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CNETがリニューアルされてから初めて記事を書きます。CNET Blogの行く末については私もいろいろ思うところはありますが、私は自分が出来ることをやるだけです。
今回から数回に渡って、スマートフォンとガラケー(ガラパゴスケータイ)、それとCP(Contents Provider)の関係について書きたいと思います。というのも私自身が長くケータイのキャリア公式サイトの構築に関わって来たので、今後スマートフォンの登場で今まで携わっていた市場がどのように変化するかに非常に興味があるからです。
スマートフォン市場に参入できない公式CP達
昨今スマートフォンの躍進が凄まじく、新たな市場が開拓されつつあるようですが、「日本のガラケーの公式CPがスマートフォンのアプリ市場で成功を納めた」という話は聞きません。
公式CPとはガラケーのキャリア(docomo,au,softbank)によって認められたサービス提供者のことです。公式CPの作るモバイルサイトは「公式サイト」と呼ばれ、課金代行やキャリアメニューへの登録など様々なキャリアのサービスを受けられます。
課金体系やプラットフォームの質的な違いはあるものの「モバイルでのデジタルコンテンツ提供による課金」という点では変わりないはずなのに、歴戦の公式CP達がスマートフォン市場になかなか参入できないでいます。私はこのことについて常々「なんでだろう?」と疑問に思っていましたが、そこには非常に納得感のある理由があったのです。
ガラケーコンテンツ市場の内約
ここでちょっとガラケーコンテンツ市場の内約を見てみましょう。少々古いですが、MCFが2008年に発表した「モバイルコンテンツ関連の市場規模」が参考になります。 この資料ではモバイルコンテンツのサービスを(その他も含め)14個のカテゴリに大別しています。そしてその市場規模は4,835億円です。

ちなみに2010年の市場規模を予測してみたところ、5,200億円ぐらいでした。
私はこの表をじーっと見ていて、あることに気づきました…
それは、このカテゴリの多くがダウンロードコンテンツであるということです。そしてこのカテゴリの中でダウンロードコンテンツであるものをまとめたところ、実に全体の54.4%を占めていたのです。これはつまり、公式CPの半数以上がダウンロードコンテンツで収益を得ているということを示しています。

スマートフォンのコンテンツ市場
翻って、スマートフォンのコンテンツ市場を見てみましょう。これ以後はわかりやすさを優先して、スマートフォンの代名詞であるiPhoneを念頭に置いて話を進めます。スマートフォンのコンテンツといえばアプリです。AppStoreでは実に12万ものアプリが提供されており、この数がiPhoneコンテンツの最大の強みです。しかしよく見るとそのコンテンツの中で、ダウンロードによって価値を提供しているのはiTuneのみであることに気づきます。
スマートフォンのアプリはダウンロードするだけでは意味を為しません。アプリはその機能によって情報を加工し、それをユーザーに提供することで価値を生み出します。これは当たり前の事ですが、多くのガラケーのコンテンツとは決定的に異なる部分の1つです。つまりユーザーはアプリが提供するサービスにお金を払っているのであって、ダウンロードしたデジタル媒体(=コンテンツ)に払っている訳ではないのです。
ガラケーコンテンツ市場の歴史を振り返る
上記のデータに見るようにガラケー市場の54%は、コンテンツのダウンロードによって価値を提供してきました。このビジネスの歴史を紐解いてみると面白いことに気づきます。
それは「ダウンロードコンテンツはほぼキャリアによって準備されたものである」ということです。携帯コンテンツ市場を席巻した、着うた、デコメ、きせかえ等、そのほとんどはキャリアが用意した媒体です。そしてケータイの公式CPはその媒体にコンテンツを乗せて配信し、収益を上げる構造が出来上がりました。このビジネスの構造は更に加速し、最終的にはコンテンツ勝負となっていきました。そしてダウンロードコンテンツを販売するCPは、
- ・コンテンツトレンドを読む力
- ・コンテンツ調達力
- ・コンテンツの加工力
がどれだけ強いか? という点が重要となったのです。そして最終的にCPは、その字のごとく単なる「Contents Provider」に成り下がってしまいました。
そのような状況にあっては「気の利いたサービスを考える」という本来CPが持つべき重要な能力は欠落します。つまりCPはキャリアが用意してくれた媒体で収益を上げる構造に依存してしまい、新たなサービスを作り出す能力を鍛えなくなってしまったのです。
スマートフォンコンテンツの本質
それと比較して、スマートフォンのアプリは情報を加工してユーザに提供することに本質的な価値があります。そしてこの市場で成功するには、ガラケーのCP達が失ったサービス構築力が必要になります。スマートフォンで多くの人にダウンロードされているアプリはゲームにしろツールにしろ、非常に上手く情報の加工がなされています。例えばTwitterは自分や他人の発言を、一定のルールで整理/集約(=加工)することでユーザに便益を提供しています。ゲームも同じように何らかのルールでユーザを楽しませているといえるでしょう。
Twitterはスマートフォン専用のコンテンツではありませんが、わかりやすいので例として挙げました。
つまりスマートフォンコンテンツにおいては、自分や他人の情報を如何に加工して有益に、もしくは楽しく提供できるかが勝負であり、そこに(純粋な意味での)コンテンツ力は必要ないのです。そのような市場にあって、キャリアが用意してくれたダウンロード媒体において、これまでコンテンツ力を背景に収益を上げてきたCP達が勝てるはずもありません。公式CP達が現時点でスマートフォン市場で成功した話を聞かないもの当然でしょう。
CP達が模索すべき道とは
じゃあCP達はどうすればいいのでしょうか? 他の参加者の成功を指を加えて見ている訳にもいきません。しかし長きに渡って衰退した「サービス構築力」を鍛えな直すことは一夕一朝でできることではありません。
でも心配いりません。実はサービス構築力が衰退したCP達にも手立てはあるのです。その話は次回の続きとしたいと思います。
2010年6月16日 追記
ある方からtwitterで「コンテンツビジネスとアプリビジネスはそもそも違うよ」との指摘を頂きました。実は今回書いた記事もそこが本質で、これまでのケータイCPは、アプリビジネスとコンテンツビジネスの2つを生業としている場合が多かったのです。その結果、この2つを混同した状態で収益性を模索してしまうようになってしまったのではないか、というのが今回の私の気付きです。
2010年6月28日 追記
意外に反応が大きかったのでちょっと追記しておきます。「この記事は間違いだ、公式CPの力を侮ってはいけない」との指摘をtwitterで頂きました。確かに納得です。実は私が所属している会社も公式CPです。そして実際にスマートフォン市場に参入しようとしています。多分数年も経てば普通にスマートフォン市場にいると思います。
私が言いたかったのは「ケータイCPはサービス構築力を鍛えないとだめだよ」ということですね。「コンテンツ調達力をサービス構築力と勘違いしていると足元をすくわれる」 ということを自戒を込めて書かせてもらいました。(特に若い人に対して言いたかった)
批判がない記事というのは存在しませんが、「タイトル悪かったかな・・」というのが素直な反省です。あと言い回しか・・
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