ソニーの出井さんとは、彼が現役だった5年ほど前に何度かお会いしたことがあるのだが、一番印象に残っているのが、「ソニーの一番の敵はNTTドコモ」という彼の言葉。それまで若い人たちが、AV機器や音楽・映画に使っていたお金が、携帯電話の通話・通信料金にシフトしてしまっていることを嘆いてのことだ。
そう考えると、そのころから始まったiモードを足がかりとする携帯電話の普及と、2003年のソニーショックには、確かに深い関連があるように思えてくる。
では、5年後の今の時点でのソニーの(もしくは日本の家電・ゲーム業界の)一番の敵は誰だろう。もちろん個別の市場では、Samsung、Apple、Microsoftなどとと戦っているし、携帯電話の通話・通信料金は相変わらず高いが、もし出井さんがまだ現役だったら、「一番の問題は、若い人たちのテレビ離れ」と言うのではないだろうか。
注目すべきなのは、今の若い人たちが、朝起きて、もしくは、学校や会社から帰って最初に触るのは、テレビやプレステなのか、それとも、パソコンやケイタイなのか、ということである。
私のまわりにいる人たちを見ただけでも答えは明らかとも言えるのだが、念のためにそれなりの調査機関が調べたデータをネットで探したところ、以下の二つの資料が見つかった。
資料1.国民生活時間調査報告書
資料2.日中若者のメディア接触実態調査
・10代〜20代という層を見る限り、テレビを見る時間は毎年減少している。平日で2時間強、土日で2時間半強である(資料1)。
・国民全体で仕事以外(つまり趣味・娯楽・教養など)の理由でのインターネットにアクセスする人はまだ15%しかいないが、その人たちの平均時間は、平日で1時間30分以上、土日だと2時間以上である(資料1)。
・インターネットにアクセスする人に限って言えば、すでに「毎日ネットにアクセスする」人たちの方が、「毎日テレビを見る」人たちを上回っている(資料2)。
この二つの資料からだけでも、はっきりとした「若い人たちのテレビ離れ」のトレンドは見て取れる。つまり、テレビを見たり据え置き型のゲームマシンでゲームをするよりも、mixiで友達とのコミュニケーションを楽しんだり、YouTubeで話題になっているテレビ番組の面白い場面だけをつまみ食いする方がずっと楽しいと感じている人たちが増え続けているのである。
問題は、ソニーに限らず、テレビやゲーム端末を作っている人たちが、このトレンドこそが彼らのビジネスにとって本当の脅威であることを感じているかどうかである。「敵はSamsungとMicrosoft」と感じているのか、「敵はMixiとYoutube」と感じているか、によって戦略は大きく変わってくる。
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