNET Japan ブログネットワーク内で拍手の代わりに使用する機能です。ブログを読んで、感激した・役に立ったなど、うれしいと思ったときにクリックしてください。多くGood!を獲得した記事は、より多くの人に読まれるように表示されます。

レビュー

[レビュー]高い信頼性を普通に使う地球に優しい電源ユニット--Antec EarthWattsシリーズ EA-650
“自作ユーザーは、電源ユニットに何を求めるのか?”出力なのか、安定性なのか、それとも機能性なのか?難し
オンリーワンの個性を極めた超薄型テレビ--日立 Wooo UTシリーズ
日立製作所の超薄型液晶テレビWooo UT 770シリーズは2008年6月にラインアップが増強され、さらに日立らしい
[レビュー]“この手があったか”と思わせるパワーユーザーも納得のPCオンデマンド--「VALUESTAR G タイプR Luiモデル」+「Lui RN」詳細レビュー
「VALUESTAR GタイプR Luiモデル+PCリモーター」は、設置場所にとらわれずにPCを使える、NECが新しく提案
今週の新製品総チェック:ドコモ、au夏モデルが続々店頭へ、ビデオカメラは新機種ラッシュ
NTTドコモ、auなど、ケータイ夏モデルの店頭発売日が決定し、盛り上がりを見せている。9.8mmの超薄型ケータ
[レビュー]テレビを持ち歩ける最強ツール--ソニー、Blu-rayレコーダー「BDZ-A70」
[レビュー]ネットワーク対応の高機能デジタルフォトフレーム--ソニー「Canvas Online CP1」
15時間の行列で手に入れたiPhone 3Gファーストインプレッション--ソフトバンクモバイル「iPhone 3G」
北京を見逃すな!--2008年夏、今買うべき「薄型テレビ」
[レビュー]通勤鞄に忍ばせたい軽さと装着感--マクセルのノイキャンヘッドホン「HP-NC15」