<ガートナー・ジャパンの次世代スパコン再点検提唱について>
ガートナー・ジャパンは2007年10月10日に同社Webサイトのニュース・アナリシス欄を通して、文科省の次世代スパコン・プロジェクトの再点検を提唱した。
IBM:POWER7で2010年に10PFLOPSを目指すことを改めて表明
http://www.gartner.co.jp/news_analysis/documents/NA00113.html
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20071010/284199/
結論については、概ね、同意である。しかし、分析の部分は、いささか認識が偏狭で、同意しかねている。
このレポート全般から感じられるガートナー・ジャパンのHPCに対する認識は、単純化すなら、米国のスパコン戦略=IBMのスパコン戦略=Power5/6/7の戦略、といったニュアンスである。
これは誤解で、米国政府のスパコン戦略は2004年に大統領府のOSTPから出された”HECTFR”に記述されており、エネルギー省のNNSA(核安全保障局)やOS(科学局)、国防省のDARPA、あるいはNSF(全米科学財団)、NASA、NOAA(米国海洋大気庁)等々の全省庁を含めた規模の大きなものであり、ベンダーもIBM、HP、Cray、SUN、SGI、Appro、Intel、AMD、TI、等々多くの企業に及んでおり、DARPAとIBMで単純化できる状況ではない。
また、IBMに限っても、Powerによる汎用サーバーのラインやメインフレーム・サーバーのライン、リサーチ部門のBlue Geneや、半導体部門のCell BEのライン、あるいは、IntelやAMDのCPUを使ったBladeサーバーのラインなどからは、IBMにHPCに関する統一された戦略があるようには見えないし、あるとすれば,それら相互の”棲み分け”ぐらいであろう。
そして汎用サーバー志向のPowerは、近年では、機能的にメインフレーム機と殆ど変わらないような重装備になっており、計算サーバーであるスパコンとしては不要な機能が多すぎ、価格や消費電力、設置面積などの点で、マルチコアのOpteronやXeon、あるいは産業機器組込用の単純なRISCタイプのCPUを高集積したものなどに、かなわなくなっている。
いずれにせよ、ガートナー・ジャパンの分析はHPCの現状を正しく捉えているとは思えないということである。
さて、次世代スパコン・プロジェクトの再検討が必要な理由としては、
”日本の最悪のシナリオは「米国より高い投資を行い、国産ベンダーも競争力が付かず、また利用者にとっても利便性が悪く、かつ限定される。さらに、数年後に再度米国やIBMに抜かれ、その次に、また数千億円もの投資を行う」という循環”
と、書かれている。
”米国より高い投資”になっていることは同意である。
”国産ベンダーも競争力がつかず”ということの具体的な結果は、”下方展開時に海外メーカー製より、極めて高い価格で調達しなければならない”ということで、”高い投資”と同様に”開発後も高い調達、高い維持管理負担を強いられる”という意味で同意である。
因みに、2005年10月11日付けの、文科省の次世代スパコンに関する第2回評価検討会議の資料によれば、国内主要15機関のスパコンのリース料金はおよそ年260億円(買取換算1040億円ぐらい)だそうで、次世代スパコンの縮小版で4.3Pflops程度調達できるとの記載がある。Tflops単価は約2,500万円である。2007年現在、米国でのTflop調達価格は700万円前後であるから、2010-2011年の頃には高めに予測しても500万以下と考えられるので、少なくとも5倍以上の高値で次世代スパコンを調達しなければならないことになるのである。
文科省や総合科学技術会議はスパコンを科学技術政策の基幹と位置づけているが、その理由は、スパコンを使ったシミュレーション技術は、これからの科学技術における主要な実験装置であり、この実験装置の保有量が、一国の科学技術の潜在力の指標になるという国際常識を反映したものである。
この科学技術政策を踏まえて考えると、次世代スパコンは単に”高額開発投資”、”高額調達”、”高額管理運用”ということでは済まされないのである。限定された予算内で調達可能な”計算容量”が諸外国に比べ、著しく劣るということは、結果的に汎用実験装置の量的不足を誘発し、日本の科学技術の競争力を著しく低下させることになりかねず、本来目標としている科学技術政策に反するものだからである。
一国の科学技術政策として、”スパコンの国産化を維持し、高くて売れないスパコン技術の保存”を目的とするのか、”科学技術の基幹としての汎用実験装置(スパコン)を数多く取り揃え、幅広い科学技術分野での国際競争力の維持増進を図ること”を目的とするのか、結論は自明であろう。
限られた予算で科学技術の国際競争力の維持増進を図るには、他国と遜色のない国際価格・性能基準でのスパコン調達による計算容量の確保は必須であり、科学技術政策としては、この点に知恵を傾注すべきなのである。
こうした観点から、次世代スパコンの再検討は必須であり、筆者は、カートナー・ジャパンの提唱に同意である。と同時に、納税者の納得を得るためには、発注仕様に関する情報公開は必須であり、文科省の適切な対応を求めたい。
なお、筆者の誤解、思い違い、転記ミス、計算違い、あるいは不適切な表現等がございましたら、ぜひ、コメント欄にてご指摘いただけますと幸いです。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
うつで病院に行くことを恐れるな
原宿で野宿を含む15時間 - iPhone行列完全ドキュメント
「失われた10年」からの回復は、どういう課題を残したか?
