Adobeがオンラインワープロを投入するそうですね。
先週そのニュースを聞いて私が興味深いと思ったのは、Adobeが久々に本格的な競争にさらされる点でした。
何しろAdobeは、かつてはPS、後にPDFで絶対的な地位を得、IllustratorやPhotoshopでも早々に競合を追いやり、InDesignがQuarkXPressの地位を奪い、Macromediaを吸収したことでFlashやDreamweaverまで手に入れました。
もちろん彼らが手がけた中にも、消えた製品、役割を終えた製品が少なくありませんが、メインに据えた分野では、おおむね最強を誇ってきた印象を持っています。
まあ、Adobeにしてみれば、一般用途向けワープロは新路線ですから、GoogleやMicrosoft、その他と競合しようとも、それなりのメリットを見込めるのかもしれません。
新発表のPhotoshop Expressや、多くの人が期待を寄せるAIRなどとの相乗効果にも期待できるのでしょう。
オフラインで流通するプロクリエイティブツールでは一人勝ちの感があるAdobeにして、オンライン展開に挑むところに時代の必然を感じます。
ただ、既存のAdobe製品を用いて仕事をしている者の立場にしてみれば、「それってどうなのかな?」という思いはあります。
つまるところ、本格的なグラフィックデザインやDTPなど、比較的重たい複数個のアートワークを並列に取り扱うような用途では、相変わらずOSの機能やローカルリソースを存分に活用できるオフラインツールの方が相応しいのでしょうから。
まあ、Adobe製品に限らず、オンラインサービスもオフラインツールも、用途や状況によって使い分けるのが懸命なのでしょう。
私は、Macにインストールされたアプリの方を好んで使うと思いますが。
とは言え、Adobeがオンラインサービスに、より注力するのであれば、それは別の意味で歓迎すべきことのような気もします。
なぜなら、同社の主力製品に対する「およそ18ヶ月毎に」という早いアップグレードサイクルには、利用現場に少なからず混乱と負担を強いてきた側面があったので。
メーカーにしてみれば、短期にメジャーアップグレードを繰り返して利益率を最大化したいのも解ります。Adobeは魅力的な新機能を追加することで我々の期待に応えてもくれました。
しかしながら、正直なところ「アップグレードに疲れた」「振り回されてきた」という思いがあることも否めません。
私自身は常に最新版のOSやツールを試すことにしています。「この機能の有り難さを知らなかったばかりに、無用な苦労を続けてきた...」という状況を避けたいので。不都合があれば元に戻せばいいわけですし。
ただ、制作の仕事を融通しあう協力会社やフリーランサーの方々が皆、同じ考えとは限りません。商用印刷との兼ね合いを始め、諸事情により、最新版に移行できていないケースはあり得ます。
案件やシチュエーション次第では、せっかくの最新ツールが使えないわけです。
本質的にビットマップ編集ツールであるPhotoshopは、この先も精力的にバージョンアップしていただいて結構です。
でも、プロプライエタリなファイルフォーマットを持ちつつも、下位互換性が不完全なIllustratorと、そもそも下位互換性がないInDesignに関しては、ここらで小休止し、「次回は2010年以降」と宣言して、現行バージョン(CS3)の定着を図ってもらいたいと強く要望します。
期せずして、Windows VistaとMac OS X 10.5 Leopardとは発売年が重なったことですし、そうするのが相応しいタイミングだと思います。
Adobeのオンラインサービス路線には大いに期待したいところです。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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