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いまどきの人工知能が物事をどう理解しているのかを考えると、今のメディアに足らないものが見えてくる!!:第48回トンコネ・ジャム

2016/11/29 12:00
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土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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3月にGoogleの関連会社が開発した囲碁用人工知能(AI)「AlphaGo」がプロ棋士イ・セドル9段を破って、一躍人工知能の進化に世界が注目をはじめました。そして今年の前半では人工知能のめまぐるしい進化が進み、自動翻訳や自動運転、画像認識などの生活に密着したサービスもどんどん生み出されていっています。

ちなみに先日、東京大学・松尾研究室とドワンゴなどが協力して開発を進めてきた純国産の「DeepZenGO」とプロ棋士・趙治勲(チョ・チフン)名誉名人との「第2回囲碁電王戦」の3番勝負では、2対1で趙治勲(チョ・チフン)名誉名人が勝利しました。まだまだ人間には勝っていないと心をなでおろした方もおられるかもしれませんが、それもあっという間に人工知能が人間を超えてしまう分野が次々と出てくることは必至です。

そんな中、ラジオアナウンサーでIT使いのスペシャリストの吉田尚記さんとメディアの今を語り合う座談会「トーンコネクトジャム(略してトンコネジャム)」では、今回、そんな人工知能に触れているとメディアやラジオに新たなイマジネーションを芽生えさせるという話題です。

いつものように座談会には「吉田ルーム」の大番頭さん・益子和隆さん、吉田さんも共同参画する株式会社トーンコネクト社長CEOの加畑健志さん、さらにスーパー大学生のTehuさんと矢倉大夢さんのフルフルメンバーでお送りします。

■ラジオってあらためて凄く良いなって思ったんです・・・

>yoppy.tokyoが就活している大学生たちに人気が高いという統計データを見せてもらったんですが、これから就職を目指している大学生のネタ帳として人気になっているそうですね。そんなyoppy.tokyoも今年の1月から始めてかれこれ1年になりますが、ラジオやネットに大忙しの吉田さんが今気になっていることって何ですか?

吉田:まず、作家の大塚英志さんがcakesに書いていたことですごい面白いなと思って、ネットっていうのは「わかりやすさ」を問われるが、わかりやすさって何だ? わかりやすくした瞬間になんだかわからなくなることがあると言っているのに共感したんです。

Livedoorブログとかアメブロとか、アクセスのためにはその「わかりやすさ」はいいのかもしれない。これまでも本の売上は評価基準にあったかもしれないが、やりくりされているものごとの質の基準が「アクセス数」で測られたことはなかったはずなんです。これをやってしまったがための結論が見えてきているわけです。そしてそれは明らかに失われたものが多いと多くの人も気づき始めている。そんなことを彼はおっしゃっているんです。

そんな中でyoppy.tokyo(ネット)やミューコミ+プラス(ラジオ)を考えたとき、そんなレベルのものを作っててどうするんだと思ったわけです。わかりやすさを質(評価)の基準にするのはどうなのか・・・。もう「わかりやすさ」なんて良くないですか? いらなくないですか?

>わかりやすい必要もないし、実際、わかりにくいもの=おたくが飛びつくものに注目が集まっていることのほうが多いように思います。そもそもラジオってそれじゃないですか? 聞いたら誰でもすぐに食いつける話題というよりは、何回か聞き続けないとそこのコミュニティに参加できないような匂いがあるもの・・・。

益子:ラジオって「オレだけがわかっている」という匂いがありますよね。

吉田:それに関しては面白い話があって、ラジオタイムフリーの専門情報番組「ラジオ情報センター」というのをツイキャスで始めたんですが、全国で約8000番組くらいが毎週更新されているんです。その中には本当に聞いても見なかったラジオ番組が大量にあることに気づきました。100番組すら聞いたことが無かったなと反省しています。そんな狭い世界でラジオの専門家のように話していたんだなって・・・。

