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技術経営MOTとは Part1

2005/06/09 22:00
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前回の内容で日本の技術と経営がおかれている状況をご理解いただけたでしょう。今回と次回は技術と経営の橋渡しをして、日本の技術と経営の効率の悪さを解決すると言われているMOT(Management of Technology)について説明します。

MOTの歴史

まず少しだけMOTの歴史の話をします。
MOT(Management of Technology)の始まりは、スタンフォード大学であると言われています。同大学のビジネススクールで、ウィリアム・F・ミラー(ビル・ミラー)教授が1980年代半ばからテクノロジーマネジメントの講座を担当していました。MIT(マサチューセッツ工科大学)のスローンスクールでも、エドワード・B・ロバーツ教授がMOTプログラムを始めました。

日本でMOTは“技術経営”と訳され、スタンフォード大学からスピンオフして作られたシンクタンクSRI(Stanford Research Institute)の東京拠点で研究され始めました。SRIは1989年に「グローバル・テクノロジー・マネジメント・セミナー」を開催して、テクノロジーマネジメントのコンセプトを日本に紹介し、コンサルティングサービスの展開を開始しました。

その後、日本でも技術経営ニーズの高まりを受け、MOTコンソーシアムの設立や、経済産業省・文部科学省の支援もあり、多くの大学が技術経営専門大学院を設置し、現在もその数は増えています。

MOTとは

SRIでは、「MOTの目的は技術投資の費用対効果を最大化すること」としています。
すでにお気づきのように、前回のIMDのリサーチ結果を見ると、日本が世界の中での競争力を失っているのは、まさにこの「技術投資の費用対効果を最大化すること」ができていないことにあります。研究開発投資はしているけども、ビジネスにつながっていないのが明らかです。

下図を見てください。
2-1.JPG

出所:早稲田大学 山本尚利、SRIインターナショナル

この図が示しているとおり技術と市場の間に、大きな2つの関門があります。
「市場の関門」とは一般的にマーケティングが扱う分野で、市場のニーズにあった技術・製品・サービスを提供するために超えないといけない関門です。この関門を越えるには、市場とそれをとりまく状況をリサーチし、製品・サービス等を提供するための戦略が必要になります。

「技術の関門」とはある技術の基礎研究・応用研究・製品化研究・生産方法など、技術・製品を作り出すために必要となる技術の開発を行わなければならない関門です。
この2つの関門を越えないと技術は市場に届かず、結論として研究開発投資がビジネスの利益として戻ってこないということが言えます。

伝統MOTと先進MOT

MOTは伝統MOTと先進MOTと大きく2つに分類されます。

伝統MOTとは、改良型新製品開発、量産化開発、生産管理、品質管理が含まれる分野です。主に日本が戦後の高度成長期に行ってきたMOTです。大量生産・大量消費の時代にはある製品を大量かつ効率的に品質不良がないように生産方法の改良をしてきました。この時代には製品自体の技術開発よりもモノを作り出す生産技術のほうが重要でした。日本は欧米で作られた技術・製品を模倣し、その効率的な生産方法の開発努力により、現在の経済力をつけたといえます。この典型例がトヨタです。カンバン方式といわれる生産技術は自動車という膨大な技術・パーツの塊の製品生産の効率化を生んだのです。米国の各企業は、この日本の伝統MOTやTQM(Total Quality Management)に興味を持ち、現在ではシックスシグマという経営改善方法論となり、一部日本に逆輸入されています。
要するに伝統MOTのマネジメント対象は製品生産手法なのです。

もうひとつの先進MOTは、技術戦略企画、新製品開発、新事業立ち上げが含まれる分野です。ここで重要になってくるのは新しいモノを生み出すということと、それを事業化するということです。伝統MOTの場合は既存のモノの生産方法など、改良や改善による効率化が主になっていました。先進MOTの場合は、新しい技術・製品・事業を生み出してそこから大きな利益に繋げるというのが主になってきます。新規事ですので、通常よりも大きなリスクが発生しますので、投資・リスク・リターンを含む経営的な視点が伝統MOTよりも重要になってくるのです。

簡単な例を出しますと、シリコンバレーの企業などはまさに先進MOTです。自分達で技術・製品開発をし、投資家などから資金を調達し、新規事業として立ち上げています。
先進MOTでは、これら新しい技術・製品・事業を絶えず生み出すための組織などの環境も対象に含まれてきます。

次回はMOTの扱うエリアについて説明をします。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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