「PowerPointを使ったプレゼンテーションは理解を妨げる」というレポート記事を見つけました。
なるほど、本来は他者を説得するための手段の一つに過ぎないPowerPointですが、あまりに一般的になりすぎたため、「PowerPointで作りさえすれば、主張を理解してもらえる」という錯覚を招いている嫌いはありますよね。
セミナーなどに参加しても、PowerPointのプリントアウトがレジュメとして配られることもしばしば。プレゼンの全体を聞けなかった人、メモを書き入れたい人への配慮なのかもしれませんが、往々にしてそれが「演者のための台本」になっているケースも多々見受けられます。
その点、我らがスティーブ・ジョブズの手腕は天才的です。基本的に、スクリーンには簡潔なキーワードと象徴的な画像だけを表示し、要点や詳しい説明は、自らの口頭で発表します。しかも、カンペなどを見ることなく。
この類い稀なプレゼンスキルとAppleの秀逸な製品群(当然、中にはハズレもあるにせよ)も相まって、彼の基調講演は、毎回多くの人々を惹きつけてやみません。
さて、PowerPointに限れば、「他者に理解してもらう」という本来の趣旨に立ち返って検証することで、自身のプレゼンテーションの出来栄えを、いくらかは改善できるかと思います。
でも、同様の問題は、WordやExcelについても言えるのではないでしょうか。
例えば、世の中には、通達文書や帳票、POP類など、それこそあらゆるドキュメントをExcelで作ろうとする人たちがいます。私は、これがいまだに信じられません。
Excelも本来の表計算やその延長に使う分には便利ですが、文書作成という観点から見れば、これほど仕上がりに信頼が置けないツールもないような気がするからです。
実際、Excelには、「画面上では見えているテキストが、プリントアウトには反映されない」といった怪現象(?)が多々見受けられますよね。
まあ、縦横無尽に広がるセルを方眼紙に見立てれば、簡易DTP的にも使えはしますが、品質やメンテナンス性の面から考えても、あまり得策とは言えないと思います。
また、以前私が、とある掲示板にWordに対する不満を書き込んだら、即座に、「おまえの視野が狭いだけ。Wordに代わる製品を探すのも難しいくらいだ」と反論されたことがありました。
はあ、そうですか。私はMS-DOSの頃のテキストエディタやUNIXのvi、各種ワープロ、DTP、自動組版システムにいたるまで、さまざまなドキュメンテーションツールおよびグラフィックツールを扱ってきて、この分野では、たいていの人には負けない経験とスキルを持ち合わせていると自負しているのですが...。
とは言え、「Wordの代替品を探すのが難しい」というのは、確かにそうかもしれません。
今日、目ぼしいワープロソフトといえば、官公庁御用達の一太郎、OpenOfficeに代表される互換ソフト、そして新進気鋭のGoogle Docsくらいでしょうか。
私は、品質面が重視される場合はInDesign CS2を好んで使いますが、こちらは本質的にDTPソフト、ページレイアウトソフトなので、敷き居が高く、誰にでもお勧めできるものではありません。価格もWordの約4倍しますしね。
で、私が気になっているのは、WordやExcelが独占的なデファクトスタンダードの地位を得てしまったがために、今では多くの人が、「文書はWordとExcelで作成することが正しい」などと思い込んでやしないかという点と、それを踏まえて、ソフトウエアハウス各社が、「その分野では、もはや市場競争力を持ち得ないと決め込んで、勝負を挑むことはおろか、研究開発すら諦めているのではないか」と思えなくもない点です。
Win対Macの構図にも当てはまることですが、大きすぎるシェアの差は、えてして人びとに間違った理解をもたらします。例えば、「これほど圧倒的になったからには、きっと品質や機能の面で両者に明らかな優劣があったのだろう」といった先入観ですね。
でも、実際のところは、ソフトウエアの使い手にしても作り手にしても、決して良質とは言いがたい文書を、決して簡便とは言い難いツールと煩雑な手順で苦労して作っているかも知れないわけです。
もちろん、私もWordやExcelを人並み以上に使ってはいますが、それらが最上、最良、あるいは究極の製品だとは思えません。そればかりか、むしろ、不審な動作、予想が裏切られるGUI設計、期待通りにいかない機能仕様、データ量の増加と共に失われる信頼性などに辟易することも少なくありません。