ラジオ屋にもかかわらず、タイムフリーがスタートしたことによって、思いもよらない濃い世界がラジオにもあったんだと改めて感じた次第です。ラジオ番組でこんなにわけのわからないものがいっぱいあって、しかもそれが許されているのは、注目されていないからというよりも、低コストで出来るからだと思うんです。

低コストが育むわけのわからない生態系みたいなのがここにはある。ラジオってあらためて凄く良いなと思っている今日このごろです笑。


左から益子さん、加畑さん、吉田さん、矢倉さん、Tehuさん

■ラジオにとってのハイパーリンク・・・

吉田:ラジオのことをものすごく好きなのかみたいなことを考えながら、ラジオを作ったりとか、ラジオ番組について人と話をしたりする以上、そこは自分で自問自答しなければ行けないと思ったんですけど。ラジオ自体もいろいろサポってるなとも思いました。

例えば、ハイパーリンクがラジオにはないと思うんです。本屋さんって本のハイパーリンクだと思うわけです。ラジオってついこないだまではハイパーリンクがなかった・・・。

>ラジオにおける「本屋さん」みたいなものがなかった・・・。

吉田:ラジコタイムフリーでギリギリパーマネントURLを1週間ですが発信するようになった・・・。これがハイパーリンク!!

益子:テレビのハイパーリンクはありますかね?

吉田:テレビもないと言えばないですが、テレビ番組ガイドなどはありますね。あとテレビのほうがザッピング出来る分だけリモコンがハイパーリンクの役割を果たしているかもしれません・・・。

ラジオの場合は、見た瞬間に判断ができません。ハイパーリンクとしての特徴として、テレビなら見た瞬間に判断ができるが、ラジオはできないというのがあります(音だけだから)。

>ハイパーリンクという意味で言えば、ラジオは元々アーカイブを残すという権利許諾の習慣がなかったんですね。保存しておくと著作権処理しなければならなくなるのでコストの問題で残さないことにしていた。なので過去のものを聞くことは、個人で楽しむ以外は許されていなかったわけです。これがRadikoになり、今回タイムフリーがスタートしたことで、ある意味ラジオメディアの革命とも言えるくらいのことが起きたわけです。

益子:逆にこれで一気にテレビを抜きましたよね。

吉田:ということで、ラジオはメディアの中で特殊なものだった分、まだ人のニーズを満たしきれていない、ネットの登場もあって・・・。そこを満たす次のフェーズに、ある意味ラジオがありそうな感じが出てきた・・・。次にラジオがやるべきことのひとつが「わかりやすすぎる」ことに対して我々は何をすればいいのかだと思ったんです。

■PC(ポリティカル・コレクトネス)がメディアをダメにしている・・・

>それって、僕だとそんなキーワードすら出てこないわけです。僕らがやっていた1980年代のラジオはわかりやすくするなんて考えたこともなかったから・・・。わかりやすく聞きやすくなど言い始めたのはこの10年〜15年だと思います。僕らの先輩は、わかるやつにしかわからない番組をたくさん作っていた。そもそも音楽だってその一つ、誰もが気軽に聞ける音楽なんて元々なかったわけで、一部の人だけがわかるからみんな熱中した・・・。

益子:それってラジオだからテレビだからというよりも、PC(ポリティカル・コレクトネス)の時代だからじゃないですか? 偏見などがあってはいけない、メディアは公平で中立的な立場でなければならないとなってきたからではないかと思います。

>わかりにくいというよりも、ラジオでしかできないことをやりたいと思ってましたね。テレビだってあったわけで、テレビではできないけどラジオなら出来るということがやりたかった・・・。それが「わかりにくさ」につながることもあったかもしれないが、それはそれで良いと思っていましたね。

益子:今まさにPCの時代、コンプライアンス(法令遵守)とか、会社に規制され、世間に規制され、個人までも規制されてしまう時代、それが今だと思います。テレビはその圧力が強いので何もできなくなってきている。その中でも「めちゃイケ」が好きなのはそこと戦っている姿勢がある笑。怒られるってわかってやることもある笑。

加畑:そのチャレンジ精神が、本当に面白いということなのかどうか?

