taspoの評判がよろしくないですね。おかげで自販機や個人営業の販売店は売り上げが激減しているとのこと。廃業を余儀なくされるところも多々出てくるのでしょう。
また、たばこに関しては1箱1,000円水準への大増税案が取りざたされています。こちらも施行されるでしょう。抵抗は少なくないものの、総理が「たとえ税収が増えずJTの株価が下がるようでも、今のご時世、国民の健康が増進される方が喜ばしい」とでも言えば、一切の反論が成立しなくなりますので。
他にも、神奈川県では来年から公共の場所での喫煙を禁止する条例の制定が進められています。諸外国の実施例同様、通常の飲食店はもちろん居酒屋やパチンコ屋などでも基本的には喫煙ができなくなるわけです。そしてこの条例には多くの自治体が後に続くと見られています。
これらに関して共通して言えるのは、JTを筆頭とする提供者側、受益者側の不作為のツケがここにきて一気に噴出し始めたということです。
歩きたばこや飲食店での無神経な喫煙は、その度に嫌煙者の神経を逆なでしますし、近年では駅の入り口や商業ビルの通用口がさながら副流煙の関門と化しているケースも少なくありません。そして今や国民の3/4は非喫煙者ですから、長年にわたりうっ積した憤懣が臨界点に達すれば、一気に吹き出すのは必然の結果です。
一方で、たばこと似た性質を持ち、時には遥かに深刻な事件事故の切っ掛けにもなり得る酒類に対しては無風なのも、そういうことなのでしょう。つまるところ、たばこの方が他者に嫌な思いをさせる機会が圧倒的に多いというわけです。
私が考えるに、JTは喫煙者が気兼ねなく喫煙できる環境をもっと充実させてこなければならなかったのだと思います。街の要所要所に隔離型の喫煙スポットを設置したり、飲食店の完全分煙化に協力した上で、それ以外の場所では吸わないというコンセンサスを作る、といったことです。自販機による年齢識別ももっと前からなされるべきでした。
もちろんそうするには莫大なコストがかかります。価格に転嫁すれば喫煙率が下がり収益が減り兼ねないジレンマもありましょう。でも、利害対立の妥当な均衡点を探ることをしてこなかったツケは、今回のような、ある種の懲罰的、産業解体的な大増税、規制強化として跳ね返るわけです。まさか諸外国の事情を見聞きしておきながら、この事態を予見できなかったわけではないでしょうに...。
taspoの話に戻るなら、ひょっとしてJTには「喫煙者なら必ず作るはず。その結果、3,000万人規模の電子マネーコミューンができ上がる。関連団体の理事に総務省や財務省の天下りOBを受け入れてロビー活動を行わせれば、今後も盤石なビジネスを続けられる」という目論見があったのかもしれませんが、当ては見事に外れたばかりか、ゼロサムゲームに負けようかという状況に追い込まれています。愛煙家にしてみれば「こんなことなら少々値上げになっても、遠慮なく吸える場所を拡充してくれた方が良かったのに...」といったところではないでしょうかね。
昨今の喫煙者バッシング、たばこ叩きの風潮は、ともすると喫煙者vs.嫌煙者の構図のように捉えられがちですが、その実は元締めたるJTの危機管理能力の低さ、致命的な戦略ミス、そして不作為のツケを、半ば身内である個人経営の販売店や関連農家、そして最終消費者である喫煙者が払わされているという側面が大きいのだと思います。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
PowerYOGA on 2008/07/06
PowerYOGAさん、こんにちは。
今まで、非喫煙者・嫌煙者の怒りの矛先は喫煙者にしか向いていなかったように思えます。
新聞投書欄には、『隣家のベランダで吸うタバコの煙に困る』といった苦情が載っていました。さわやかな季節には窓を開けたいのですが、タバコのにおいが流れ込んでくれば閉めざるを得ません。私個人的にも勤務先の店先に捨てられている吸殻に毎回掃除をするたび怒りを覚えます。
そういった非喫煙者を怒らせる原因がJTの不作為にあったという論点には合点がいきます。おっしゃるとおり携帯灰皿のCM等一連のJTのマナー向上キャンペーンは、私も免罪符的なものを感じていて不快でした。
最近さらに不快に感じるのは、非喫煙者側の意見を『たばこバッシング』『嫌煙ファシズム』として悪であるという構図を作ろうとする人がいることです。
JTには非喫煙者の怒りを真摯に受けとめる経営戦略を期待したいです。
野入富良人 on 2008/07/06
thomasyasudaさん、コメントありがとうございます。
新植民地主義かどうかはともかく、私もJTはかなり問題のある組織だと思っています。
毒入り餃子事件の時には、食品事業を手がける会社にはあるまじき体質をさらして日清との提携話が破談になりましたし、携帯灰皿の携行を促すテレビCMに至っては「これが免罪符になるので、どうぞ街中の好きな場所で吸ってください」と言わんばかりです。
自分たちが手がけている商品が、どういう特性を持ち、どういう人たちが客層なのか、何をすることが顧客への恩恵となり何をすれば(あるいは、しなければ)顧客の利益を損ねるのか、今一度考え直すべきでしょう。たばこに関しては手遅れ感もありますが...。
PowerYOGA on 2008/07/05
国内問題として見るとその通りなんでしょうが、JTなど「たばこメジャー」は自国や先進国では食品などへの業態変更を進めつつ、開発途上国には絨毯爆撃のようにたばこを輸出して稼ぐというダブル・スタンダードで業容を拡大している訳です。言い換えると、先進国市場では「健康のために吸い過ぎにご注意」などと紳士面しながら、後進国市場では悪魔の商人として牙を剥いているのです。
これは今や新たな南北問題、または新植民地主義の問題なのです。
thomasyasuda on 2008/07/05
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野入富良人さん、コメントありがとうございます。
私は喫煙者vs.嫌煙者の対立はとても不毛なことだと思っています。嫌煙者とて大抵の場合は他者の喫煙を止めさせたいのではなく、巻き添えにされたくないだけです。よって私が疑問に感じるのは、JTの「とにかく商品価格を安価に据え置き、共存策もあえて模索しないことが顧客の利益を最大化する」「逆風は政治工作で押さえればいい」と言わんばかりの態度についてです。ただ、それももう通用しそうにありませんが。この国の現状と先行きからして、人々の健康寿命を延ばすことは最優先課題の一つですので。
そうそう「禁煙ファシズム」の反対語は「受動喫煙無差別テロ(リズム)」ですね。