今のご時世、多くのソフトウエアハウスの目がWebに向けられがちなのは当然のことですし、WordやExcelに真っ向から勝負を挑むのは難しいとしても、ドキュメンテーションという、とてつもなく幅の広い分野においては、旨味のあるニッチな需要は、案外まだたっぷり残されていそうな気がします。
Word互換製品、Office互換ソフトも結構なのですが、願わくば、「この用途に限れば、WordやExcelよりも簡単かつ便利だし、DTP程のスキルも必要としない」といった製品の登場を望みたいところです。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
PowerYOGA on 2007/04/15
ちょっとタイミング遅れましたが、こういったビジネス生産性ソフトとしてけっこう新鮮で使いやすいなと思ったものがひとつあったので、追加でコメントしておきます。ドイツのメーカーが作っているRagTimeです。これは、基本的には文書作成ソフトなのですが、発想がレイアウトソフトとよく似ていて、実際、DTPソフトとしても効率よく使えます(パンフをつくったことがあります)。しかし、表計算やプレゼンなどの機能も内包していて、しかもそれがInventoryという概念でうまく統合されています。従来のOffice suiteと同じ作業をこなすことができながら、それ以上の使いやすさと柔軟さをもっているので感心しました。
欠点としては、日本語対応がいまひとつという、外国ソフトに固有の問題でしょう。メニューはまったく日本語化されていないし、縦書対応はあるもののその扱いは促音や句読点の正しい処理をしません(つまり使用に耐えない)。ルビも振れません。けれど、ポテンシャルのあるソフトです。
去年までは1つ前のバージョンを個人使用に限り無料で使わせてくれたので、「ぜひお試しを」といえたのですが、現在は全て有料のようです。Win版とMac版の両方があります。Macintosh版の方がちょっと
松本 on 2007/04/14
kensei@デジイチ最新情報! on 2007/04/10
良いテーマですね。
スタンダードではないが、もっと使い勝手の良いアプリケーションが出てもよいのではと考えます。
でも、その場合でもMS-Officeを「駆逐してもらいたくはない」ですけど。
MS-Officeの位置(地位)に成り代わりたいだけか、よい製品を提供したいのか。
私はニッチ層に対した、一般的ではないが優れたツールが欲しいな、と思います。
セールス的には難しいでしょうがねw
PLK on 2007/04/10
酔風 on 2007/04/10
Windows使いですが、会社で技術文書を作っていてWordにあまりにも使い勝手が悪く我慢がならなくて一太郎を2006から使い始めました。かなり使えます。使い勝手にはなんら文句ありません。Wordとの相互のファイル互換性が低いのと、一太郎をHTMLエディタとしも使いたいけど、それはちょっと難しいようですが、一太郎自体には進化していったもらいたいと感じてます。
Wordは積極的には使いたくありません。
ABC on 2007/04/10
Visioはねー最初のバージョン(ver.2)は本当にすばらしいツールだったんですよね。フローチャート描きにとって夢のツールだったし、それだけでよかった。身売りするにしてもどうしてよりによってMicrosoftに売るか、って感じでした。まあそれ以前に「何でも描ける」ソフトになろうとして肥大化して限界に達してしまってはいたんですが。OmniGraffleのWindows版が欲しいと思う今日この頃です。
mh on 2007/04/10
私もオフィス系は苦手で、ゼロからスタートの場合はギリギリまでテキストエディタを使い途中からInDesign等へ…という流れが多いですが、入稿される原稿(DTP屋です)はたとえ3〜4行でもワードばかりなので仕方なく使っています。あらゆるテキストはワードでしか作れないと思っている方が多いようなのが残念ですね。一昔前なら国産ワープロは縦書き・原稿用紙に強い!が売りになったかもしれませんが、今や日本も横書き文化、機能の差別化が難しいのでしょうか。エクセルの人気(?)は日本人の罫線大好き文化も関係しているのでしょうね。
ツールバーの小さなアイコンにカーソールをかざして、バルーンが出てきてやっとその機能が分かるオフィススイート。中身のないモノ(笑)を作っても異常に巨大なファイルができてしまうパワポ。結局一番使えるのはワードの例文テンプレートだった…ということに気づく人が増えて欲しいです。長文失礼しました。
