お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

製品価格のディスカウントと顧客の維持

2006/06/19 20:59
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 IT業界は他の業界と比べ、機能比較によって競合との差別化の可能性が大きい業界といえます。しかし、開発ツールの発達やマシンスペックの向上により、同じような製品を多くの会社が開発することが、以前に比べて容易になりました。このことは、プログラミングをするときメモリ等のリソース量を気にせずによくなったという点にも表れています。

 機能差別化ができなくなると、あとは価格での差別化に陥り収益を減らすことになります。しかし、まだまだ機能優位性を持っていて価格優位性を訴求する必要がないソフトウェア製品も多く見受けられます。せっかく得られる収益を間違った価格施策により失っているのです。

 今回はマーケティング活動でよく行われる製品価格のディスカウントを実施する際、担当者が考えるべき点について、顧客から見た差別化という観点からまとめました。

市場の変化(独占市場〜完全競争市場)

 市場参入済みの企業が一番多くの収益を得られるのはどういった状況でしょうか?当然のことですが、他に競合がなく競争がない状況です。こういった市場を独占市場といいます。この状況が発生するのは、同じ製品を提供している競合が存在しない場合や規制等に守られている等の、参入障壁が高い場合です。電気、水道、ガス等の業界が例として上げられます。

 しかし参入障壁の低い業界においては、ビジネスチャンスがわかると、色々な企業が参入してきます。ソフトウェア業界の場合初期投資が少ない分、早期に多くの競合が発生します。

 一方、競合が多い市場状況はどうでしょうか。参入企業が多くなるとなかなか差別化が難しくなってきます。このような状況は完全競争状態と呼ばれています。機能や製品の品質はいろいろでしょうが、明確な差別化メッセージを出していないと、ユーザからみて簡単に製品区別ができなくなり、いとも簡単に価格競争の波に飲み込まれてしまいます。

 価格競争の波に飲み込まれそうになると、多くのIT企業はニッチな機能をセールスポイントとしたり、価格を下げる施策を簡単にすることが多いようです。しかしニッチすぎるセールスポイントや中途半端な値下げに対して顧客はあまり魅力を感じないことが多いようです。

 こういった市場環境に自社製品が存在する場合、製品のポジショニングやマーケティング施策について再検討をする必要があります。

 では、どういった観点から自社製品を分析する必要があるのでしょうか?

 すでに市場に参入をしていて、競合が多い完全競争市場でビジネスをしている場合、下記について再考してみてはいかがでしょうか?

 ・本当に機能差別化がとれない状況なのか?
 ・自社の差別化ポイントに顧客は価値を感じるか?
 ・ディスカウントをするべきか?
 ・撤退するべきか?

機能差別化と顧客価値

 最初に、製品が差別化とれるポイントを徹底的に洗い出すことが必要です。

 このときはマーケティング担当者だけではなく、開発やサポート、セールス担当者も含め情報収集をするべきです。どんなにニッチな機能や販売状況であっても見逃さないようにするべきです。差別化可能な機能が明確になったら、次はその機能が顧客に対してどのような価値を提供することができるか検討します。技術的にニッチな差別化ポイントを顧客の視点から価値のあるものか再考します。

 例えば、サーバーのアクセス制御の機能を持ったソフトウェア製品があったとします。市場にはサーバーのアクセス制御製品は多く存在します。ある製品が単に一台のサーバーのアクセスポリシーの設定をできるだけではなく、数百台規模までアクセスポリシーの設定をできるという他製品にはない機能を持っていたとします。そうするとこの製品の差別化ポイントはデータセンターレベルの環境において、アクセスポリシーを全サーバーに対して管理することができるという点になります。このことは企業のセキュリティポリシーを他社製品と比べて容易にインプリし運用することが可能になります。アクセス制御が中心的な機能ですが、2次的な機能が差別化のポイントとなる可能性があるのです。2次的な機能が製品全体を牽引することがありうるのです。

 当然ですが、このとき差別化できた機能が顧客価値のあるものかどうか調査する必要があります。

 差別化と市場性の両方が合わさって、ビジネスを成功に導くことができるのです。

ディスカウントと顧客の維持

 よく競合が増えてきて機能差別化が難しくなったり、マーケティング的なイベントが必要になったとき、「ディスカウントキャンペーンをやろう!」という安易な話を聞くことがあります。本当に機能差別化が不可能になったとき、低価格化により優位性を保つというのは間違いではありません。しかしこの場合気をつけなければいけないことがあります。キャンペーン価格の設定は一時的な収益拡大には有効かもしれませんが、収益と顧客の維持ということまで考えて実施をする必要があります。

 年度の売上を達成するという目的でキャンペーンを実施するということもあるかと思いますが、企業が永続的に収益を上げることを目的にしている以上、瞬間的な売上を得るだけでは単なる安売りになってしまいます。

 収益には大きく分類すると2種類存在します。1つめはライセンスの販売等、顧客の製品購入時にのみ発生する収益で1ついくらというカウントをするものです。2つめはサポートやサービス等、1年などの期間で収益が発生するもので。最近ではサービスにトランザクション単位での収益もあります。

 よくある製品価格ディスカウントは1つめの製品価格に関して実施することが多いようです。このとき重要なのが、購入時の価格は下げて、その後製品の購入者から収益を上げることができるかという点です。安く製品を購入した顧客からの収入が、販売後一切ないというのでは、ディスカウントをした意味がありません。製品の性質にもよりますが、継続的に収益をあげることができない製品のディスカウントについては本来の目的や戦略での位置づけについて考える必要があります。

 ただしディスカウントの例外があります。とにかく市場の多くの人や企業に使ってもらい製品認知を上げる浸透戦略をとる場合や、財務的な理由により在庫一掃をやる場合等です。

 ディスカウントを行う本来の目的とディスカウント後の施策について深く検討をして実施をする必要があります。

 企業が継続的に存在していくためには、継続的な収益の獲得が必要です。継続的な収益を得るためには常に新しい顧客を開拓し続ける方法と、同一の顧客から継続的に収益を得るという方法があります。一般に新規顧客からの収益より既存顧客からの収益を得るほうがコストは少ないと言われています。企業が高い収益を維持するには一度製品の購入をした顧客を維持するということが重要になります。

 この観点からすると場当たり的なディスカウントは故意に企業の収益を減らしていることにつながる可能性があります。他のマーケティングのアクティビティにも当てはまりますが、1つのアクションだけではなく、その後のアクションも含めた戦略とシナリオに基づいた施策の実行が、これからさらに激しさを増すIT業界においては重要になると考えられます。

 上半期末にディスカウントキャンペーン施策をしようと考えられている方は、もう一度実施以降のシナリオ等について考え直してみてはいかがでしょうか?

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー

個人情報保護方針
利用規約
訂正
広告について
運営会社