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「ソフトウェアパテントは必要悪」論

2006/11/04 09:07
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中島聡

Microsoftでチーフアーキテクトを務めた経験を持つUIEvolution CEOの中島聡氏が、「Web 2.0」と呼ばれる新しいネット時代のサービスのあり方や、ライフスタイルの変化について考察します。
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 私自身、今までたくさんのソフトウェアに関する特許を申請・取得してきたし、現行の法律があるかぎり、それを続けるしかないのだが、正直なところを言わせてもらえれば、ソフトウェアの特許を簡単に認めすぎている現行の法律にはいささか疑問を持ち続けて来た私である。

 一度はこの件に関して、ここで書かねばと考えていたのが、ちょうど、英国の法廷でソフトウェアパテントに関する議論がなされ、そこで裁判官が言ったセリフがなかなかするどい。

The court said there was no evidence that the U.S.'s more lenient approach had boosted innovation or investment within the technology industry. (U.K. Court Rejects Patent for Form Creation Process).

 [訳] (英国の)裁判所は、米国の(ソフトウェアパテントの取得に対しての)寛容なアプローチが、テクノロジー業界におけるイノベーションや投資を増加させているという証拠は一切ない、と言った。

 誤解している人が多いのだが、特許法も著作権法も、目的は「発明者や著作者の権利を守る」ことではない。目的は、「発明や創作活動への投資をうながす」ことにある。そういった法律が、「発明者や著作者の権利を"ある程度"守る」ように書かれているのは、それによる金銭的なメリットを与えることにより、人的・金銭的投資を促すことにあるのだ。

 その「本来の目的」という面から見ると、ソフトウェア・パテントを認めることによって、そういった投資が促されているとは思えない、というのが今回の英国の法廷での判断である。

 例の一太郎裁判の時に気づいた人も多いと思うが、日本と米国は、「優秀なソフトウェアエンジニアであれば、誰でも思いつきそうなアイデア」をパテントとして認め過ぎである。そんな「誰でも思いつきそうなアイデア」をパテントとして認めてしまうから、あんな事件が起こってしまうのだ。

 そんなこんなで、ソフトウェア・パテントには大きな疑問を持っている私だが、だからと言ってパテントを申請しておかないと、他の会社に先に申請されて痛い目に会うかも知れない。そんな理由だけで、弁護士に高いお金を払ってせっせとパテントを申請しているのが、今のソフトウェア会社の現状である。つまり、「パテントを申請しても直接のメリットはないが、しておなかいと後で損をするかもしれない」からする、「必要悪」となっているのだ。

 Microsoftにいたときに、弁護士(弁理士?)とのパテントに関するミーティングの際には、「Software Patent Sucks!」(ソフトウェアパテントなんてい最低だ!)と書いたバッジをつける、というジョークがエンジニアの間ではやっていたのもまさにこれが理由である。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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