荒川G on 2007/04/10
前述のオフィス製品に加えて、Visioも加えていただきたいですね。
どんなに大きな図表や相関図でも、Visioを使うくらいなら、フォント3くらいの文字サイズになっても、パワポを使った方がマシだと思う私はコンサル屋です。
話は少しずれますが、アイデアを書き留めるOneNoteは結構好きです。
吉澤準特 on 2007/04/09
トミたんさん、松本さん、朝之丞さん、小滝さん、コメントありがとうございます。
私が考えるに、Word(PowerPointも)は、「如才がない人が、既製のテンプレートをベースに、少量の文書を手っ取り早く作成するのには非常に向いているツール」なのだと思います。だからこそ、今の地位があるのでしょう。でも、逆に言えば、その範疇に当てはまらない文書の作成には、まったく適していないのだと思います。
PowerYOGA on 2007/04/09
度々、済みません。朝之丞です。
>3点ほど、書かせて下さい
と、コメントしておきながら、1点しか書いておりませんでした。
Excelで、図形てんこ盛りのA3書類5ページで「ハング」ります。これも厳しいです。
トミたんさん、私も未だにクラリスワークス&クラリスドローと、OmniGraffle 4 Proをメインに使用しております。
朝之丞 on 2007/04/08
まったくその通りだと思います。なぜあんな使いにくいソフトが蔓延しているのか不思議でしかたありません。私は常にHTMLエディタを使って資料を作っています。会社でも私が始めたので5割強はこの方法になっています。あんな使いにくいソフトはメリットが全くないのでなくなって欲しいですね。
小滝 on 2007/04/08
こんばんは、朝之丞です。
3点ほど、書かせて下さい。
>「おまえの視野が狭いだけ。Wordに代わる製品を探すのも難しいくらいだ」
上記の件ですが、このコメントを書いた人の方が...
何故ならば、Wordでは「長文作成が出来ない」のです。(厳しいです)私は仕事柄、年柄年中仕様書を書いておりますが、お客様のニーズに合わせて、もちろんWordを使用したり、一太郎を使用したと使い分けているのですが、それこそウン百ページの仕様書となると...
以上、今後ともどうぞ宜しくお願いします。
朝之丞 on 2007/04/08
論旨を整理すると、
1. いわゆるOffice suiteは本当に有用なのか?
2. MS Officeは、Office suiteとして優れているのか?
の2点から成り立っていると思います。そして、そのどちらにも「否」であるとおっしゃっているのだと理解します。
あまりにも、「ワープロ、表計算、プレゼン、(データベース)」が当り前になっているため、MS Officeの批判や代替製品ということになるとどうしても後者に着目しがちですが(たとえばOffice代替としてはOpenOfficeのほうがデータの扱いがマシだとかMS以外にも質の高いOffice suiteはけっこうたくさんあるとか)、私としては前者の視点も負けず劣らず重要だろうと思っています。そのあたりをきっちりと織り込んだ今回の記事には共感を覚えました。
松本 on 2007/04/08
大賛成です。ワードは論文の作成などには非常に不向きなので、自分の博士論文もクラリスワークスとクラリスドローの組合せで作成しました。
MS 製品には今も泣かされ続けです。
大多数のユーザーにバグ(仕様バグも含め)を許容させていると言う意味で、世界のソフトウェア品質の基準を引き下げているのはマイクロソフトだと思っています。
MSWord を駆逐するようなすばらしい製品の登場を心待ちにしています。
トミたん on 2007/04/08
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松本さん、情報ありがとうございます。RagTimeは私は未検証だったので、これから調べてみます。
私も今ではエディトリアルデザインを生業としているため、Wordやその他のツールのGUI設計や搭載機能の検証は結構やっていて、改善案や追加したい表現手法などをリストアップしたりもしていますので、もし機会に恵まれれば、自身で、理想的なドキュメントプロセッサーの開発プロジェクトを主導してみたいとは思っているのですが、まあ、実現するかどうか...。