最終更新時刻:2009年11月11日(水) 13時39分
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この先も食っていかれるだろうか...

公開日時:
2008/08/18 17:02
著者:
PowerYOGA

家電量販店の「iPhone緊急入荷」の立て看板が痛々しく感じられる今日この頃。販売店にしてみれば落ち込み気味な市場の牽引役、新規需要の掘り起こしなどをiPhoneに期待しているのかもしれませんが、少なくとも日本では「スマートフォン以上、人気のケータイ未満」の線で推移するのでしょう。もはや早く欲しかった人には行き渡ったので、この先は2年縛りが解けるなど機種変タイミングの人に選んでもらえるかがポイントですね。

さて、今日は自分のお仕事の忸怩たる部分について書いてみようと思います。

私の仕事は商用のドキュメント制作。今はメーカー各社からの依頼で主にトリセツ類を作っています。作成物はその時々で違い、紙やPDFの他にも、HTML、Flashムービーなど多岐にわたります。時にはクリエイティブな作業を伴うため、その意味では面白くもあるのですが、なにぶん商用ドキュメンテーションは受注生産業なので、クライアントの意向に大きく左右されてしまいます。つまるところ消費者にとってトリセツは製品の一部にすぎず、それだけを書店やWebで売って食いぶちを増やすようなこともできません。

しかも、どうやら世界的な規模で景気後退局面に突入したと言われています。だとすれば、国内外向けを問わず、この先は工業製品が売れ難くなり、設備投資の需要も落ち込むことでしょう。もちろん中には不況下でも堅調に売れる製品や、逆風下でも力強く戦える企業もあるのでしょうが、まあ、全体的な方向性は縮小均衡に向かわざるをえないのではないかと思います。製品のラインナップを絞ったり、新製品の投入サイクルを長くしたり、添付品の構成を見直してみたり、といったことですね。結果、我々の業種にとっては受注件数が減ったり、単価の引き下げ要請なども予想されます。せっかく信頼関係を培ってきたクライアントが、より安値を提示した他社に流れるようなことも起きそうです。

では、自主的にできる有効な対策を探すとすれば、それはやはり「イノベーションに取り組むこと」でしょう。成果物の品質を落とすことなく、むしろ高めつつも、より安価、少人数、スピーディに作れるような手段を確立し、外的要因による収益力の低下を補うというものです。実際、商用ドキュメンテーションの現場では、古いQuarkXPressデータの改版需要を除けば、もはやAdobe製品一辺倒、Adobe頼みとなってしまった感があります。でも、元来は広告や雑誌のページといった高いデザイン性を追求するためのツールであるInDesignを、トリセツのようなテクニカルドキュメントの制作に流用すれば、あちこちに不都合が出るのも事実です。そして多くの場合、日本語が決定的にダメなFrameMakerや、せいぜいプリントアウト止まりのWordでは到底代替できません。つまり、イノベーションの余地はたっぷりあると言えます。

しかしながら商用ドキュメンテーションの業界は、近しい関係にある印刷業界の保守的な価値観が色濃く踏襲されており、石橋を叩いても渡らないか、そもそも新天地に渡ろうとすら考えないような腰の重さがあります。大手であってもそうです。DTPやIT普及前の古参兵的な経営陣にとっては、何かの機械のように導入の成果が見えやすいものにはお金を払う気になっても、ソフトウェア、それも研究開発に、ともなると途端に投資価値を認めることが難しくなるようです。あるいは不効率なやり方によって水面下で積み上がっているロスよりも、手元から出て行く投資コストの方が惜しいと思えるのでしょう。先頃私が提案したプランも社内でペンディングになってしまいました。大きな収穫が比較的リーズナブルに得られそうな計画に練り上げたつもりだったのですが。無念。

茹でられていることに気付いたときには足の運動機能を失っている蛙のようにならなければいいと願うばかりです。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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