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国際競争とMOT Part 1

2005/06/23 15:12
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 前回までは「MOTとはなにか?」という内容でしたが、今回と次回はマクロの視点で、日本の戦後の産業史、現在のアジア各国の競争力、その中で日本がとるべき戦略について書きます。

戦後の日本産業

 皆さんご存知の通り、今年は終戦60年という節目の年です。この間に日本がどのように経済成長してきたか、経済学の教科書のような内容ですが、日本の今後の技術戦略を考える上で重要なので、少し説明します。

 日本は戦後、近代世界史に例をみない急速な発展をしてきました。戦後まもなくの1955年の名目GDP(国内総生産)は8兆3,695億円、2004年のGDPは504兆5893億円と、約50年の間に実に60倍以上の成長をしてきました。

 この高度成長と技術経営にはどんな関係があったのでしょうか。
 結論からいうと、戦後から近年までは大量生産に重点が置かれた「オペレーションマネジメント」への大きな投資が大きく関係しています。

 終戦直後は極度の物不足に陥っていました。物を作れば売れるという高需要の状態になっていたのです。需要の高い商材を製造できる企業は、質よりも量を優先させた製品の製造を続けたのです。

 その後、米軍をはじめ米国政府や日本の政府関係機関に製品納入するビジネスが発生し、納入品の品質管理の必要に迫られました。現在ではISO9000シリーズがあり、品質に関しての規定が存在しています。しかし戦後まもなくの頃は日本では「質より量」が先行していて、「質」をマネジメントすることについては、あまり考えられていませんでした。しかし、米軍はSQC(Statistical Quality Control)を導入することにより、納入品の品質を管理することをしました。必要に迫られた各企業に、少しずつ品質管理の考え方が入ってきたのです。

 これらのことにより、戦後の日本の技術投資の多くは、大量生産と品質向上という「プロセスイノベーション」に対して長年注力をしてきたのです。

この結果生まれた代表的な技術がトヨタの「カンバン方式」です。以前に紹介したIMDの調査結果で日本の特許数は上位であると説明しましたが、その特許数の多くはこの「プロセスイノベーション」に関するものと言われています。

アジア各国の追い上げ

 日本の戦後の産業の発展について説明をしましたが、近隣の中国・韓国・台湾は大量生産をしてきた日本を見習って、近年急激に追いつき追い越してきています。
世界の工場と言われる中国は、人件費の安さで世界各国の製造業の生産拠点を受け入れています。これにより、日本の製造業も価格競争が厳しくなり、工場を中国に移すということを行っています。

 現在日本で消費されるコモディティは中国などアジア諸国で生産されたものが大半を占めています。日本企業がコスト削減のためアジア諸国に工場を移し、日本から生産方法を学んだ国々の企業が工場を建設し、日本企業から委託生産を行うことで、俗に言われる「産業の空洞化」が起きているのです。

 戦後日本が行ってきた大量生産方式の産業構造ではアジア各国と競争はできないということです。

 さらにいうと中国、韓国のトップ企業は日本企業を追い越して発展しています。中国の家電メーカー海爾集団(ハイアール)や韓国のサムスン電子などは米国式の経営手法を取り入れ、日本式の「オペレーションマネジメント」の導入だけではなく、米国式の「テクノロジーマネジメント」ついても体得し、ワールドワイドにビジネスを展開しているのです。

 日本が「オペレーションマネジメント」に強いのは、戦後の産業史を見ると当然の結果であるといえます。しかし、日本は今後もこの分野を武器にして世界各国と競争していくのでしょうか。

 次回はこの続きとして、日本が今後とるべき戦略について説明をします。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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