全国健康保険協会の会計(意見募集)
体力消耗戦に突入、携帯電話業界
「Parallels Desktop 4.0 for Mac」は「Mac OS X Server 10.5 Leopard」をゲストOSとしてサポートへ
『誰でもよかった』犯人増殖する
いや、実は俺アカウント捨てたんだ。
そろそろiPhone以外の話題が欲しいです
サーバトラブル事例(2)
Google Lively試してみました。みんなのお題では、ブロガー同士で質問を出し合いそれに対する回答や意見を集めています。今日はどんな話題が盛り上がっているでしょう?
DELLが掲げる「新・仮想化アセスメントサービス」CNET Japan ブログネットワークは、元はCNET Japanの一読者であった読者ブロガーと、編集部の依頼により執筆されているアルファブロガーたちが、ブログを通じてオンタイムに批評や意見を発信する場である「オピニオンプレイス」、また、オピニオンを交換するブロガーたちが集うソサエティです。
広い視野と鋭い目を持ったブロガーたちが、今日のIT業界や製品に対するビジョンや見解について日々熱く語っています。
CNET Japanやその他サイトが提供するITニュースやコンテンツへの意見や分析、 ビジネスやテクノロジーに対するビジョンや見解について語っていただける方を 募集しています。ご応募はこちらから
ブログの投稿はこちらから(※ブロガー専用)
今年最も活躍したブロガーを表彰します。詳細はこちらから
これは、CNET Japan 編集部の依頼に基づいて執筆されているCNET Japan アルファブロガーによるブログの印です。
CNET Japan ブログネットワーク内で拍手の代わりに使用する機能です。ブログを読んで、感激した・役に立ったなど、うれしいと思ったときにクリックしてください。多くGood!を獲得した記事は、より多くの人に読まれるように表示されます。
[レビュー]高い信頼性を普通に使う地球に優しい電源ユニット--Antec EarthWattsシリーズ EA-650
オンリーワンの個性を極めた超薄型テレビ--日立 Wooo UTシリーズ
[レビュー]“この手があったか”と思わせるパワーユーザーも納得のPCオンデマンド--「VALUESTAR G タイプR Luiモデル」+「Lui RN」詳細レビュー
[レビュー]テレビを持ち歩ける最強ツール--ソニー、Blu-rayレコーダー「BDZ-A70」
今週の新製品総チェック:ソニー「VAIO」が新キーワードを発表、ビクターからはYouTube対応ビデオカメラ
[レビュー]ネットワーク対応の高機能デジタルフォトフレーム--ソニー「Canvas Online CP1」
15時間の行列で手に入れたiPhone 3Gファーストインプレッション--ソフトバンクモバイル「iPhone 3G」
今週の新製品総チェック:まさにiPhone一色の1週間、ついに店頭発売へ
北京を見逃すな!--2008年夏、今買うべき「薄型テレビ」
この記事を読んで 以前 太平洋戦争か特攻隊の話を読んだ時に “だれか権威のある人が言い出し なんとなくそれがみんなの総意である という雰囲気ができ上がってしまうと みんなが解っているのに破滅への道を引き返せない のが 日本人が民族として持っている欠陥である” という様な事が書かれてあった事を思い出しました。
日の丸スパコンを進めている 文部省も それに参加している日本のメーカも この道のプロですから このまま進めても 米国製スパコン部隊に勝てない事は先刻承知していても その中の一部の人に引きづられて 引くに引けず現在の計画を進めているのだと思います。
太平洋戦争の時代の日本人を見て アホじゃないの? 合理的なじゃないよね・・・ と批判するのは簡単ですが 私たち日本人が太平洋戦争当時の精神的欠陥を相変わらず持っているのか それとも その欠陥を克服できたかは “世界1の次世代日の丸スパコンをこの計画で作るという なんとなく形成された雰囲気” の下で 計画を公開し 公開の場で 公正に討議できるか否かで わかりますね・・・
私としては 文部省 又は それに参加している日本のメーカさん 又は 議員さんなどこの計画を監督