益子:そう言われると、見る側ももはやそんなチャレンジ精神を求めてないのかもしれないです。

矢倉:ラジオはそのPCからどうやって逃げ通せるかなのかもしれないですね・・・。

吉田:ああそうですね!! メディア全体の問題として考えたとき、初めてラジオの活路が見いだせるような気がするんです。

>ところでTehuさんは、いろいろなことを考えて自分で何かを発信しようと思ったとき「オールナイトニホン」を始めたわけですが、なぜラジオだったんですか?

Tehu:ぼくはただただ、ラジオを聞いていた中学生だったので、ラジオの形にしただけです笑。

>世代的にはラジオというよりもテレビ世代ですよね?

Tehu:そのころスマホはすでにあったんですが、中継はまだ出来ませんでした・・・。

益子:選択肢としては結局、高価なビデオカメラとか持っていなければ、音声でしか発信できなかったからラジオになったということですかね・・・。でも今ならオールナイトニホンをやろうと思ったらスマホでツイキャスしちゃうでしょうね笑・・・。

■表現とはすべて『圧縮である』・・・

吉田:今聞いていると、メディアって何だ?って考えたとき「人」だと思ったんです。それは滅びずにずっとある・・・。知っていることを言うメディアは本当にどうでもいい。知らないことを教えてくれるのが一番重要なメディアの機能だと思うんです。

結局「人」という単位までしか細分化出来ない。個人の組み合わせでメディアが形成されていくとけっこうヤバイわけです。新聞とかは複数の個人が作っているメディアって感じ。

>新聞は著名記事とかありますよね。その人の責任で記事を書いている。

益子:新聞とテレビは組織で作っている感じがあるけれど、ウェブメディアは個々で作っているという違いがある。

矢倉:テレビは局ごとのクラスタ(ブランド)がありますが、ラジオは「人」から入る(誰々の番組とか)ケースのほうが多いかもしれませんね。

益子:僕はラジオの魅力があるのはわかっているけれども、その魅力を若い世代に伝える方法論が圧倒的に欠乏していると感じています。

>まさにそうかもしれませんね。

吉田:ラジオは「パーソナリティ」という言い方を発見したことがすごく大きいと思うんです。とても(メディアにとって必要かつ)正しいと思うんです。パーソナリティという言葉は今でも生きています。おそらくその前に同じような意味で「作家」という言葉があったと思うんです。作家とパーソナリティはほぼ同一のもの。文字を書かないで音声で伝える作家がパーソナリティ。

先日の清水亮さん(株式会社UEI代表取締役社長兼CEO)との対談で、清水さんが「どうも人間の中というのは、何万次元もある。表現とはすべて『圧縮である』」とおっしゃっていた。人には何万次元もの表現手段を持っているが、それを人に伝えるためには言葉で表すしかなくて、そのグアーンとしている何万次元のものを何次元かに圧縮する必要があるというわけです。その考え方が凄くオモシロイと思ったんです。

それってまさに人工知能で考えた場合、僕らというのはその何万次元かを持っているものを取り扱いやすくするために自分たちの名前をラベリングする。それをパーソナリティと表現するのは凄く正しいと思ったわけです。

もしラジオに問題があるとすれば、面白い人(圧縮の達人)が喋ってるメディアがめちゃくちゃたくさんあればいいのに、どうなんだろう・・・、ほかのメディアにはそういう人がいない、育たない・・・。

>なるほど、ここから「わかりやすさ」つまり「PC(ポリティカル・コレクトネス)」の話に戻るわけですね・・・。話は尽きませんが今回はここまで。この続きは次回に紹介します。


(参考リンク)

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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